ギターを始めたばかりの方、こんな経験はありませんか?
- 難しいコードが押さえられず、練習が続かない
- 歌いたい曲がキーが高くて、歌えない
- ギターの音色に変化をつけたい
これらの悩みは、カポタストを使うことで解決できます。
この記事では、ギター初心者必見のカポタストの便利な使い方と、知っておくと便利な裏技をご紹介します。
カポタストを使いこなすことで、
- 難しいコードを簡単に押さえられる
- 歌いたい曲をキーを変えて歌える
- ギターの音色を自由自在に変えられる
など、多くのメリットがあります。
ぜひ、この記事を参考に、カポタストを上手に活用して、ギター演奏をもっと楽しんでください!
もくじ
カポタストの便利な使い方と初心者のための裏技
カポタストを使う主要な目的は下記の1〜3です。
4と5は、FやBなどのバレーコードを押さえることが難しい初心者にとって、とても有効なカポタストの使い方です。
- コードを簡単にする
- 歌いやすいキーに変える
- ギターの音色を変える
- 弦高を下げる
- 弦の張力を下げる
ひとつずつ解説します。
1. コードを簡単にする
カポタストを使えば、押さえることが難しいコードを簡単にすることができます。
例を2つ挙げます。
・コードを簡単にする例[E♭]
E♭コードは、カポタストを3フレットにつけると、Cコードに変わります。
6フレットを人差し指でセーハ(複数の弦を1本の指で押さえる)し、Aコードと同じように押さえるE♭コードは、カポタストを3フレットにつければCコードになります。
・コードを簡単にする例[F]
Fコードは、カポタストを3フレットにつけると、Dコードに変わります。
1フレットを人差し指でセーハするFコードは、カポタストを3フレットにつければDコードになります。
しかし、ここで注意が必要です!
Fコードが難しいからといって、カポタストを3フレットにつけても、曲全体のコードが簡単になるとは限らないのです。
たとえば、Cコードで始まる曲を例に考えてみます。
Cコードで始まる多くの曲では、FコードやAmコードが使われます。これらのコードは、カポタストを3フレットにつけると・・・
○ C → A
○ F → D
× Am → F#m
AmはF#mになってしまい、コードを簡単にするどころか、反対に難しくなってしまうのです。
このように、コードを簡単にする目的でカポタストを使う場合は、曲全体のコードを考える必要があるのです。
そこで次は、コードを簡単にする具体的なやり方を解説します。
・コードを簡単にする手順
コードを簡単にするには、キーとなるコードを【C】【G】あるいは【Am】【Em】に変えることを目指します。
CとGは、メジャーコードといって明るい感じの曲で使われます。AmとEmは、マイナーコードといって暗い感じの曲で使われます。
CとAm、GとEmはメジャーとマイナーが違うだけで同じ音が使われている(平行調という)のですが、このことについての解説はここでは省略します。
では、コードを簡単にする実際の手順を解説します。
(1) キーとなるコードをみつける
(2) カポタストをつけるフレットを決める
順に解説します。
(1) キーとなるコードをみつける
まず、キーとなるコードをみつけます。
多くの曲では、歌い出しか歌い終わりのコードが、その曲のキーになります。曲の中で、一番落ち着くコードがその曲のキーです。
たとえば、次のようなコード進行の曲のキーはCです。
C→G→Am→Em→F→C→Dm→G→C
サンプル音源は音が出るので、ボリュームに気をつけください。(以下同様)
コードの通りにギターを弾いてみてください。始めと終わりのCコードで、曲が落ち着きます。
また、次のようなコード進行の曲のキーはAmです。
Am→G→F→E→Dm→C→E→Am
先ほどの例と同じコードが多数使われていますが、始めと終わりのAmコードで、曲が落ち着きます。
このようにして、キーとなるコードをみつけます。
キーがわかったら、次はカポタストを何フレットにつけるのかを決めます。
(2) カポタストをつけるフレットを決める
コードを簡単にするには、キーとなるコードを【C】【G】あるいは【Am】【Em】に変えることを目指します。
◆メジャーコードの場合◆
曲のキーとなるコードが、BやD♯など大文字英語だけのメジャーコードの場合、キーとなるコードを【C】か【G】に変えます。
下の表を見て、カポタストを何フレットにつけるのかを決めます。
たとえば、Bコードはカポ4でGコードに、Fコードはカポ5でCコードに変わることがこの表からわかります。
カポタストをつける位置が決まったら、キーとなるコード以外の全てのコードも変えます。
例として、キーがBの曲ではC#mが使われることが多いので、C#mをカポ4にしたら何コードになるのかを説明します。
一番左の列「もとのコード C# D♭」の行を右に見ていきます。カポ4のところではAとなっています。このことから、C#mはカポ4にすることでAmに変わることがわかります。
このように、その曲で使われている全てのコードを変えれば完了です。
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◆マイナーコードの場合◆
曲のキーとなるコードが、C#mやGmなど大文字英語の右側に「m」と書かれているマイナーコードの場合、キーとなるコードを【Am】か【Em】に変えます。
下の表を見て、カポタストを何フレットにつけるのかを決めます。
たとえば、C#mコードはカポ4でAmコードに、Gmコードはカポ3でEmコードに変わることがこの表からわかります。
カポタストをつける位置が決まったら、キーとなるコード以外の全てのコードも変えます。
例として、キーがGmの曲ではDmが使われることが多いので、Dmをカポ3にしたら何コードになるのかを説明します。
一番左の列「もとのコード Dm」の行を右に見ていきます。すると、カポ3のところではBmとなっています。このことから、Dmはカポ3にすることでBmに変わることがわかります。
Bmコードは人差し指で全弦をセーハするバレーコードなので、「コードが簡単になってないじゃないか!」と思うかも知れません。しかし、キーがGmの曲では、Dmの他にCmやB♭、E♭やFなどのコードが多く使われます。
これらのコードもカポ3にすることで、簡単なコードに変わるのです。
○ Gm → Em
○ Cm → Am
○ B♭ → G
○ E♭ → C
○ F → D
× Dm → Bm
このように、その曲で使われている全てのコードを変えると、カポタストの効果を実感することができます。
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余談ですが・・・
初心者が苦手とするバレーコードFとBmの出現について、少しだけ説明します。
キーがCまたはAmの多くの曲ではFコードが出てくるのですが、その他ほとんどのコードは開放弦を使ったオープンコード(ローコード)です。
同じように、キーがGまたはEmの多くの曲ではBmコードが出てくるのですが、その他ほとんどのコードは開放弦を使ったオープンコード(ローコード)です。
つまり、バレーコードFとBmは、ギター上達のためには克服しなければならない課題なのです。
バレーコードFとBmの克服法については、別の記事で解説しているので、参考にしてください。
・ギター初心者でもFコードで挫折しない!克服法と押さえ方のコツ
2. 歌いやすいキーに変える
カポタストを使うと、曲のキーを歌いやすいキーに変えることができます。
なぜならば、カポタストをつけると、ギター全体のピッチ(音の高さ)を変えることができるからです。
たとえば、原曲のキーが低かった場合、カポタストを1フレットにつければ、半音上げることができます。2フレットにつければ1音上げられます。
このように、原曲のキーが低いときは、カポタストを使うことで簡単に歌いやすいキーに変えることができます。
では、原曲のキーが高かった場合はどうすればいいのでしょうか?
例を挙げて説明します。
原曲のキーがGで、これが少し高いと感じた場合に、カポタストをつけてキーを低くすることができます。
Gコードはカポタストを7フレットにつければCコードになるので、曲中に出てくる全てのコードをカポ7にしたときのコードに変えます。
その後、カポタストを6→5→4フレットと下げていき、歌いやすいキーを探します。
このように、原曲のキーが高いときにも、カポタストを使ってキーを低くすることができます。
カポタストを使えば、どんな曲でも自分が歌いやすいキーに変えることができるのです。
3. ギターの音色を変える
同じコードでも、カポタストを使うことで、ギターの音色を変えることができます。
なぜならば、カポタストをつけるとギター全体のピッチ(音の高さ)が変わるからです。
例を挙げて説明します。
Cコードは、カポタストを5フレットにつけるとGコードになります。
カポタストをつけずにCコードを弾いた場合と、カポタストを5フレットにつけてGコードを弾いた場合では、全体的な音の高さが違うので、ギターの音色が変わります。
このことを利用すれば、ギターを複数人で弾くときに、カポタストを使って音に厚みを出すことができます。
ある男性2人組歌手は、ほとんどの曲でカポタストを違うフレットにつけて演奏しています。音に厚みを出すことが目的です。
このように、ギターの音色を変えるためにカポタストを使うことがあります。
4. 弦高を下げる
カポタストを使うことで、フレットの頭から弦の下端までの距離「弦高」を下げることができます。
↑ネックを上から見た図
なぜならば、ナットの高さよりもフレットの頭の方が低いからです。
カポタストを使えば、弦高をフレットの高さにすることができるので、カポタストを使わないときに比べて弦高が低くなります。
カポタストをつけて弦高を下げることで、FやBなどのバレーコードが押さえやすくなります。
次に説明する「5. 弦の張力を下げる」ことも一緒にやると、今まで押さえることが難しかったバレーコードが格段に押さえやすくなります。
5. 弦の張力を下げる(裏技)
ピッチを下げてチューニングしたギターにカポタストをつけることで、通常のチューニングのまま弦の張力(張る強さ)を下げることができます。
弦の張力が下がれば、FやBなどのバレーコードが押さえやすくなります。
具体的な方法を説明します。
ギター全体のチューニングを半音または1音下げます。その状態で、カポタストを1フレットまたは2フレットにつけ、通常のチューニングと同じキーにします。
すると、通常のチューニングと同じピッチでありながら、弦の張力と弦高が下がっているので、バレーコードが格段に押さえやすくなります。
この方法は、ギター初心者がバレーコードを習得するための近道となる裏技です。ぜひ活用してみてください。
まとめ:カポタストの便利な使い方!初心者のための裏技必見
ここまで、5つの目的別にカポタストの使い方を解説してきました。
カポタストの便利な使い方と初心者のための裏技
1. コードを簡単にする
・コードを簡単にする例[E♭]
・コードを簡単にする例[F]
・コードを簡単にする手順
2. 歌いやすいキーに変える
3. ギターの音色を変える
4. 弦高を下げる
5. 弦の張力を下げる(裏技)
ギター、特にアコースティックギターにとってカポタストは、難しいコードを簡単にしてくれる、とても便利な道具です。
また、弦の張力と弦高を下げる裏技を使えば、初心者がバレーコードを習得する手助けにもなります。ぜひ有効活用してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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