エレキギターを始めたいけど、どれだけの費用を準備したらいいでしょうか?
こんな質問を受けることがあります。
エレキギターを始めるのに100万円も準備できるのなら、費用についての心配はありません。
しかし、予算1万円という場合は、どうしたらいいのでしょうか。
そこでこの記事では、エレキギターを始めるときに必要な費用について、準備できる予算別に解説します。
これからエレキギターを始めたい!と思っている方の参考になれば幸いです。
どうぞ最後までお読みください。
もくじ
エレキギターを始めるのに最低限必要なもの
エレキギターは、ギター本体だけでは始めることができません。
アンプを使わないと、エレキギターの音が出ないからです。
また、ギター本体以外に、持っていると便利なものがいくつかあります。
そこでまず、エレキギターをこれから始める人にとって、最低限必要なものを解説します。
エレキギターを始めるときに最低限必要なものは、次の6点です。
ギター本体 | 価格は、5,000〜1,000,000円程度。 |
チューナー | 6本の弦の音の高さを合わせるもの。 クリップ型チューナーが使いやすい。 価格は、1,000〜2,000円程度。 |
ピック | 弦を弾いて音を出すもの。 様々な形、固さのものがあるが、三角形の形をしたミディアムの固さが使いやすい。 価格は、100〜500円程度。 |
ギタースタンド | ギターを立てておくもの。 価格は、1,000〜5,000円程度。 |
アンプ | エレキギターの音を出す機器。 家庭で使う場合は、出力5〜10W程度で十分。 価格は、5,000〜50,000円程度。 |
シールド・ケーブル | ギターとアンプをつなぐ線。 家庭で使う場合は、2〜3m程度で十分。 価格は、1,000〜3,000円程度。 |
これだけあれば、とりあえずエレキギターを始めることができます。
詳しくは、ギター初心者がエレキを始めるとき最低限必要なもの揃えるもので解説しています。
ここに挙げた6点の最低価格を合計すると、13,100円ほどになります。
反対に、最高価格は100万円を超えます。
どこにその差があるのかというと、それはエレキギター本体の価格です。
すなわち、[ 準備できる予算 = ギターの価格 ]ということになります。
新品か中古?ネットか楽器店?
エレキギターは、新品で購入する方法と中古を購入する方法がありますが、初心者は新品を購入するのが無難です。
中古の場合、購入後に調整をしなければならないことがあるからです。
中古を安く買った後に、調整代の方がギターより高かったということもあります。
そのため、初心者は新品のギターを選ぶようにしましょう。
新品のギターはネットでも楽器店でも購入することができます。
ネットの場合は、価格が安いということがメリットです。
しかし、ギターを手に取って試し弾きをすることができません。
楽器店では試し弾きができます。
このことが、楽器店でギターを購入する最大のメリットです。
試し弾きをすれば、見た目がカッコいい、音がいい、ギターが抱えやすい、ネックが握りやすい、コントローラーが使いやすいなどがわかります。
そのため、購入後に後悔しなくてすみます。
また、楽器店によっては、弦高を下げるなどの初期調整を無料でやってくれるところがあり、最良の状態でギターを始めることができます。
このような理由から、初心者はできる限り楽器店で新品を購入するようにしましょう。
では次に、準備できる予算別に、どのようなギターを選ぶことができるかを解説します。
予算1万円未満
残念ながらエレキギターは、予算1万円未満では購入することができないと思ってください。
Amazonなどで販売されている超格安の「初心者セット」でも、1万5,000円ほどします。
アコギの「初心者セット」は1万円未満のものがありますが、それはアンプが不要だからです。
アコギはアンプがなくても音が出ますが、エレキはアンプがなければ音が出ません。
厳密にいえば、エレキもアンプ無しで音は聞こえます。
しかし、それは「聞こえる」だけであって、エレキギター本来の音ではありません。
エレキギターは、アンプを通して音を出すことを前提に作られています。
生音だけで練習すると、ピッキングや押弦の力が必要以上に強くなるなど、悪いクセがつきやすくなります。
そのため、練習をするときは、必ずアンプから音を出すようにした方がいいのです。
このような理由から、予算1万円未満でエレキギターを始めるのは難しいといえます。
予算1〜2万円
予算が1〜2万円未満の場合、最低限必要なもの6点を揃えるには、インターネットで販売されている超格安な「初心者セット」を選ぶことになります。
1万5,000円ほどのセットでも、アンプやシールド・ケーブル、ピックやチューナーがついているので、すぐにエレキギターを始めることができます。
しかし、この価格帯の「初心者セット」についているアンプは、ほとんどの場合3W(ワット)ほどの低出力タイプのものです。
このような低出力のアンプは、とりあえず音が出る程度のものなので、音色は期待できません。
音色も音量もある程度納得できる5〜10Wのアンプがついている「初心者セット」は、2万円を超えるのが普通です。
ですから、予算が1〜2万円未満しか準備できない場合、アンプは低出力タイプのため貧弱な音しか出ないということを納得した上で購入するようにしましょう。
インターネットで購入する際の注意点
インターネットで購入する場合は、試し弾きをすることができないので、注意することが3点あります。
(1)ギターのサイズ
(2)作りの悪さ
(3)音の悪さ
それぞれ解説します。
注意点1:ギターのサイズ
インターネットでエレキギターを購入する場合、ギターのサイズに注意しましょう。
サイズが通常よりも小さいことがあるからです。
サイズが小さいギターは、通常のギターとは弾き心地が違います。
具体的には、ボディが小さいためにギターを抱えた感じが違うのです。
そのため、通常のギターよりも弾きづらさを感じることがあります。
また、弦の張力が弱いため、チューニングが狂いやすいというデメリットもあります。
このような理由から、エレキギターを初めて購入する初心者の方は、小さいサイズのギターは選ばない方がいいでしょう。
間違えてボディが小さいタイプのギターを購入しないようにするためには、楽器店で実物を試し弾きするのが最も確実な方法です。
しかし、インターネットでギターを購入する場合は、実物に触ることができません。
そのため、「詳細情報」をよく読む必要があります。
「ミニギター」と書いてあれば、通常のギターよりも小さいとわかります。
また、「トラベルギター」または「トラベラーギター」と書かれていることもあり、これも通常サイズのギターよりも小さいことが多いです。
ギターの大きさは、通常「スケール長」で表されます。
一般的なエレキギターのスケール長を知っておけば、間違えて小さいサイズのギターを購入することはないでしょう。
スケール長とは、ギターのボディにあるサドルからネックの先にあるナットまでの距離です。
つまり、ギターを弾いたときに弦が振動する長さのことです。
エレキギターは、大きく分けて3種類のスケール長があります。
・ロングスケール:約648mm(25 1/2インチ)
エレキギターの最も一般的なスケール長が、このロングスケールです。
フェンダースケールと呼ばれることもあり、フェンダー系のギターに採用されています。
代表的なモデルは、ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスターなどです。
・ミディアムスケール:約628mm(24 3/4インチ)
ロングスケールよりも2cmほど短いスケール長です。
ロングスケールがフェンダースケールと呼ばれるように、このミディアムスケールはギブソンスケールと呼ばれることがあります。
代表的なモデルは、レスポール、SG、リッケンバッカーなどです。
・ショートスケール:約609mm(24インチ)
一般的なエレキギターの中で、最も短いスケール長のタイプです。
代表的なモデルは、フェンダーのムスタングやジャガーです。
フェルナンデスのZO-3やピグノーズのPGGのスケール長はショートスケールですが、ボディサイズが小さいので一般的なエレキギターと比べて弾き心地が違います。
私的な感覚ですが、この2機種はミニギターに分類した方がいいと思います。
・ミニギターのスケール長
「ミニ」という文字が入ったモデルは、基本的にショートスケールよりもスケール長が短いタイプです。
たとえば、VOX SDC-1 miniのスケール長は476mmです。
また、SQUIER Miniのスケール長は578mm、GRASSROOTS Miniのスケール長は521mmです。
インターネットで安価な「初心者セット」を購入し、届いてみたら思いもよらぬミニギターだったということにならないよう、ギターのサイズは注意しておきましょう。
注意点2:作りの悪さ
1万円未満で買えるギターの場合、作りが悪いことがあります。
作りが悪いギターは、次のような症状があります。
・ネックが反っている
・フレットが指板からはみ出している
・チューニングが合わない
ネックが反っているギターは、弦高が高く、弦を押さえて音を出すのに強い力が必要になります。
弦高とは、弦とフレットとの距離のことです。
初心者にとって、弦高が高いものは、もっとも弾きにくいギターだといえます。
また、ネックが反対に反っているギターは、音がキレイに出ないことがあります。
ギターを弾いて音を出すと、振動した弦がフレットにぶつかるため、音がビビってしまうのです。
このようなギターは、正しく弾いているのにキレイな音が出ないので、ストレスが溜まります。
安価なギターの中には、フレットの処理が悪いものがあります。
最近ではほとんどなくなりましたが、フレットが指板からはみ出していることがあるのです。
このようなギターの場合、弦を押さえたままスライドすると、手を傷つけてしまいます。
ギターを弾く度に出血していては、楽しくギターを弾くことはできませんね。
安価なギターの中には、希にチューニングが合わないものがあります。
ギターのヘッドに取り付けてあるペグという部品に問題があるからです。
各弦の音の高さは、ペグを回すことにより弦の張りを強くしたり弱くしたりして調整します。
しかし、このペグが粗悪品の場合があるのです。
よくあるのは、空回りです。ペグを回しても、弦を巻き上げないので、チューニングが合いません。
チューニングが合わないギターでは、どんなに練習しても上達は見込めないでしょう。
ギターの作りの悪さは、楽器店で実際にギターを持ってみないと分かりません。
インターネットで販売しているギターの詳細情報には、「このギターはチューニングが合いません」などとは書いていないので、届いてから初めてわかることになります。
その場合の対処法としては、ペグに油をさす、ペグのネジを締める、それでも直らなければペグを新しいものに取り替えます。
もし、作りの悪いギターが届いてしまったら、そのままガマンするか、直すしかありません。
直すためには、知識が必要です。時間もお金もかかります。
注意点3:音の悪さ
安価なギターは、それなりの材料で、それなりの工程を経て作られています。
そのため、高級なギターとは音色が違います。
高音が鳴らなかったり、低音が出なかったり・・
このようなギターの場合、しばらく弾いていると音に飽きてきてしまいます。
ギターの弾き方だけを学びたいのであれば、どんな音色であってもいいでしょう。
音色を求めるのは無理だと割り切って使うのなら問題ありません。
しかし、だんだんギターが弾けるようになって、いい音を出したいと思うようになると限界があります。
安価な「初心者セット」の場合は、このようなギターを手にすることになります。
ネットで販売されている安価な「初心者セット」は、このことを知った上で購入するようにしましょう。
インターネットで購入する際の3つの注意点を解説しました。
総合的に考えて、初めてギターを購入する場所は、実際にギターを抱えて試し弾きができる楽器店がいいことがおわかりいただけたと思います。
予算1〜2万円
2万円までの予算が準備できるなら、ネットの「初心者セット」だけでなく、楽器店でもギターを購入することができます。
楽器店でギターを購入するメリットは、実際にギターを見て触れて弾くことができることです。
さすがに有名メーカーのギターは選べませんが、この価格帯のギターの作りはある程度しっかりしているので安心です。
予算が2万円準備できれば、サクラ楽器オリジナルのSELDER(セルダー)や、キョーリツ・コーポレーションのPhotoGenic(フォトジェニック)、格安ギターの代名詞Donner(ドナー)などが選べます。
楽器店によっては、ソフトケースやピックなどをオマケにつけてくれるところもあります。クリップ型チューナーもつけてくれたら超お得です。
初心者セットとして、何点かをまとめて格安で売っていることもありますので、ぜひ聞いてみましょう。
予算2〜5万円
2〜5万円の予算が準備できるなら、国内メーカーのYAMAHA(ヤマハ)やBacchus(バッカス)、Gibson廉価版のEpiphone(エピフォン)やFendar廉価版のSquier(スクワィアー)が選べます。
このクラスのギターになると、作りに問題があることは少ないでしょう。
将来2本目を購入した後も、サブギターとして持っていて無駄にならないと思います。
しかし、ギターは木でできているため、個体差があります。
そのため、やはりネットで購入するのはリスクがあります。
私は、エレキギターをネットで購入したことはありませんが、アコギなら先ほど紹介したEpiphone(エピフォン)をネットで購入したことがあります。
届いたギターをチューニングして弾くと、3フレット目辺りで音が詰まっていました。わずかにネックが逆に反っていたのです。
ネックの反りを直すためにトラスロッドを回し、問題は解消しました。
しかし、このような作業は初心者には難しいと思います。
このような理由から、初めてのギターは可能な限り楽器店で購入することをオススメします。
予算5〜10万円
5〜10万円の予算が準備できるなら、先ほど紹介したYAMAHA(ヤマハ)やBacchus(バッカス)、Epiphone(エピフォン)やSquier(スクワィアー)の中堅機が選べます。
このクラスになれば、初心者がギターを習得した後も、長く弾き続けることができます。
そのため、初めからこのクラスのギターを購入すれば、何の問題もありません。
しかし、ギターのスキルが上達してくるとともに、ギターの知識が増えてきます。
すると、2本目のギターが欲しくなるのが通常の流れです。
そこで、1本目のギターの予算は抑えておき、2本目の選択肢として、10万円オーバーの高級機を視野に入れておくのがいいでしょう。
もし、予算に余裕があるなら、初めから5〜10万円のクラスを購入してもいいのですが、とりあえず試しに1本ギターが欲しいというのであれば、2〜5万円クラスのものを選ぶのがベストな選択といえます。
予算10万円オーバー
予算10万オーバーの高級機は、かなりギターが弾けるようになり、2本目が欲しくなったときに購入するのがいいでしょう。
初めからこのクラスのギターを購入し、挫折して辞めてしまったらもったいないからです。
挫折しないために初めから高級機を購入するという考え方もありますが、これより下のランクのギターでも十分な性能を持っているので、まずはそちらを選んだ方が無難です。
予算10万オーバーであれば、国内メーカーのTOKAI(トーカイ)やFUJIGEN(フジゲン)、海外メーカーのFendar(フェンダー)やGibson(ギブソン)、PRS(Paul Reed Smith)やSuhr(サー)など、プロのミュージシャンも使用している有名メーカーが選べます。
どのメーカーのギターがいいかは、好みの分かれるところです。
単純に、○○のギターが一番いいとはいえません。弾き心地も音色も多種多様だからです。
その辺りの見極めができるようになると、楽器店に並んでいるギターを眺めるだけで楽しくなります。
予算10万オーバーの高級機を購入するのは、それからでも遅くないでしょう。
まとめ:エレキギターは最低限いくらで始められる?予算別の購入案
ここまで、エレキギターを始めるときに必要な費用について、準備できる予算別に購入案を解説してきました。
エレキギターを始めるときに最低限必要なものは6点ありますが、そのうち最も価格が高いものはギター本体です。
つまり[ 準備できる予算 = ギターの価格 ]になります。
予算1万円未満:最低限必要な6点の購入はできない
予算1〜2万円:ネットでの格安「初心者セット」または楽器店での購入
予算2〜5万円:ヤマハ、バッカス、エピフォン、スクワィアー 等
予算5〜10万円:上記の中堅機 等
予算10万円オーバー:トーカイ、フジゲン、フェンダー、ギブソン 等
初めて持つ1本目のギターは、予算2〜5万円のものが適しています。
予算に余裕があれば、5〜10万円のものを選んでもいいでしょう。
しかし、10万円以上するギターは、2本目が欲しくなったときにとっておくのが得策です。
この記事が、これからエレキギターを始めようと思っている方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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