ギターのオクターブチューニング!やり方と調整の限界

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開放弦でちゃんとチューニングをしたのに、ハイポジションではわずかにピッチがずれていると思ったことはありませんか。

それは、ギターのオクターブチューニングが狂っているからです。

オクターブチューニングが正しいギターは、どのポジションで弾いてもピッチが安定しているので気持ちがいいものです。

そこでこの記事では、ギターのオクターブチューニングについて、そのやり方と調整できる限界について解説します。

どうぞ最後までお読みください。

ギターのオクターブチューニングが狂う原因

オクターブチューニング 1/2イラスト

オクターブチューニングのやり方の前に、オクターブチューニングが狂う原因を解説します。

ギターの弦は、サドル(ブリッジ上)とナット(ネックとヘッドの境)で支えられていて、その中間が12フレットです。

そのため、弦を押さえない開放弦の音と、12フレットを押さえた音は、1オクターブ違いの同じ音になります。

たとえば、6弦開放の音は[E(ミ)]ですが、6弦12フレットの音はそれより1オクターブ高い[E(ミ)]の音です。

オクターブチューニングが正しいギターでは、開放弦の音と12フレットの音が、ピッタリ1オクターブ違いになっています。

ところが、オクターブチューニングが狂っているギターでは、開放弦の音に比べて、12フレットの音の方が、わずかに低かったり高かったりするのです。

このようなギターでは、ハイポジション(ボディに近い方)に行けば行くほど、チューニングの狂いが大きくなります。

オクターブチューニングが狂う原因は、主に4つあります。

  • ギターのつくりが悪い
  • ネックが反っている
  • 弦の太さを変えた
  • サドルの位置がずれている

それぞれ説明します。

ギターのつくりが悪い

オクターブチューニング つくりが悪い

低価格でつくりが悪いギターは、フレットの位置がずれているなど、もともとオクターブチューニングが狂っていることがあります。

このようなギターは、プロのリペアマンでも調整できないことがあるので、お金をかけて直すことはあきらめた方がいいでしょう。

ネックが反っている

オクターブチューニング ネックの反り

ネックが反っているギターは、オクターブチューニングが狂っていることがあります。

12フレットが弦長の半分になっていないからです。

フォークギターやエレキギターは、トラスロッド(ネックの中に入っている鉄の棒)を調節することで、ネックをストレートに直すことができます。

上のイラストのような「順反り」を直すには、トラスロッドを右回り(時計回り)に回します。反対の「逆反り」を直すには、トラスロッドを左回り(反時計回り)に回します。

最初に回す角度は10〜45度ぐらいです。あとは様子を見ながら少しずつ回していきます。

素人でも慎重に行えば失敗しませんが、あくまでも個人の責任でやってください。心配な方はプロのリペアマンにお願いしましょう。

このように、ネックの反りが原因でオクターブチューニングが狂っている場合は、ネックの状態を調整することでオクターブチューニングを直すことができます。

弦の太さを変えた

オクターブチューニング 弦を変えた

ギターの弦を違う太さに変えたときにも、オクターブチューニングが狂うことがあります。0.何ミリの差ですが、それでも狂うことがあるのです。

そのため、使用する弦の太さを変えたときは、オクターブチューニングを行うようにしましょう。

完璧を求めるなら、同じ太さの弦を張る場合でも、弦交換の度にオクターブチューニングを行った方がいいでしょう。

サドルの位置がずれている

オクターブチューニング サドルがずれている

サドルの位置がずれているために、オクターブチューニングが狂っていることがあります。

この場合は、サドルの位置を調整するだけで、オクターブチューニングを直すことができます。

エレクトリックギター(エレキ)は、ドライバー1本でサドルを移動させることができる構造のものが多いので、調整は比較的簡単です。

フォークギター(アコギ)の場合は、サドルを削って調整しなければならないので、難易度が上がります。

そこで次は、サドルの位置を移動させるオクターブチューニングのやり方を解説します。

オクターブチューニングのやり方と注意点[エレキ編]

エレキの場合は、ドライバー1本でサドルを移動させることができるので、比較的簡単にオクターブチューニングをすることができます。

サドルを移動させる方向

サドルの位置をどちらの方向に移動させるのかは、ギターの症状によって決まります。

オクターブチューニング サドルを動かす方向

開放弦の音より12フレットの音の方が低いときは、サドルをネック側に動かして、12フレットの音を高くします。(黄色の矢印→)

反対に、開放弦の音より12フレットの音の方が高いときは、サドルをボディエンド側に動かして、12フレットの音を低くします。(←緑色の矢印)

サドルを移動させる手順

実際にサドルを移動させるためには、チューナーと小さめのドライバーが必要です。

6弦を例にして、サドルを動かす手順を解説します。

  1. チューナーをギターに装着する
  2. 6本の弦を正確にチューニングする
  3. さらに6弦開放の音[E]を正確に合わせる
  4. 12フレットを押さえて音を出す
  5. その音が[E]より高いか低いかを確認する
  6. ペグ(糸巻き)を回して6弦をゆるめる
  7. ドライバーを使ってサドルを動かす
  8. 3〜7を繰り返す

残りの5〜1弦も同様の作業を繰り返して、全ての弦のサドル位置を決めていきます。

とても大変なようですが、サドルの調整作業は頻繁に行うことではないし、やっているうちに作業自体に慣れてきて、スラスラとできるようになります。

何よりもオクターブチューニングがピッタリ合ったときの心地よさは格別なので、妥協せずにサドルの調整をしてください。

サドルを移動させるときの注意点

サドルを移動させるときに注意することが5つあります。

  • 弦高の調整は事前にやっておく
  • 適度な力で12フレットを押さえる
  • サドルを動かす前には弦をゆるめる
  • ドライバーでギターを傷つけないようにする
  • エレキのタイプによって調整の仕方が違う

それぞれ解説します。

・弦高の調整は事前にやっておく

弦高の調整は、オクターブチューニングをする前にやっておきます。

なぜならば、弦高を変えるとオクターブチューニングも変わってしまうからです。

弦高調整をする必要がある場合は、オクターブチューニングをする前にやっておきましょう。

・適度な力で12フレットを押さえる

12フレットを押さえるときの力加減は、演奏中に弦を押さえるときの力加減と同じにします。

なぜならば、強く押さえると音程が高くなってしまうからです。

オクターブチューニング 押さえる力が強い

正確にオクターブチューニングをするために、適切な力加減で弦を押さえるようにしましょう。

オクターブチューニング 押さえる力が適切

・サドルを動かす前には弦をゆるめる

ドライバーを使ってサドルを移動させるときには、必ずペグ(糸巻き)を回して弦をゆるめます。

なぜならば、弦の張りが強いと、サドルが自由に動かないからです。

特に、ボディエンド側に動かすときは注意が必要です。

ボディエンド側に動かすときは弦の張りが強くなるため、ドライバーを回すのに大きな力が必要になります。

そのため、弦が切れたり、ドライバーが外れてギターを傷つけたりする恐れがあります。

このような危険を避けるため、サドルを移動させるときは、必ず弦をゆるめるようにしましょう。

・ドライバーでギターを傷つけないようにする

ドライバーを使ってサドルを移動させるときには、ギターを傷つけないようにするために、クロスなどを敷くことをオススメします。

オクターブチューニング クロス

特に、ボディエンド側に動かすときは大きな力が必要なので、ドライバーが外れるとギターに致命的な傷をつける恐れがあります。

サドルを動かすときは、必ず弦をゆるめ、クロスを敷いてドライバーを使うようにしましょう。

・エレキのタイプによって調整の仕方が違う

エレキには色々なタイプがあり、そのタイプごとにサドルの動かし方も違います。

事前によく確認してからオクターブチューニングを行いましょう。

たとえば、レスポールタイプは、ピックアップ側からマイナスドライバーを使ってサドルを移動させるのが一般的です。

オクターブチューニング レスポールタイプ

弦を固定するフロイドローズタイプでは、サドルを固定しているネジを6角レンチでゆるめてから、サドルの位置を動かします。そして、サドルの位置が決まったら、また6角レンチでサドルを固定します。

オクターブチューニング フロイドローズタイプ

旧型のテレキャスタータイプは、サドルが3つしかありません。1・2弦用、3・4弦用、5・6弦用です。そのため、弦1本ずつの微妙な調整ができません。

最近の機種では、各弦にサドルがあるタイプもあります。購入時に確認しておくといいでしょう。

オクターブチューニング テレキャスタータイプ

オクターブチューニングのやり方と注意点[アコギ編]

オクターブチューニング フォークギター

アコギの場合は、サドルをヤスリで削って、オクターブチューニングをします。

しかし、失敗が許されません。なぜならば、削りすぎてしまったときにやり直しができないからです。

失敗したら、新しいサドルを買ってきて、もう1度始めからやり直すしか方法はありません。

このことを理解した上で、オクターブチューニングの調整を行うようにしましょう。

サドルの削り方

アコギのサドルも、エレキのときと同じ考え方で調整します。

オクターブチューニング フォークギターのサドル

開放弦の音より12フレットの音の方が低いときは、ネック側が高くなるようにサドルを削り、12フレットの音を高くします。(イラスト上)

反対に、開放弦の音より12フレットの音の方が高いときは、ボディエンド側が高くなるようにサドルを削り、12フレットの音を低くします。(イラスト下)

これを各弦行い、全ての弦のオクターブチューニングを合わせます。

サドルを削る手順

実際にサドルを削るためには、チューナーとヤスリが必要です。

具体的にサドルを削る手順を解説します。

  1. チューナーをギターに装着する
  2. 6本の弦を正確にチューニングする
  3. 開放弦と12フレットの音を比べてメモする
  4. 6本の弦をゆるめてサドルを外す
  5. メモをもとにサドルを削る
  6. サドルを装着して2〜5を繰り返す

メモする内容は、開放弦の音と比べて12フレットの音が高いか低いかです。

そのメモをもとにして、「勘」を頼りにサドルを削ります。

サドルを削るためには、サドルをギターから外さなければなりませんが、弦をかなりゆるめないとサドルが外れません。そのため、弦交換の時に使うストリング・ワインダーがあると便利です。

オクターブチューニング ストリング・ワインダー

また、サドルを削る作業は「勘」が頼りになりますが、削り方は下の写真が参考になります。(Takamineのエレアコ)

オクターブチューニング Takamineのエレアコ

オクターブチューニングの限界

オクターブチューニングには、調整の限界があります。

サドルを移動させたり削ったりして弦長を変えるためには、構造的な限界があるからです。

オクターブチューニング 限界

この範囲内でオクターブチューニングが合わないときは、ネックの反りなどの原因が考えられます。

そのような場合は、サドルの位置の調整だけでなく、ギター全体の状態を確認しましょう。

よくわからないときは、プロのリペアマンに任せた方がいいでしょう。

ハーモニクスを使ったやり方

オクターブチューニングは、12フレットのハーモニクス音と12フレットの音を比べる方法があります。

この方法の利点は、12フレットのハーモニクス音が、12フレットを押さえたときの音と全く同じだということです。

なぜならば、12フレットのハーモニクス音は、開放弦より1オクターブ高い音だからです。

実際の手順を6弦を例にして説明します。

  1. チューナーをギターに装着する
  2. 6本の弦を正確にチューニングする
  3. さらに6弦12フレットのハーモニクス音を[E]に合わせる
  4. 12フレットを押さえて音を出す
  5. その音が[E]より高いか低いかを確認する
  6. ペグ(糸巻き)を回して6弦をゆるめる
  7. ドライバーを使ってサドルを動かす
  8. 3〜7を繰り返す

サドルを動かす方向は、開放弦ときと同じです。

オクターブチューニング サドルを動かす方向

ハーモニクス音より12フレットの音の方が低いときは、サドルをネック側に動かして、12フレットの音を高くします。(黄色の矢印→)

反対に、ハーモニクス音より12フレットの音の方が高いときは、サドルをボディエンド側に動かして、12フレットの音を低くします。(←緑色の矢印)

まとめ:ギターのオクターブチューニング!やり方と調整の限界

ここまで、ギターのオクターブチューニングについて、原因とやり方、調整できる限界について解説してきました。

ギターのオクターブチューニングが狂う原因
 ギターのつくりが悪い
 ネックが反っている
 弦の太さを変えた
 サドルの位置がずれている

オクターブチューニングのやり方と注意点[エレキ編]
 サドルを移動させる方向
 サドルを移動させる手順
 サドルを移動させるときの注意点
  ・弦高の調整は事前にやっておく
  ・適度な力で12フレットを押さえる
  ・サドルを動かす前には弦をゆるめる
  ・ドライバーでギターを傷つけないようにする
  ・エレキのタイプによって調整の仕方が違う

オクターブチューニングのやり方と注意点[アコギ編]
 サドルの削り方
 サドルを削る手順

オクターブチューニングの限界

ハーモニクスを使ったやり方

この記事を参考にオクターブチューニングを正しく調整し、どのポジションでも気持ちよくギターを弾いてください。

この記事があなたの一助になれば幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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