チューナーなしでギターをチューニング!やり方を詳細解説

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チューナーを使ってしっかりチューニングしたギターでも、しばらく弾いているとチューニングが狂ってきます。

ライブの演奏中にチューニングが狂っていることに気づくことがありますが、そんなときはチューナーなしでサクッと調整したいものです。

演奏中に素早くチューニングをしているミュージシャンは、見ていてカッコイイですね。

この記事では、チューナーを使わないでギターのチューニングをする方法を解説していきます。

慣れれば難しくないので、ぜひ活用してください。

ギターのチューニングの種類

ギターのチューニングには、いろいろな種類があります。

<ギターのチューニング例>
◆レギュラー・チューニング
◆半音下げ・チューニング
◆ドロップ・チューニング
◆オープン・チューニング

この中で最も多く使われているのが、レギュラー・チューニングです。ギターの教則本などで、何のことわりもなくチューニングと書いてあれば、レギュラー・チューニングのことです。

レギュラー・チューニング以外のチューニングは、レギュラー・チューニングを基準に考えると理解しやすくなります。

つまり、レギュラー・チューニングの方法がわかれば、その他のチューニングも理解できるということです。

そこでこの記事では、チューナーを使わずにレギュラー・チューニングをする方法について解説していきます。

ギターをチューニングするための基礎知識

まずは、ギターをチューニングするための基礎的な知識を整理しましょう。

音の高さを表す言葉ドレミとABC

音の高さのことを「ピッチ」といいます。「音程」も音の高さを表しますが、正確には2つの音の高さの隔たりを表すことばです。

ピッチを表す音名は、イタリア語の「ドレミファソラシ」が一般的ですが、ギターでは英語の「ABCDEFG」を使います。

「ドレミ〜」と「ABC〜」は下のイラストのように対応しています。

注意するところは、「ド」に対応しているのは「C」だということです。

チューナーなし_ドレミと弦

ギターのレギュラー・チューニングにおける各弦の音名は、次の通りです。

6弦:E(ミ) 太い弦
5弦:A(ラ)  ↓ 
4弦:D(レ)  ↓ 
3弦:G(ソ)  ↓ 
2弦:B(シ)  ↓ 
1弦:E(ミ) 細い

アルファベットでの音名表記は、和音=コードでも使われます。

ギターはピッチを上げながらチューニングする

ギターのチューニングは、ピッチを上げながら合わせていきます。

なぜならば、ギターの弦は糸巻き(ペグ)を回してゆるめる(ピッチを下げる)と、弦の張りにムラができてしまいピッチが安定しなくなるからです。

フォークギター各部の名称が書かれた下のイラストを見てください。弦は、ブリッジピン、サドル、ナット、糸巻き(ペグ)で固定されています。

弦をゆるめていくときに、これらの部位にひっかかりがあると、思った通りにピッチが下がりません。適切に下がらなかった場合、演奏中にピッチが下がってしまいチューニングが狂うのです。

そうならないためにも、ギターはピッチを上げながらチューニングするようにしましょう。

2つの音がずれているときに聞こえる「うなり」

チューニングは、2つの音を聞き比べながら行います。

2つの音がずれているときは、音が “ウォーン、ウォーン・・” と「うなり」ます。ずれが小さくなってくると、「うなり」のスピードが早くなり “ウォン、ウォン・・” となります。

そして、2つの音がぴったり合うと「うなり」が消えて、スーッと1本の筋が通ったような音になります。

チューニングは、この音の「うなり」がなくなっていくように行います。

チューナーなしでギターをチューニングする方法

チューナーを使わずにチューニングする方法は2種類あります。

●開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法

●2本の弦のハーモニクス音を合わせる方法です。

まずは、基本中の基本である「開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法」から解説します。

最も基本的なチューニングの方法

開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法」は、レギュラー・チューニングの基本中の基本です。

ギターには、同じピッチの音が複数の場所にあるので、その特徴を使って各弦をチューニングします。

一覧すると下のイラストのようになります。

チューナーなし_チューニング_基本ALL

では、チューニングの手順を解説していきます。

(1)基準の音を合わせる(5弦)

まずは、他の楽器やチューナーを使って、基準となる5弦(ラ)を合わせます。

なぜならば、5弦の周波数は440Hz(ヘルツ)で、他の楽器(バイオリンなど)をチューニングする際にも使われるからです。

ギターをチューニングする場合、始めに6弦を合わせた方が都合がいいのですが、ここでは楽器の基本となる5弦(440Hz)を合わせる方法を解説します。

基準となる音を出す楽器はいろいろありますが、代表的なものに音叉(おんさ)があります。

音叉は、チューニング・フォークとも呼ばれます。

楽器の音を合わせるための音叉は、「A=440Hz」と書いてあるものです。音叉は軽くて小さいので、ひとつ持っておくと便利です。

音叉で5弦を合わせる手順は以下の通りです。一連の動作には慣れが必要なので、しっかり覚えて実践してください。

<音叉で5弦を合わせる手順(開放音)>
(1)右手で音叉の柄(え)の部分を持つ。
(2)5弦の開放音(0フレット)を鳴らす。
(3)音叉を右ひざなど適切なものに打ち当てる。
(4)音叉の根元(丸い所)をギターのボディに押し当てる。
(5)左手で糸巻き(ペグ)を回してピッチを合わせる。

開放音で合わせる方法は、ギターより音叉の方がピッチが1オクターブ高いので、少し難しいかもしれません。

次に紹介するハーモニクス音で合わせる方法は、ギターと音叉のピッチが同じなので、合わせやすいでしょう。ただし、ハーモニクス音を正しく鳴らすことができないと、開放音で合わせる方法よりも難しいと思います。

<音叉で5弦を合わせる手順(ハーモニクス音)>
(1)右手で音叉の柄(え)の部分を持つ。
(2)5弦5フレットのハーモニクス音を鳴らす。
(3)音叉を右ひざなど適切なものに打ち当てる。
(4)音叉の根元(丸い所)をギターのボディに押し当てる。
(5)左手で糸巻き(ペグ)を回してピッチを合わせる。

音叉を使って基準の音を合わせる方法は、右手で音叉を持つため片手が自由になりません。そこで秘策があります。音叉を歯で噛むのです。

この方法は賛否両論ありますが、両手が自由になるのでチューニングはやりやすくなります。

ちなみに、私は人前では噛みませんが、一人のときは噛んでいます。(^_^;)

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪

基準の音を出す楽器は、音叉以外にもあります。ピアノ(電子ピアノ)やハーモニカ、リコーダーなどです。スマホのアプリでも基準の音を出すものがあります。

この記事では「チューナーなしでチューニングする方法」を解説しているのですが、もちろんチューナーを使って基準の音を合わせてもいいです。

(2)6弦の音を合わせる

基準となる5弦(ラ)を合わせたら、次は6弦の音を合わせます。

6弦5フレットの音と、5弦開放の音が同じになるように、6弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_基本A

6弦の糸巻き(ペグ)を回すときは、弦を押さえている左手を離すので、音が途切れてしまいます。

そこで、糸巻き(ペグ)を回すときには6弦開放の音を鳴らし、ピッチの上がり具合を確認しながら行うようにしましょう。

2つの音の「うなり」がなくなったら完了です。

(3)4弦の音を合わせる

6弦を合わせたら、次は4弦の音を合わせます。

5弦5フレットの音と、4弦開放の音が同じになるように、4弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_基本D

4弦の糸巻き(ペグ)を回すときは、5弦を押さえていた左手を離すので、音が途切れてしまいます。そのため、5弦の音を覚えておく必要があります。

2つの音の「うなり」がなくなったら完了です。

(4)3弦の音を合わせる

4弦を合わせたら、次は3弦の音を合わせます。

4弦5フレットの音と、3弦開放の音が同じになるように、3弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

糸巻き(ペグ)がヘッドの両側についているタイプのギターの場合、3弦からは反対側になるので、糸巻き(ペグ)を回す方向に注意します。

ギター_ヘッドの形状
チューナーなし_チューニング_基本G

3弦の糸巻き(ペグ)を回すときは、4弦を押さえていた左手を離すので、音が途切れてしまいます。そのため、4弦の音を覚えておく必要があります。

2つの音の「うなり」がなくなったら完了です。

(5)2弦の音を合わせる

3弦を合わせたら、次は2弦の音を合わせます。

3弦4フレットの音と、2弦開放の音が同じになるように、2弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

2弦の音を合わせるときだけ、押さえるフレットが違うので注意してください。3弦4フレットです。

2弦のチューニングが最も合わせづらいので、慎重に行いましょう。

チューナーなし_チューニング_基本B

2弦の糸巻き(ペグ)を回すときは、3弦を押さえていた左手を離すので、音が途切れてしまいます。そのため、3弦の音を覚えておく必要があります。

2つの音の「うなり」がなくなったら完了です。

(6)1弦の音を合わせる

最後に1弦の音を合わせます。

2弦5フレットの音と、1弦開放の音が同じになるように、1弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_基本E

1弦の糸巻き(ペグ)を回すときは、2弦を押さえていた左手を離すので、音が途切れてしまいます。そのため、2弦の音を覚えておく必要があります。

2つの音の「うなり」がなくなったら完了です。

(7)チューニングを繰り返す

ここまで、ひと通り6本の弦の音を合わせてきましたが、これで終わりではありません。チューニングを安定させるために、この作業を何回か繰り返します。

なぜならば、チューニングをしたことで各弦の張り具合が変わるため、始めに合わせた弦のピッチが微妙にずれていることがあるからです。

チューニングを繰り返す回数は決まっていません。チューニングを始める前のギターの状態によって、何度もやらなければならないこともあれば、1回で安定することもあるからです。

(8)チューニングを確認する

チューニングが安定してきたら、別の方法で確認をしましょう。

まず、6弦開放の音と1弦開放の音を聞き比べます。同じE(ミ)の音なので、ピッチが合っていれば音の「うなり」は感じられません。ただし、2オクターブ違っているので慣れが必要です。

チューナーなし_チューニング_基本E-E

次に、下図のように1オクターブ離れたピッチの確認をします。

チューナーなし_チューニング_基本確認1

E音:6弦開放=4弦2フレット
A音:5弦開放=3弦2フレット
D音:4弦開放=2弦3フレット
G音:3弦開放=1弦3フレット
E音:4弦2フレット=1弦開放

さらに、下図のような方法でも確認できます。

E音:6弦開放=5弦7フレット
A音:5弦開放=4弦7フレット
D音:4弦開放=3弦7フレット
G音:3弦開放=2弦8フレット
B音:2弦開放=1弦7フレット

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪

開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法」は、レギュラー・チューニングの基本中の基本です。

きっちりチューニングして、心地よいギター演奏を楽しんでください。

ハーモニクス・チューニングの方法

次に、ハーモニクスを使ったチューニング方法を紹介します。

ギターは、その構造上100%完璧なチューニングはできないのですが、ハーモニクスを使ったチューニング方法は、先に紹介した「開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法」よりも誤差が小さい方法です。

また、音を聞き比べながらチューニングできるので、短時間でチューニングを終わらせることができるという利点もあります。

ハーモニクス・チューニングの方法を一覧すると、下図のようになります。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスALL

では、ハーモニクス・チューニングの手順を解説していきます。

(1)基準の音を合わせる(5弦)

基準となる音は、先に紹介した「開放弦の音と別の弦のフレットを押さえた音を合わせる方法」と同様に行います。一般的には5弦(ラ)の音を合わせます。

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(2)6弦の音を合わせる

基準となる5弦(ラ)を合わせたら、次は6弦の音を合わせます。

6弦5フレットと5弦7フレットのハーモニクス音が同じになるように、6弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスE

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(3)4弦の音を合わせる

6弦を合わせたら、次は4弦の音を合わせます。

5弦5フレットと4弦7フレットのハーモニクス音が同じになるように、4弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスA

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(4)3弦の音を合わせる

4弦を合わせたら、次は3弦の音を合わせます。

5弦5フレットと3弦7フレットのハーモニクス音が同じになるように、3弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスD

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(5)2弦の音を合わせる

3弦を合わせたら、次は2弦の音を合わせます。

6弦7フレットと2弦12フレットのハーモニクス音が同じになるように、2弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

6弦7フレットと2弦12フレットのハーモニクス音は、1オクターブ離れているので、音の「うなり」をよく聞き分けてください。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスB

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(6)1弦の音を合わせる

2弦を合わせたら、次は1弦の音を合わせます。

2弦5フレットと1弦7フレットのハーモニクス音が同じになるように、1弦の糸巻き(ペグ)を回して調整します。

チューナーなし_チューニング_ハーモニクスB

ピッチを上げながらチューニングし、音の「うなり」がなくなったら完了です。

(7)チューニングを繰り返す

ここまで、ひと通り6本の弦の音を合わせてきましたが、これで終わりではありません。チューニングを安定させるために、この作業を何回か繰り返します。

なぜならば、チューニングをしたことで各弦の張り具合が変わるため、始めに合わせた弦のピッチが微妙にずれていることがあるからです。

チューニングを繰り返す回数は決まっていません。チューニングを始める前のギターの状態によって、何度もやらなければならないこともあれば、1回で安定することもあるからです。

(8)チューニングを確認する

チューニングが安定してきたら、下図のような方法で確認をしましょう。

E音:6弦12フレット=5弦7フレット
A音:5弦12フレット=4弦7フレット
D音:4弦12フレット=3弦7フレット
B音:6弦7フレット=2弦12フレット
E音:5弦7フレット=1弦12フレット
B音:2弦12フレット=1弦7フレット
E音:6弦12フレット=1弦12フレット

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪

ハーモニクス・チューニング」は、2音の「うなり」を聞きながら調節できるので、ぜひ習得したい方法です。

サクッとチューニングして、美しい音色のギター演奏を楽しんでください。


 

このハーモニクス・チューニングですが、ギターの構造的に正確なチューニングができないようです。

指摘された内容を引用させていただきます。

7Fのハーモニクス音は、平均律楽器であるギターの同弦7Fの実音の1オクターブ上の音程と同一ではありません。具体的に言うと、5弦開放弦を音叉で合わせた後、5弦7Fと6弦5Fのハーモニクスで合わせる時、前者の音程は本来のE音より数セント上の音が出るため、結果的に6弦の音程も数セントずれて調弦されることとなります。この連鎖により、4弦、3弦・・・もずれてチューニングされます。この方法でチューニングを終えた直後、「2弦開放と3弦4Fを同時に鳴らすとなんか合わない」などの現象が見られるはずです。

hiroi2様より(2024/8/13)

hiroi2様、ご指摘ありがとうございます。

まとめ:チューナーなしでギターをチューニング!

ここまで、ギターのチューニングについて解説してきました。

ギターのチューニングの種類

ギターをチューニングするための基礎知識
 ・音の高さを表す言葉ドレミとABC
 ・ギターはピッチを上げながらチューニングする
 ・2つの音がずれているときに聞こえる『うなり』

チューナーなしでギターをチューニングする方法
 ・最も基本的なチューニングの方法
 ・ハーモニクス・チューニングの方法

きっちりチューニングしたギターでも、しばらく弾いていると狂ってきますので、演奏中でもチューナーなしでサクッとかっこよくチューニングしてしまいましょう。

この記事があなたの一助になれば幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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