曲に強烈なアクセントをつけるピッキング・ハーモニクス。
あの「ピーン」という金属的な高い音は、どうやって出しているのでしょうか。
この記事では、ピッキング・ハーモニクスのやり方とコツ、音を出しやすくするためのギターやアンプのセッティングについて解説します。
どうぞ最後までお読みください。
もくじ
ハーモニクスとは
ハーモニクスとは、基準となる音よりも高い音(倍音)を出すギターのテクニックです。
ハーモニクスは、大きく分けて3種類あります。
- ナチュラル・ハーモニクス
- タッピング・ハーモニクス
- ピッキング・ハーモニクス
ナチュラル・ハーモニクスとは、左手の指で弦に軽く触れた状態でピッキングし、倍音を出す演奏法のことです。
ナチュラル・ハーモニクスについては、ギターでハーモニクス!やり方とコツ、原理と音程[動画あり]で詳しく解説しています。
タッピング・ハーモニクスとは、ナチュラル・ハーモニクスが出るフレットの上を、右手の指で叩くことにより、倍音を出す演奏法のことです。
タッピング・ハーモニクスについては、ギターでタッピング・ハーモニクス!やり方とコツ[動画あり]で詳しく解説しています。
ピッキング・ハーモニクスとは、ピックを持っている親指を弦に当てながらピッキングすることで、金属的な甲高い音を出す演奏法のことです。
このようにハーモニクスは3種類ありますが、この記事ではピッキング・ハーモニクスについて解説します。
ピッキング・ハーモニクスのやり方とコツ
ピッキング・ハーモニクスは、ロックやヘヴィメタルなど、激しい曲のバッキング(伴奏)やギターソロでよく使われるテクニックです。
したがって、アコースティックギターではなく、エレキギターでやるテクニックだと思っていいでしょう。
ナチュラル・ハーモニクスと大きく違うのは、ピッキング・ハーモニクスは右手だけで行うということです。
ナチュラル・ハーモニクスは、左手の指で弦に軽く触れ、右手でピッキングします。それに対してピッキング・ハーモニクスは、ピックを持っている指を弦に触れさせることでハーモニクス音を出します。
つまり、「弦に触れること」と「弦をはじくこと」を右手だけで同時に行うのが、ピッキング・ハーモニクスなのです。
そのため、キレイに音を出すためには、ピックの持ち方や弦のはじき方、ギターやアンプのセッティングなどについてコツが必要です。
ここからは、私流のピッキングハーモニクスのやり方とコツを解説していきます。
ピックの持ち方
ピッキング・ハーモニクスは、ピックを持っている親指の側面を弦に当てながらピッキングするので、親指と弦の距離を近くしなければなりません。
そのためには、ピックの先端が短くなるようにピックを持つ必要があります。
しかし、ピッキング・ハーモニクスをするときだけ、ピックを持ち変えるのは現実的ではありません。
私はこれを実現するために、ピッキング・ハーモニクスをするときだけ、ピックを持っている親指と人差し指の関節を通常のピッキングよりも曲げるようにしています。
こうすることで、ピックの先端が短くなり、親指と弦の距離を近くすることができます。[下に動画あり]
ピックを弦に当てる角度
通常、ピックで弦をはじくときには、ピックと弦が平行になるようにしますが、ピッキング・ハーモニクスでは、ピックと弦が垂直に当たるようにします。
こうすることで、親指の側面が弦に当たりやすくなります。
弦をはじくときのイメージですが、ピックと弦が平行なときは「ピン・ピーン」という感じですが、垂直に当てるときは「ガリッ・ゴリッ」というような感じになります。[下に動画あり]
ピックを弦に当てる強さ
ピッキング・ハーモニクスをするときは、通常よりも強く弦をはじきます。
なぜならば、ピッキング・ハーモニクスで出た甲高い音を強調したいからです。
ところが、ピッキング・ハーモニクスは、親指の側面を弦に当てて音を出すので、ふつうにピッキングしたときよりも弦の振動が弱くなります。
つまり、音量が小さくなってしまうのです。
それを防ぐために、ピッキング・ハーモニクスでは、ふつうにピッキングするときよりも強く弦をはじくようにします。[下に動画あり]
ピックを弦に当てる位置
ピッキング・ハーモニクスでもっとも難しいのは、ピッキングする位置をみつけることです。
なぜならば、ハーモニクスの音はどこでも鳴るわけではなく、鳴る位置がある程度決まっているからです。
ハーモニクスの音がよく出るのは、弦長の「整数分の1」の位置です。
弦長とは、ボディのブリッジ上にある「サドル」から、ヘッドとネックの境目にある「ナット」までの長さです。
ピッキング・ハーモニクスは、弦長の1/4や1/5、あるいは1/6の位置でよく鳴ります。
上のイラストのような3ピックアップのエレキギターでは、ピックアップの位置を目安にすることができます。
弦長の1/4はフロント・ピックアップの上あたり、1/5はフロントとセンターの間あたり、1/6はセンターとリアの間あたりです。
しかし、これは開放弦でピッキング・ハーモニクスをするときの位置です。
バッキング(伴奏)やギターソロのときには、フレットを押さえた状態でピッキング・ハーモニクスを行います。そのため、その都度ピッキング・ハーモニクスが鳴る位置をみつけなければなりません。
ところが、ピッキング・ハーモニクスをする位置は、ネックの上ではないのでフレットがありません。
つまり、ピッキング・ハーモニクスをするためには、フレーズごとに試行錯誤をしながら、ピッキングする位置を探す必要があります。
初めのうちはなかなか位置を特定することは難しいのですが、慣れてくるとだんだんわかるようになります。
上のイラストのような3ピックアップのエレキギターでは、フロントとセンター・ピックアップの間あたりで探すと見つかりやすいでしょう。
さらに、甲高い音を求めるのであれば、ピッキングする位置をリア・ピックアップに近づけていきます。
様々な位置で試して、ポイントをみつけていきましょう。[下に動画あり]
ハーモニクス音が鳴りやすい弦
ハーモニクス音は、細い弦よりも太い弦の方が鳴りやすい傾向があります。
また、弾きやすさも考慮すると、初めのうちは5弦や4弦で練習するとコツがつかみやすいでしょう。
ピックアップのセレクト
ピッキング・ハーモニクスの音が出やすいのは、リア・ピックアップをセレクトしたときです。
フロント・ピックアップよりもリア・ピックアップの方が、ピッキング・ハーモニクスの音をよく拾います。
さらに、シングルコイル・ピックアップよりも、ハムバッキング(ハムバッカー)・ピックアップの方が、ピッキング・ハーモニクスの音がより出やすい傾向にあります。
ピッキング・ハーモニクスの音がキレイに出るようになったら、ピックアップの位置やタイプを変えて自分の好きな音を探すのも楽しいでしょう。[下に動画あり]
アンプのセッティング
ピッキング・ハーモニクスは、クリーントーンではよく鳴りません。アンプのゲインやドライブをマックスにして、目いっぱい歪ませた方がよく鳴ります。
ピッキング・ハーモニクスは、最大に歪ませた状態で練習した方が、早く習得できます。
音がキレイに出るようになったら、歪み具合を調整して、好みの音を作っていくといいでしょう。[下に動画あり]
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ピッキング・ハーモニクスのやり方とコツを動画にまとめました。
「百聞は一見にしかず」です。ピッキング・ハーモニクスの音をどうやって出しているのか、動画で確認してください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
ピッキング・ハーモニクスの演奏例
ピッキング・ハーモニクスを使ったフレーズの演奏例を動画にしています。
あなたのフレーズづくりの参考にしてください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
まとめ:ギターでピッキング・ハーモニクス!やり方と決めるコツ
ここまで、ピッキング・ハーモニクスのやり方とコツ、音を出しやすくするためのギターやアンプのセッティングについて解説してきました。
ハーモニクスとは
ピッキング・ハーモニクスのやり方とコツ
ピックの持ち方
ピックを弦に当てる角度
ピックを弦に当てる強さ
ピックを弦に当てる位置
ハーモニクス音が鳴りやすい弦
ピックアップのセレクト
アンプのセッティング
ピッキング・ハーモニクスの演奏例
曲にアクセントをつけるピッキング・ハーモニクス。この記事を参考に、ぜひ習得してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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