初めて聞いた曲に合わせて、楽譜を見ずにギターを弾いている人は、カッコイイですよね。
耳で聞いて曲をコピーすることを『耳コピ』といいますが、どうやっているのでしょうか。
そこでこの記事では、「ギター初心者のための『耳コピ』のコツ」を解説します。
コード譜を見ながら曲が弾けるレベルであれば実戦可能なので、ぜひ挑戦してください。
もくじ
ギター初心者のための耳コピのコツ!キーからコードもソロも弾ける
ギター初心者ができる簡単『耳コピ』の手順は以下の通りです。
[1] ドレミファソラシドの【ド】をみつける
[2] オリジナルキーとプレイキーを決める
[3] 曲にコードを当てはめる
[4] スケールを使ってソロを弾く
『耳コピ』を効率よく行うためには、まず始めに「1.ドレミファソラシドの【ド】をみつける」ことです。
なぜならば、【ド】がわかれば「2.オリジナルキーとプレイキーを決める」ことができるからです。
プレイキーがわかれば、「3.曲にコードを当てはめる」ことができます。この段階で「弾き語り」が可能です。
さらに「4.スケールを使ってソロを弾く」までできれば、一人でギターを弾いて楽しむだけでなく、他の人とセッションをすることも可能です。
それでは、順番に解説していきます。
[1] ドレミファソラシドの【ド】をみつける
『耳コピ』でまず始めにやることは、ドレミファソラシドの【ド】をみつけることです。
長調(メジャー:明るい雰囲気)の曲でも、短調(マイナー:暗い雰囲気)の曲でも、【ド】をみつけることができれば、キーがわかるからです。
【ド】をみつけるためには、曲とギターの音を聞き比べて、違和感があるかどうかを感じとる音感が必要です。ギターの音が曲のなかに違和感がなく溶け込んでいるように感じたら、その音を「ピッタリ音」ということにします。
初めのうちは難しいと思いますが、『耳コピ』を続けていると音感が鍛えられていくので、「ピッタリ音」は短時間でみつけられるようになります。
具体的に【ド】のみつけ方を解説します。
- 曲を聞きながら、ギターの1弦を弾いて聞き比べます。
- 0フレットから始めて1,2,3・・とフレットを上げていき、違和感がない「ピッタリ音」をみつけていきます。
- たいてい「ピッタリ音」は2フレットの間隔で現れますが、ときどき「ピッタリ音」が隣り合わせに存在することがあります。隣り合わせの高い方の音が【ド】か【ファ】です。
- さらにフレットを上げていき、隣り合わせの「ピッタリ音」をもう1組みつけます。高い方の音が【ド】か【ファ】です。
- 隣り合わせの「ピッタリ音」を2組みつけたら、2つの「ピッタリ音」の間隔が何フレットあるかで、どちらが【ド】なのかを判断します。(音の響き具合で【ド】を判断することもできます)
「ピッタリ音」の見つけ方にはコツがあります。下の指板図(ギターのフレットを表した図)を見てください。
キーCの場合、この指板図上の●をつけた音が「ピッタリ音」になります。その間の音は、違和感があるので「ピッタリ音」ではありません。
どんなキーの曲であっても、ドレミファソラシドの音は1弦の0〜11フレットの間に全て存在しています。そして、「ピッタリ音」の間隔は、必ず1フレットか2フレットです。
間隔が1フレットの「ピッタリ音」は【ミ・ファ】【シ・ド】だけなので、間隔が1フレットの「ピッタリ音」を2組みつければ、【ド】を判断することができます。
【ド】→【ファ】の間は4フレット、【ファ】→【ド】の間は6フレットです。このことから、【ド】を確定することができます。
♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪
それでは、【ド】をみつける練習を2曲やってみましょう。
・練習曲1
次の曲は「春の小川」です。この曲の【ド】は1弦の何フレットでしょうか?
音源を再生するとスピーカーから音が出ますので、ボリュームに気をつけてください。
・練習曲2
次の曲は「赤い靴」です。この曲の【ド】は1弦の何フレットでしょうか?
音源を再生するとスピーカーから音が出ますので、ボリュームに気をつけてください。
答えは、次の章で発表します。
2つの練習曲は、【ド】をみつける練習のために転調してあります。
[2] オリジナルキーとプレイキーを決める
曲の【ド】をみつけることができたら、次はオリジナルキーとプレイキーを決めます。オリジナルキーとは、原曲のキーのことです。
原曲のキーのままギターを弾くと、コードがとても難しいことがあるので、カポタストを使ってコードを簡単にします。カポタストを使って変更したキーをプレイキーといいます。
プレイキーを【G】または【Em】にすると、ギターはとても弾きやすくなります。
しかし、オリジナルキーによっては、カポタストを高いフレットにつけなければならないことがあります。そのようなときは、プレイキーを【C】または【Am】にします。
オリジナルキーとプレイキーを決めるために便利な2種類の表があります。
- 長調(メジャー:明るい感じの曲)に対応した変換表
- 短調(マイナー:暗い感じの曲)に対応した変換表
先ほど【ド】をみつける練習をした「春の小川」は、明るい感じの長調です。また、「赤い靴」は暗い感じの短調です。
・長調に対応した変換表
この長調に対応した変換表の見方を、「春の小川」を例にして解説します。
「春の小川」の【ド】は、1弦9フレットです。正解できましたか?
1弦9フレットが【ド】なので、変換表の1段目「9」の列を縦に見ていきます。
2段目を見るとオリジナルキーがわかります。「C♯ D♭」です。
さらに3・4段目を見てください。カポタストを6フレットにつけて「G」で弾くことがわかります。
さらにその下の5・6段目を見ると、この曲はカポタストを1フレットにつけると「C」になることがわかります。
このように、1段目の【ド】のフレット数から変換表を縦に見て、カポタストをつけるフレットとプレイキーをみつけます。
「春の小川」は、カポタストを6フレットにつけて「G」で弾くか、カポタストを1フレットにつけて「C」で弾くか、2通りの方法があることがわかります。
・短調に対応した変換表
次に、「赤い靴」を例にして、この短調に対応した変換表の見方を解説します。
「赤い靴」の【ド】は、1弦6フレットです。正解できましたか?
1弦6フレットが【ド】なので、変換表の1段目「6」の列を縦に見ていきます。
2段目を見るとオリジナルキーがわかります。「Gm」です。
さらに3・4段目を見ると、カポタストを3フレットにつけて「Em」で弾くことがわかります。
♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪
このように、長調の曲でも、短調の曲でも、それに対応した変換表を使うことで、カポタストの位置とプレイキーを決めることができます。
[3] 曲にコードを当てはめる
プレイキーが決まったら、次はコードを『耳コピ』します。
曲のメロディーと伴奏をよく聞いて、違和感のないコードを当てはめていきます。
少し違和感があっても全体的な響きに大きなズレがなかったら、とりあえずそのコードに決めます。なぜならば、コードは複数の音が鳴っている和音なので、完全にコピーすることはとても難しいことだからです。
しかし、基本的なコードを当てはめるのは、それほど難しくありません。プレイキーが決まっていれば、使われる主なコードは決まっているからです。
<キーGで使われる主なコード>
G・C・D・Am・Bm・Em
<キーCで使われる主なコード>
C・F・G・Dm・Em・Am
<キーEmで使われる主なコード>
Em・Am・C・D・G・BmまたはB7
<キーAmで使われる主なコード>
Am・Dm・F・G・C・EmまたはE7
これらのコードの中でも、さらによく使われるコードがあるので、詳しく解説します。
・キーGで使われる基本的なコード
最もよく使われるコードは、G・C・Dです。その次によく使われるコードが、Am・Bm・Emです。この6つのコードで、おおまかにコードを当てはめることができます。
少し役割が違いますが、D7はDを使っても問題ありません。
その他のコードは、上記6つのコードが当てはまらないときや、もう少し原曲に近づけたいときに使うといいでしょう。
曲によってはその他のコードも使われますが、曲の中心となるコードは必ずこの6つの中にあります。
・キーEmで使われる基本的なコード
最もよく使われるコードは、Em・Am・Bmです。その次によく使われるコードが、C・D・Gです。この6つのコードで、おおまかにコードを当てはめることができます。
しかし、BmよりB7の方が合うことがあります。4弦1フレットの音を弾いてピッタリ合っていたらB7の方が適しています。練習曲2の「赤い靴」は、B7が合う曲です。
その他のコードは、上記6つのコードが当てはまらないときや、もう少し原曲に近づけたいときに使うといいでしょう。
曲によってはその他のコードも使われますが、曲の中心となるコードは必ずこの6つの中にあります。
・キーCで使われる基本的なコード
キーCとキーGはどちらも長調なので、コードの使い方は基本的に同じです。
最もよく使われるコードは、C・F・Gです。その次によく使われるコードが、Dm・Em・Amです。この6つのコードで、おおまかにコードを当てはめることができます。
少し役割が違いますが、G7はGを使っても問題ありません。
その他のコードは、上記6つのコードが当てはまらないときや、もう少し原曲に近づけたいときに使うといいでしょう。
曲によってはその他のコードも使われますが、曲の中心となるコードは必ずこの6つの中にあります。
・キーAmで使われる基本的なコード
キーEmとキーAmはどちらも短調なので、コードの使い方は基本的に同じです。
最もよく使われるコードは、Am・Dm・Emです。その次によく使われるコードが、F・G・Cです。この6つのコードで、おおまかにコードを当てはめることができます。
しかし、EmよりE7の方が合うことがあります。3弦1フレットの音を弾いてピッタリ合っていたらE7の方が適しています。練習曲2の「赤い靴」は、E7が合う曲です。
その他のコードは、上記6つのコードが当てはまらないときや、もう少し原曲に近づけたいときに使うといいでしょう。
曲によってはその他のコードも使われますが、曲の中心となるコードは必ずこの6つの中にあります。
・曲にコードを当てはめる手順
曲にコードを当てはめる手順を解説します。
- 曲の始めと終わりのコードを当てはめる
- サビの始めと終わりのコードを当てはめる
- 曲の途中のコードを当てはめる
曲の始めと終わり、サビの始めと終わりのコードは、キーとなるコードが使われていることが多いので、まずはそのコードを試してみます。
特に、終わりのコードはキーとなるコードの可能性が高いです。つまり、キーGの曲ではGコードで、キーEmの曲ではEmで終わることが多いということです。
曲の途中のコードは、メロディーや伴奏の音を聞いて当てはめていきます。
定番のコード進行パターンがあるので、挙げておきます。
<キーG・Emのコード進行パターン>
- G→D→Em→Bm→C→G→C→D
- G→D→Em→C→G→D→C→G
- C→D→Bm→Em
- C→G→D→Em
- Em→C→D→G
- Em→C→G→D
- Bm→C→D→Em
<キーC・Amのコード進行パターン>
- C→G→Am→Em→F→C→F→G
- C→G→Am→F→C→G→F→C
- F→G→Em→Am
- F→C→G→Am
- Am→F→G→C
- Am→F→C→G
- Em→F→G→Am
次のコードがわからないときに試してみてください。
・キーGとキーCのコード例
キーGで「春の小川」にコードを当てはめてみました。
コードは、G C D D7 Em を使っています。
カポタストを6フレットにつけると、音源と同じキーになります。
音源を再生するとスピーカーから音が出ますので、ボリュームに気をつけてください。
キーCで「春の小川」にコードを当てはめてみました。
コードは、C F G G7 Am を使っています。
カポタストを1フレットにつけると、音源と同じキーになります。
・キーEmとキーAmのコード例
キーEmで「赤い靴」にコードを当てはめてみました。
コードは、Em Am B7 を使っています。
カポタストを3フレットにつけると、音源と同じキーになります。
音源を再生するとスピーカーから音が出ますので、ボリュームに気をつけてください。
キーAmで「赤い靴」にコードを当てはめてみました。
コードは、Am Dm E7 を使っています。
カポタストを10フレットにつけると、音源と同じキーになります。(通常カポタストを10フレットにつけることはないですが・・)
[4] スケールを使ってソロを弾く
スケールとは、簡単にいうと「音階」です。スケールは、基本的に長調(メジャー)と短調(マイナー)の2種類あります。
- メジャースケール:【ドレミファソラシド】
- マイナースケール:【ラシドレミファソラ】
この2つのスケールは、使われている音は全て同じです。違うところは、スケールの始まりの音が何かだけです。メジャースケールは【ド】から始まるのに対して、マイナースケールは【ラ】から始まっています。
このスケールの音を適当に並べれば、曲に合うギターソロが弾けます。そのため、ギターソロなどを『耳コピ』するときは、このスケールの音から探すと見つかりやすいのです。
ギターは、キーが変わってもスケールの型は変わりません。また、メジャースケールもマイナースケールも使われている音は同じです。つまり、スケールは1つの型だけを覚えればいいのです。
スケールについては、別の記事で詳しく解説しています。
◆メジャースケールとマイナースケール!共通点・相違点をギターで解説
次に、長調の曲「春の小川」と短調の曲「赤い靴」を例にして、メジャースケールとマイナースケールの型を解説します。
キーGとキーEmのスケール
キーGのスケールとキーEmのスケールは、始まりの音が違うだけで、使われている音は同じです。そのため、どちらも同じスケールの型で弾くことができます。
<キーGのメジャースケールの型>
スケールはカポタストを6フレットにつけた状態で表しています。オリジナルキーはC#です。
練習曲1「春の小川」は、このスケールで弾くことができます。
<キーEmのマイナースケールの型>
スケールはカポタストを6フレットつけた状態で表しています。オリジナルキーはA#mです。
もちろん、練習曲1「春の小川」は、このスケールでも弾くことができます。
♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪
指板図上の●と●を合わせた形が「スケールの型」です。キーGのスケールの型とキーEmのスケールの型は、全く同じだということがわかります。
●だけを並べたスケールは「ペンタトニックスケール」といって、ロックやジャズ、ブルースなどでよく使われます。そのため、●だけでもカッコいいギターソロを弾くことができます。
ギターソロを弾くときは、フレーズの最後の音がそれぞれのキーの音になるようにすると、落ち着きます。具体的には、長調の曲では【ド】、短調の曲では【ラ】で終わるようにするということです。
♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪ ♪♪
「赤い靴」はキーEmの曲ですが、上で紹介したスケールでソロを弾くと、違和感がある音が1つあります。【ソ】です。
これは、この曲のスケールが自然にできたマイナースケールではないことが原因です。このようなスケールを「ハーモニックマイナースケール」といいます。
キーEmの「ハーモニックマイナースケール」では、Bmコードではなく、B7コードが使われます。
詳しくは次の記事で解説しています。興味がある方はご覧ください。
「ハーモニックマイナースケール」を紹介します。
<キーEmのハーモニックマイナースケールの型>
●の音【ソ】が半音上がっただけで、それ以外の音は変わっていません。
練習曲2「赤い靴」は、このスケールで弾くことができます。(カポタストは3フレット)
キーCとキーAmのスケール
キーCとキーAmのスケールも、キーG・Emのスケールと同様に、始まりの音が違うだけで、使われている音は同じです。そのため、どちらも同じスケールの型で弾くことができます。
<キーCのメジャースケールの型>
<キーAmのマイナースケールの型>
キーAmにも「ハーモニックマイナースケール」があるので、掲載しておきます。
<キーAmのハーモニックマイナースケールの型>
キーAmの「ハーモニックマイナースケール」では、Emコードではなく、E7コードが使われます。
「赤い靴」は、カポタストを10フレットにつけると、このスケールでギターソロを弾くことができます。
まとめ:ギター初心者のための耳コピのコツ!キーからコードもソロも弾ける
ここまで、「ギター初心者のための『耳コピ』のコツ」を解説してきました。
[1] ドレミファソラシドの【ド】をみつける
[2] オリジナルキーとプレイキーを決める
[3] 曲にコードを当てはめる
[4] スケールを使ってソロを弾く
始めにキーとなる【ド】をみつけることができれば、コードやソロの『耳コピ』がやりやすくなります。
『耳コピ』に慣れてくると、初めて聞いた曲でも、楽譜を見ずにギターを弾くことができるようになるので、ぜひ挑戦してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
関連記事
・メジャースケールとマイナースケール!共通点・相違点をギターで解説
・ギター初心者のためのキーとスケール解説!ドレミがわかればOK