ロックの演奏では欠かせないパワーコードですが、その名前から力強い感じがしますね。
しかし、パワーコードは、普通のコードとは違うのでしょうか。
この記事では、パワーコードとはどんなコードなのか、重厚なサウンドを生むためにはどうしたらいいのかを解説します。
ぜひ習得して、ロックの楽曲をカッコよく演奏してください。
もくじ
パワーコードとは
パワーコードは2つの音でできている和音で、明るさや暗さを感じない響きがあるのが特徴です。
音を歪ませた力強いサウンドに向いているため、ロックなどの楽曲でよく使われます。
コードについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
コードとは、複数の音が重なり合う和音のことですが、基本的なコードは3つの音でできています。
具体的に、Cコードを例にして説明します。
コードの基準となる音を「ルート」といい、そのコードの第1音になります。
Cコードのルートは「ド」の音なので、これが第1音です。その上に「ミ」と「ソ」を重ねたコードがCメジャーコードで、明るい響きが感じられます。
「ミ」が第3音、「ソ」が第5音です。間の第2音は「レ」、第4音は「ファ」ですが、これらはCコードでは使われません。
第3音の「ミ」が半音下がると、暗い響きが感じられるCマイナーコードになります。
つまり、コードの明るさや暗さを決定しているのが第3音なのです。
ところが、パワーコードでは、この第3音は使われていません。そのため、明るさや暗さを感じない響きがするのです。
パワーコードは第1音と第5音だけを使ったコードなので、「C5」と書かれることがあります。「C」は第1音、「5」は第5音を表しています。
第3音を使わないパワーコードは、音を歪ませて力強く弾いても、聞き苦しさを感じないサウンドを作ることができるのです。
パワーコードの押さえ方
パワーコードは2音だけの和音なので、基本的に左指は2本しか使いません。
第1音のルートを5弦にするか6弦にするかで、2種類のコードフォームがあります。
Cのパワーコードを例にして見てみましょう。
2種類のコードフォームといっても、場所が違うだけで形は同じです。
基本的にルートは人差し指で押さえますが、第5音は薬指でも小指でも構いません。
前後のフレーズや付け加える音によって、使いやすい指で押さえるようにします。
付け加える音については、後ほど解説します。
パワーコードの弾き方
パワーコードは2音だけの和音なので、基本的に押さえている弦以外の音は出しません。
5弦ルートのCのパワーコードを例にして見てみましょう。
他の音が出てしまうと、不協和音になることがあり、聞き苦しくなります。ですから、パワーコードでは、2つの音だけを出すようにします。
しかし、2つの音だけを出そうとするとピッキングに勢いがなくなってしまい、パワーのある重厚なサウンドは生まれません。
パワーコードで重厚なサウンドを作るためには、弾き方にコツがあるのです。
パワーコードのコツ
たった2音のパワーコードで力強く重厚なサウンドを生むためには、ギターの6本の弦を全て弾くくらいの大胆さが必要になります。
ロックギタリストが、勢いよく6本の弦をかき鳴らしているシーンを見たことがあると思いますが、あの弾き方でも出している音はたった2つだけのこともあるのです。
そのような弾き方を実現させるテクニックがミュートです。
6本の弦をピッキングしているのに、たった2つの音しか出さないようにするためには、ミュートのテクニックが欠かせません。
パワーコードでは、不要な音を出さないようにするミュートは左手で行います。
ミュートで使う指は基本的に人差し指ですが、中指や薬指を使うこともあります。
それぞれのミュートのやり方を解説します。
人差し指ミュートのテクニック
パワーコードで使うミュートは、主に左手の人差し指で行います。
5弦ルートのCのパワーコードを例にして、ミュートのやり方を説明します。
人差し指で5弦3フレットを押さえ、薬指または小指で4弦5フレットを押さえます。
人差し指の側面は、3・2・1弦に軽く触れておきます。また、その人差し指の先は、6弦にも触れておきます。
このような押さえ方をすることで、6弦と3・2・1弦のミュートができるので、6本の弦を全て弾いても5弦と4弦の音しか出ません。
中指・薬指ミュートのテクニック
5弦ルートのパワーコードでは、6弦をミュートするテクニックとして、中指や薬指を使う方法があります。
中指または薬指を軽く6弦に触れておくことで、6弦のミュートができます。
このときも、3・2・1弦のミュートは、人差し指が担当します。
6弦ルートのパワーコードでは、6弦をミュートする必要がないので、中指や薬指は使いません。
5弦ルートのパワーコードにおけるミュートのやり方を2種類、6弦ルートのパワーコードにおけるミュートのやり方を1種類、動画で確認してください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
パワーコードの応用
パワーコードは、音を付け加えたり、他のテクニックを組み合わせたりすることができます。
- 3音のパワーコードで厚みを増す
- 音を付け加えてフレーズを作る
- ブリッジミュートで重厚感を増す
- グリスを使ってスピード感を出す
それぞれ解説します。
3音のパワーコードで厚みを増す
パワーコードの第1音の1オクターブ上の音を付け加えることで、厚みを増したサウンドを作ることができます。
つまり、ルートの第1音と第5音、そして第8音(第1音の1オクターブ上の音)の3和音です。
3音のパワーコードもコードフォームは1種類なので、覚えるのは簡単です。
押さえ方は3通りあるので、やりやすい方法を選んでください。
- 指3本:第1音人差し指、第5音薬指、第8音小指
- 指2本:第1音人差し指、第5・8音薬指
- 指2本:第1音人差し指、第5・8音小指
2音のパワーコードと3音のパワーコードの違いを、動画で比べてください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
音を付け加えてフレーズを作る
パワーコードでは、音を付け加えることで、様々なフレーズを作ることができます。
特に、開放弦を使った6弦ルートのEのパワーコード、5弦ルートのAのパワーコードでは、定番のフレーズがあります。
音を付け加えたフレーズの例を、動画で確認してください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
開放弦を使ったフレーズの例を、動画で確認してください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
ブリッジミュートで重厚感を増す
パワーコードは、右手でブリッジミュートをすることで、さらに重厚感を増したサウンドを作ることができます。
ロックの楽曲では、このブリッジミュートをしたパワーコードが多用されます。
ブリッジミュートの有無でサウンドがどのように変わるのかを、動画で確認してください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
グリスを使ってスピード感を出す
パワーコードは、グリス(グリッサンド)というテクニックを組み合わせることで、スピード感があるバッキング(伴奏)を作ることができます。
グリスについては、ギターのスライドとグリス(グリッサンド)!違いとやり方[動画あり]で詳しく解説しています。
グリスを使ってスピード感を出したバッキング例を、動画で確認してください。
サンプル動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
パワーコードを使ったフレーズの演奏例
パワーコードを使ったフレーズの演奏例をご覧ください。
パワーコード一覧表
「6弦ルートのパワーコード」と「5弦ルートのパワーコード」の一覧表を作りました。
全てのパワーコードは、ルートが違うだけで形は同じです。
つまり、ルートの音がどこにあるのかを知っていれば、パワーコードのポジションがわかるということです。
<6・5弦のルート音>
6弦ルートのパワーコード
5弦ルートのパワーコード
「♯」や「♭」がついたコードもありますが、ここでは省略しています。
まとめ:ギターでパワーコード!重厚サウンドを生む弾き方のコツ
ここまで、パワーコードとはどんなコードなのか、重厚なサウンドを生むためにはどうしたらいいのかなどについて解説してきました。
パワーコードとは
パワーコードの押さえ方
パワーコードの弾き方
パワーコードのコツ
人差し指ミュートのテクニック
中指・薬指ミュートのテクニック
パワーコードの応用
3音のパワーコードで厚みを増す
音を付け加えてフレーズを作る
ブリッジミュートで重厚感を増す
グリスを使ってスピード感を出す
パワーコードを使ったフレーズの演奏例
パワーコード一覧表
6弦ルートのパワーコード
5弦ルートのパワーコード
この記事を参考にパワーコードを習得して、ロックの楽曲をカッコよく演奏してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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