ギターには、トリルという「装飾音」のテクニックがあります。
「装飾音」は、曲の表情を豊かにするために部分的に付け加える音です。
トリルができるとギターの表現力が増すので、ぜひ習得したいテクニックです。
そこでこの記事では、トリルのやり方と速く弾くコツ、そして練習法を解説します。
どうぞ最後までお読みください。
もくじ
トリルのやり方
トリルとは、ハンマリング・オンとプリング・オフを高速に繰り返す弾き方です。2つの音が交互に鳴るので、音が揺れているような効果を表現することができます。
ハンマリング・オンは弦に指を叩きつけて音を鳴らすテクニック、プリング・オフは指で弦を引っ掻いて音を鳴らすテクニックです。詳しくは別の記事で解説しています。
トリルは、基本的に下の音から始まり下の音で終わります。しかし、上の音から始まり下の音で終わるトリルもあります。
それぞれ解説します。
下の音から始まるトリル
下の音から始まるトリルが、通常のトリルです。
楽譜では、トリルの表し方は様々なパターンがありますが、通常「tr」と書かれています。
下の楽譜A・B・Cは、どれも同じ弾き方を表しています。
TAB譜AとCを見てください。「5・7」という数字が書いてあります。
これは、「5フレットの音から始めて、7フレットの音を使ってトリルする」という意味です。
TAB譜Bでは「5」しか書いてありませんが、これは始めの音が5フレットの音であることを表しています。そして、7フレットの音を使ってトリルするのだと読み取ります。
実際の演奏では、下の楽譜のようにハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返します。
ハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返す速さや回数は、指定されていません。
トリルの速さや回数は、演奏者あるいは指揮者によって決められます。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
上の音から始まるトリル
まれに、上の音から始まるトリルがあります。
その場合、楽譜D・Eのように表されます。
楽譜Dでは、「レ・ド」(7・5フレット)と書かれているので、上の音「レ」(7フレット)から始まるトリルだということがわかります。
しかし、楽譜Eでは、上の音から始まることはわかりません。この場合、演奏者や指揮者が判断することになります。
実際の演奏では、下の楽譜のようにハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返します。
上の音から始まるトリルも下の音から始まるトリルと同様に、ハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返す速さや回数は指定されていません。
トリルの速さや回数は、演奏者あるいは指揮者によって決められるのです。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
上の音から始まるトリルを動画で確認してください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
全音と半音のトリル
トリルをするときの2つの音の差は、基本的に2種類あります。
- 全音のトリル:2フレット離れた音を行き来する
- 半音のトリル:1フレット離れた音を行き来する
それぞれ解説していきます。
全音のトリル
TAB譜AとCを見ると、5・7フレットが明記されているので、2フレット離れた全音のトリルだということがわかります。
しかし、楽譜Bでは、「ド」3弦5フレットの音を使ったトリルであることはわかりますが、もう1つの音がわかりません。この場合、スケールの知識が必要になります。
スケールとは「音階:音の並び方」のことで、簡単にいうと「ドレミファソラシド」です。
下のギター指板図を見てください。これは、Cメジャースケールです。これを見ると「ドレミファソラシド」が、指板上のどこにあるかがわかります。
楽譜Bでは、「ド」3弦5フレットしか明記されていませんが、この指板図にあるスケールを理解していれば、「ドとレ」3弦5・7フレットのトリルであることがわかります。
実際には、下の楽譜のようにギターを弾きます。
半音のトリル
TAB譜Fを見ると、5・6フレットが明記されているので、1フレット離れた半音のトリルだということがわかります。
しかし、楽譜Gでは、「ミ」2弦5フレットの音を使ったトリルであることはわかりますが、もう1つの音がわかりません。この場合、スケールの知識が必要になります。
下の指板図を見てください。先ほどの指板図と同じCメジャースケールです。
楽譜Gでは、「ミ」2弦5フレットしか明記されていませんが、スケールを理解していれば、「ミとファ」2弦5・6フレットのトリルであることがわかります。
実際には、下の楽譜のようにギターを弾きます。
♩♫♩ ♩♫♩ ♩♫♩
全音と半音のトリルを動画で確認してください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
トリルのコツと練習法
トリルは、ハンマリング・オンとプリング・オフを高速に繰り返す弾き方なので、ギター初心者にとっては難しいテクニックです。
そこでここからは、トリルを速く弾くコツと練習法を解説していきます。
トリルを速く弾くコツ
トリルを速く弾くコツは2つあります。
- 力を入れ過ぎないこと
- 指を遠くに離さないこと
指に力が入っていると速い動きができません。できるだけ力は抜きます。しかし、力が弱過ぎるときれいな音が出ません。ちょうどよい力加減をみつけてください。
また、指を遠くに離すと移動距離が長くなるので、素早いトリルができません。指は、できるだけ弦の近くで動かすようにします。
これらのことを実現するためには、ハンマリング・オンとプリング・オフを、小さな動きで行うことが必要です。
トリルの練習法
トリルを上手に行うためには、できるだけ小さな動きでハンマリング・オンとプリング・オフを繰り返さなければなりません。
そこでまず、開放弦を使ったトリル練習から始めます。
- 1弦開放と2フレットのトリル:薬指
- 1弦開放と2フレットのトリル:中指
次に、2本の指を使ったトリルを1弦で行います。
- 1弦5-7フレットのトリル:人差し指と薬指
- 1弦5-6フレットのトリル:人差し指と中指
1弦でのトリルがスムーズにできるようになったら、次は2弦で行います。
- 2弦5-7フレットのトリル:人差し指と薬指
- 2弦5-6フレットのトリル:人差し指と中指
2弦でトリルすると、指が1弦に当たって不要な音が出ることがあります。そうならないようにするために、左手の人差し指の腹を1弦に軽く触れてミュートしておきます。
ミュートをしながらトリルすることができるようになったら、2本指のトリルを3〜6弦でも行います。
- 3〜6弦5-7フレットのトリル:人差し指と薬指
- 3〜6弦5-6フレットのトリル:人差し指と中指
2弦の時と同じように、トリルする弦のすぐ下の弦は左手人差し指の腹でミュートしておきます。
このようにして、全ての弦で全音と半音のトリル練習をしていきます。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
ここで疑問になるのが、開放弦を使ったトリルでは、どの指でミュートをするのかです。
開放弦を使ったトリルでは、右手でミュートをします。ピックを持っていない右手の指で、トリルする弦のすぐ下の弦に触れておきます。すぐ上の弦にも触れておけば、不要な音が出てしまうことを予防できます。
右手でのミュートは、どの場所でのトリルでも有効です。しかし、すぐ下の弦をミュートするだけなら、左手の人差し指だけでできます。左手だけでミュートできれば、右手は次の演奏に備えておくことができます。
理想は、適切なミュートの方法を瞬時に選んで、不要な音が出ないようにすることです。
トリルの練習では、左指を速くスムーズに動かすことも大切ですが、不要な音が出ないようにミュートすることにも気を配るようにしましょう。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
トリルの練習法を動画で確認してください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
まとめ:ギターでトリル!やり方と速く弾くコツ、練習法
ここまで、ギターで行うトリルのやり方と速く弾くコツ、そして練習法について解説してきました。
トリルのやり方
下の音から始まるトリル
上の音から始まるトリル
全音と半音のトリル
全音のトリル
半音のトリル
トリルのコツと練習法
トリルを速く弾くコツ
トリルの練習法
トリルができると、ギターで表現できることが増えます。
この記事を参考に、ぜひ習得してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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