ギターを弾いていると、「スケール」という言葉をよく目にします。
スケールとは「音の並び方」のことですが、ギターソロや曲のコピーなど、演奏表現の幅を広げるためには欠かせない要素です。
しかし、ギターにはたくさんのスケールが存在し、種類や覚え方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ギターでよく使われる基本的なスケールの種類、効率的な覚え方、そして上達するためのコツを、わかりやすく解説します。
この記事を読めば、以下のメリットがあります。
- ギターでよく使われる基本的なスケールの種類を理解することができる。
- 効率的なスケールの覚え方を知り、無理なくマスターすることができる。
- ギタースケールを練習するためのコツを学び、上達を加速することができる。
- 音楽理論の基礎知識を身につけることができ、ギター演奏をより深く楽しむことができる。
この解説を参考にギタースケールの知識を深めることで、あなたも演奏表現の幅を広げ、より自由度の高い演奏を楽しむことができるようになります。
どうぞ最後までお読みください。
基本的なスケールの種類と覚える順番
スケールは様々な種類がありますが、ここでは代表的な8つのスケールを解説します。
- メジャー スケール
- マイナー スケール
- メジャー ペンタトニック スケール
- マイナー ペンタトニック スケール
- ヨナ抜き 短音階
- ニロ抜き 長音階[琉球音階]
- ハーモニック マイナー スケール
- メロディック マイナー スケール
これらのスケールは、基本的な順に並べているので、上から順番に覚えるのがいいでしょう。
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1.メジャースケールと2.マイナースケールは、もっとも基本的なスケールです。
3.と4.のペンタトニックスケールは、ギターソロを弾くときには欠かせません。
5.ヨナ抜き短音階と6.ニロ抜き長音階は、日本古来の童謡や演歌、琉球音楽で使われるスケールです。
7.と8.のスケールは、マイナースケールから派生したスケールです。
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それでは、ひとつずつ五線譜と音源、ギターの指板図で解説していきます。
各スケールの違いがわかるように、スケールの始まりの音「主音」は全て「C=ド」にしています。
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出ますので、ボリュームに注意してください。
1. メジャー スケール
メジャースケール(Major Scale)は日本語で「長音階」といわれ、もっとも基本となるスケールです。
簡単に説明すると「ドレミファソラシド」で、明るい雰囲気が感じられるスケールです。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
6弦に主音がある2オクターブ分のスケールを赤枠で囲んでいます。
練習するときは、フレーズのまとまりを感じるために、6弦8フレットの「C」から1弦8フレットの「C」までを弾くのがいいでしょう。
メジャースケールは、隣の音との間隔「度数」は【2・2・1・2・2・2・1】です。「音程」では【全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音】となります。
2. マイナー スケール
マイナースケール(Minor Scale)は日本語で「短音階」といわれ、メジャースケールの3・6・7番目の音を半音下げた(♭)スケールです。
後で解説する「ハーモニック マイナー スケール」「メロディック マイナー スケール」と区別するために、「ナチュラル マイナース ケール」と呼ばれることがあります。
暗い雰囲気が感じられるスケールです。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
6弦に主音がある2オクターブ分のスケールを青枠で囲んでいます。
ギターで練習するときは、フレーズのまとまりを感じるために、6弦8フレットの「C」から1弦8フレットの「C」までを弾くのがいいでしょう。
3弦7フレットのところは、左手のポジションを動かす練習になります。
マイナースケールは、隣の音との間隔「度数」は【2・1・2・2・1・2・2】です。「音程」では【全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音】となります。
3. メジャー ペンタトニック スケール
メジャーペンタトニックスケール(Major Pentatonic Scale)は、メジャースケールから4・7番目の音を抜いたスケールで「ヨナ抜き長音階」ともいわれます。
4.マイナーペンタトニックスケールと同様に、ブルースやロックでギターソロを弾くときによく使われるスケールです。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
6弦に主音がある2オクターブ分のスケールを赤枠で囲んでいます。
5〜8フレットのポジションでは、マイナーペンタトニックスケールの型と同じになります。
4. マイナー ペンタトニック スケール
マイナーペンタトニックスケール(Minor Pentatonic Scale)は、マイナースケールから2・6番目の音を抜いたスケールで「ニロ抜き短音階」ともいわれます。
ブルースやロックでギターソロを弾くときに、頻繁に使われるスケールです。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
6弦に主音がある2オクターブ分のスケールを青枠で囲んでいます。
このマイナーペンタトニックスケールを覚えると、ブルースやロックだけでなく様々なジャンルの曲でギターソロが弾けます。
5. ヨナ抜き 短音階
ヨナ抜き短音階は、マイナースケールから4・7番目の音を抜いたスケールです。
童謡や演歌で多く使われているので、日本人の心に刺さります。
J-POPの中にも、このスケールでできているものがあります。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
ギターの指板図を見ると、正方形の固まりがいたるところにあります。そして、その上にスケールの始まりの音「主音」が乗っています。
このように、スケールは「スケールの型」が見えると覚えやすくなります。
6. ニロ抜き 長音階[琉球音階]
ニロ抜き長音階は、メジャースケールから2・6番目の音を抜いたスケールです。
別名「琉球音階」ともいわれ、短いフレーズを聞いただけでも沖縄の雰囲気が漂います。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
ギターの指板図を見ると、正方形の固まりの右下にスケールの始まりの音「主音」があることがわかります。
やはり、スケールは「スケールの型」が見えると覚えやすくなります。
7. ハーモニック マイナー スケール
ハーモニックマイナースケール(Harmonic Minor Scale)は、ナチュラルマイナースケールの7番目の音(シ)を半音高くしたスケールです。ナチュラルマイナースケールの最後の音が主音に近づいた感じです。
日本語では「和声的短音階」といい、暗い感じで始まった音階が、最後にきてエキゾチックになったようなスケールです。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
ギターの指板図を見ると、ナチュラルマイナースケールの7番目の音(シ)が、主音の隣に寄り添っているのがわかります。
ナチュラルマイナースケールとの違いは、この1音(シ)だけです。
8. メロディック マイナー スケール
メロディックマイナースケール(Melodic Minor Scale)は、ナチュラルマイナースケールの6・7番目の音(ラ・シ)を半音高くしたスケールです。
日本語では「旋律的短音階」といい、暗い感じ(マイナー)で始まった音階が、最後にきて明るく(メジャー)なったようなスケールです。
このスケールは、音が上がっていく「上昇フレーズ」のときによく使われます。音が下がっていく「下降フレーズ」のときは、ナチュラルマイナースケールにした方が収まりがよくなります。
<五線譜>
<サンプル音源>
<ギターの指板図>
ギターの指板図を見ると、ナチュラルマイナースケールの最後の2音(ラ・シ)が、メジャースケールになったことがわかります。
まるでギリシア神話に登場するケンタウロスのようなスケールですね。
ギターでスケールを覚えるときのコツ
ギターでスケールを覚えるときは、「スケールの型」を意識するのがベストです。
ピアノなどの鍵盤楽器と違って、ギターはキーが移動しても「スケールの型」が変わらないからです。
ピアノの鍵盤図とギターの指板図を、実際に比べてみましょう。
ピアノの鍵盤図とギターの指板図を比較
キーC〜Bの7つのメジャースケールを、ピアノの鍵盤図(左)とギターの指板図(右)に表しました。
ピアノでは、キーが変わるごとに「スケールの型」が変わります。それに対しギターでは、キーが変わっても「スケールの型」は同じです。
メジャースケールの例で示したように、ギターではキーが変わっても「スケールの型」は変わりません。
ですから、ギターで効率よくスケールを覚えるためには、「スケールの型」を意識するのがコツです。
左手の5つのポジション
ギターでは、0〜12フレットの間に「スケールの型」が5つあります。
「5つの型」がわかると、ネック全体を使ってギターソロを弾くことができます。
ここでは、基本的なスケールであるCメジャースケールと、ギターソロで役立つCマイナーペンタトニックスケールを例に挙げて、スケールの「5つの型」を解説します。
Cメジャースケールの5つの型
Cメジャースケールは、左手のポジションによって「5つの型」に分けることができます。
ヘッド側から「C型・A型・G型・E型・D型」です。これを「CAGED(ケイジド)システム」といいます。
上の指板図をそれぞれの型に分割すると、下のようになります。
黒色の縦線をカポタストだと仮定すると、左から順にC・A・G・E・Dコードが浮かび上がります。そのため、「CAGEDシステム」という名前がついているのです。
「CAGEDシステム」については、次の記事で詳しく解説しています。
Cマイナーペンタトニックスケールの5つの型
ギターソロで役立つペンタトニックスケールの例として、Cマイナーペンタトニックスケールを挙げます。
下の指板図のように、Cマイナーペンタトニックスケールは、基本の型を中心にして「5つの型」に分かれます。
この型を横にスライドさせることで、様々なキーに対応することができます。
たとえば、基本の型を5フレットにスライドさせると、Aマイナーペンタトニックスケールになります。
このように、ギターでは「スケールの型」を意識してスケールを覚えるのが、もっとも効率がいいのです。
そして、5つの型を全て覚えることができれば、フレット全体を使ってギターソロを弾くことができるようになるのです。
まとめ:ギターのスケールがわからない!覚える順番と覚え方のコツ
ここまで、基本的なスケールの種類や覚える順番、ギターでスケールを覚えるときのコツを解説してきました。
基本的なスケールの種類と覚える順番
1. メジャー スケール
2. マイナー スケール
3. メジャー ペンタトニック スケール
4. マイナー ペンタトニック スケール
5. ヨナ抜き 短音階
6. ニロ抜き 長音階[琉球音階]
7. ハーモニック マイナー スケール
8. メロディック マイナー スケール
ギターでスケールを覚えるときのコツ
ピアノの鍵盤図とギターの指板図を比較
左手の5つのポジション
Cメジャースケールの5つの型
Cマイナーペンタトニックスケールの5つの型
スケールを覚えると、ギターソロを弾いたり曲をコピーしたりするのにとても役立ちます。
ぜひ、ご活用ください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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