ギターが弾けるようになりたいけど、独学でやるか教室に通うか悩んでいる人は多いと思います。
独学の場合、上達しないのではないかと不安になりますよね。
しかし、独学のメリット・デメリットを知り、正しい練習をすれば、独学でもギターを習得することはできます。
ギターが弾けるようになれば、バンドを組んでライブハウスで演奏したり、弾き語りライブをしたりするなど、楽しい音楽ライフが待っていますよ。
この記事では、独学のメリット・デメリットや独学に適した練習法、挫折しないコツなどを紹介します。
もくじ
ギターは初心者でも独学で習得できる
ギターは、初心者でも独学で習得することができます。
誰にも教わらず独学でプロのギタリストになった人は大勢います。
ギターの神様といわれるエリック・クラプトンも、独学でギターを習得しています。
プロとまではいかなくても、ライブハウスに出演している人や路上ライブをしている人、趣味でギターを弾いている人の多くは独学です。
反対に、「ギターを始めたけれど1ヶ月で挫折した」という人がいることも事実です。
ですから、ギターを始めた100%の人が独学で習得することができるかといえば「No」です。
しかし、独学のメリット・デメリットを正しく理解すれば、初心者でも独学でギターを習得することは可能です。
それでは、独学するメリット・デメリットを整理しておきましょう。
ギターを独学するメリットとデメリット
ギターを独学するメリットとデメリットをそれぞれ5つずつ挙げます。
独学する5つのメリット
・お金がかからない
独学ならば、始めに購入するギターと小物類、時々交換する弦以外の費用はかかりません。
家にギターがあるのなら、ギターを買う費用も必要ありません。
しかし、ギター教室に通うとなると、かなりの費用がかかります。
ギター教室の平均的な費用は、1回1時間のレッスンで3,000-5,000円です。1ヶ月に4回通うと1〜2万円になります。教室が遠方であれば交通費もかかります。
独学であれば、そのような費用は一切かからないので、お金をかけずにギターの練習ができます。
・時間が拘束されない
独学ならば、時間を拘束されることがありません。
ギター教室はレッスン日時が決められているので、その時間は拘束されます。しかし、独学ならば時間の拘束がありません。
いつでも自分の好きな時間に好きなだけ練習をすることができます。
・無料の教材がたくさんある
ギターの弾き方を教えてくれる無料の教材がたくさんあります。
昔は独学でギターを習得するためには、教本を買うぐらいしか方法がありませんでしたが、今はユーチューブなどでギターを教えてくれる動画教材がたくさんあります。
ギターを独学で学ぶにはイイ時代です。
・他人からとやかく言われない
独学ならば、他人からとやかく言われることがありません。
自分の弾き方にダメ出しをされたり、こうしろああしろと言われたりするのは、あまりいい気持ちがしないものですよね。
独学ならば、他人からあれこれと言われることがないので、気持ちよく練習することができます。
・人間関係の問題が起こらない
独学ならば、一人で練習するので、人間関係の問題が起こりません。
ギター教室の場合、先生や他の生徒さんとの相性がよくないと、人間関係の問題が起こることがあります。そうなると、ギターの練習に集中することができなくなります。
独学ならば、人間関係で悩む心配はありません。
独学する5つのデメリット
・練習方法が思いつかない
独学の場合、どんな練習をしたらいいのか思いつかないことがあります。
初心者であれば、始めに何をすればいいのかわからないので、途方に暮れてしまいます。
独学で一番のデメリットは、練習方法がわからないために上達しないということです。
・悪いクセがつきやすい
独学の場合、上達をじゃましてしまう悪いクセがついてしまうことがあります。
間違った練習を続けていても、誰もその間違いを教えてくれないからです。
たとえば、コードの押さえ方です。間違った指使いでコードを押さえると音がでづらかったり、スムーズなコード変更ができなかったりします。
このように悪いクセがついてしまうことも、独学のデメリットのひとつです。
・練習をサボってしまう
独学では、練習をサボってしまい上達が遅れることがあります。
ギターを弾くことを強制されないからです。
教室に通えば、次回までにやらなければならない課題が出されたり、日々の練習を指示されたりするので、毎日ギターの練習をしなければなりません。
独学では、練習をサボってしまい上達が遅れてしまうこともデメリットのひとつです。
・できない時にあきらめてしまう
独学では、できない時にあきらめてしまうことがあります。
アドバイスをしてくれる人がいないからです。
たとえば、C#m7-5のような難しいコードが出てきたときです。C#m7-5は、左手を4フレットにずらして4本の指をたがいちがいに配置して押さえなければなりません。
コードフォームを見ただけで、「できない!」と思ってしまい、あきらめてしまう初心者を何人も見てきました。
C#m7-5のようなコードは回避する方法があるのですが、教えてくれる人がいないとわかりませんよね。
アドバイスをしてくれる人がいないので、できない時にあきらめてしまうことも独学のデメリットです。
・挫折してギターをやめてしまう
独学では、挫折してギターをやめてしまうことがあります。
夢をもって始めたギターですが、難しくてできないことが嫌になったり、指先の痛みに耐えられなくなったりします。その結果、ギターへの情熱がなくなり、やめてしまうのです。
ギターをやめてしまった人がいる証拠として「ギターを弾く人はいないのに家にはギターがある」という話はよく聞きます。
挫折してギターをやめてしまう。これも、独学のデメリットのひとつです。
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独学のメリット・デメリットは理解できましたでしょうか。
ここからは、メリットを活かしデメリットを最小限にする『独学に適したギターの練習法』を紹介します。
独学に適したギターの練習法
ここからは独学に適した具体的なギターの練習方法を紹介していきます。
独学で失敗しないためにも、ぜひ参考にしてください。
まずは、基本的なギターの知識を知りましょう。
基本的なギターの知識
ギターを弾くためには、最低限知っておかなければならない基本的な知識があります。
・ギターのタイプ:曲のジャンル
・ギターを弾くために必要な小物類
・弦のピッチの合わせ方:チューニング
・ギターコード:和音
・コードダイアグラムの見方
・楽譜の読み方:コード譜・タブ譜
ひとつずつ詳しく説明します。
・ギターのタイプ:曲のジャンル
ギターを弾くためには、まずギターのタイプを選ばなければなりません。
あなたが弾きたい曲のジャンルによって、適したギターのタイプがあるからです。
ギターのタイプは大きく2種類に分かれます。
・アコースティックギター:電気を使わず生の音を出すギター
・エレクトリックギター:電気を使いアンプにつないで音を出すギター
アコースティックギターとエレクトリックギターの特徴を併せもった「エレアコ」というタイプのギターもありますが、説明が複雑になるのでここでは取り上げません。
アコースティックギターは、スチール(金属)弦を張った「フォークギター」とナイロン弦を張った「クラシックギター」に分かれます。
【フォークギター(アコギ)】
フォークギターは「アコギ」と呼ばれることがあります。アコギは「アコースティックギター」の省略形なのですが、一般的にクラシックギターは「アコギ」とはいいません。アコギといえばフォークギターのことだと思ってください。
スチール弦を張っているので、音色は「ジャリーン」という感じです。
フォークギターは、J-POPやフォークソングを弾くのに適しています。
【クラシックギター(クラギ)】
クラシックギターは「クラギ」と呼ばれることがあります。また、「ガットギター」とも呼ばれます。ガットとは、羊や豚などの腸から作った細いヒモのことです。テニスやバドミントンのラケットに張ってある細いヒモもガットといわれるので、イメージしやすいと思います。
ナイロン弦を張っているので、音色は「ボローン」という感じです。
クラシックギターは、クラシックな曲を弾くのに適しています。
【エレクトリックギター(エレキギター)】
エレクトリックギターは省略して「エレキギター」と呼ばれ、アンプにつないで電気的に音を出します。音を歪ませたり、音色を変えたり、大音量を出したりすることができます。
エレキギターは、ロックやジャズを弾くのに適しています。
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ギターのタイプによって適したジャンルはありますが、厳格に決められたものではありません。
ギターを弾きながら歌を歌う「弾き語り」をしているミュージシャンは、フォークギターを持っている人が多いのですが、クラシックギターやエレキギターで弾き語りをしている人もいます。
ギターのタイプ別に「弾き語り」の例を挙げます。
【フォークギター】
「マリーゴールド」あいみょん
【クラシックギター】
「メロディー」玉置浩二
【エレキギター】
「ずっと好きだった」斉藤和義
どのタイプのギターにするか決まっていない、または、わからない場合は、フォークギター(アコギ)をオススメします。
フォークギターなら電気を使わずに音を出すことができるし、J-POPなど流行の曲を弾くのに適しているからです。
・ギターを弾くために必要な小物類
ギターを弾くためには、ギター本体以外にあったら便利な小物類があります。
ここでは、準備しておきたい最低限のものを紹介します。
・カポタスト:移調をする道具。コードを簡単にする目的でも使う。
色々な形状のものがありますが、バネ式でネックをはさむタイプのもの(写真左下)が使いやすいです。
・ピック:右手で持って弦を弾くためのもの。
形も堅さも様々なものがありますが、形は三角形で堅さはミディアムまたはソフトを選ぶのが無難です。
・チューナー:弦のピッチ(音の高さ)を合わせるときに使うもの。
写真にあるように、ギターに挟んで使うものが便利です。
・弦:定期的に替えたり、切れたときに付け替えたりする。
弦は消耗品なので、安価なものを何セットか持っておきましょう。弦の太さ(堅さ)は「ライトゲージ」が一般的です。
以上、ギターを弾くために必要な最低限の小物類を紹介しました。ぜひ揃えておきましょう。
・弦のピッチの合わせ方:チューニング
ギターを弾くためには、6本の弦を正しいピッチに合わせます。
弦のピッチが合っていないと、正確に弾いても正しい音が出ないからです。
ギターの弦は、一番太い弦を6弦、一番細い弦を1弦といい、6本の弦のを合わせることをチューニングといいます。
それぞれの弦は、次の音に合わせます。
6弦:ミ[E]
5弦:ラ[A]
4弦:レ[D]
3弦:ソ[G]
2弦:シ[B]
1弦:ミ[E]
アルファベットは音階の呼び方です。コードの名前にも使われます。
ド:C
レ:D
ミ:E
ファ:F
ソ:G
ラ:A
シ:B
ド:C
チューニングをするために便利な道具があります。
先ほど「ギターを弾くために必要な小物類」で紹介したチューナーです。
色々なタイプがありますが、クリップタイプが安価で使いやすいと思います。
ギターに取り付け、電源を入れて弦を弾くと、音の高低を表示してくれます。適切なピッチになると緑色に変わります。
フォークギターやクラシックギター、エレキギターなど、どのタイプのギターにも使えます。
この写真では、5弦[A]の音を合わせています。
音が合うと緑色に変わります。
このようにして、6弦全部合わせています。
・ギターコード:和音
ギターには6本の弦があるので、和音を鳴らすことができます。和音のことをコードといいます。
和音とは「ドミソ」などのことで、「ドミソ」はCコード、「ドファラ」はFコード、「シレソ」はGコードというように、コードはA〜Gまでのアルファベットに割り当てられています。
左手でコードを押さえ、右手でジャラーンと弾くと、和音が鳴ります。
この写真はCコードを押さえたところです。「ドミソ」の和音が鳴ります。
・コード・ダイアグラムの見方
ギターコードの押さえ方は、コード・ダイアグラムという図で表示してあります。
コード・ダイアグラムは、ギターを弾いている人の目線でかかれています。
代表的な和音「ドミソ」はCコードといい、下図のようなります。
一番細い1弦が上、一番太い6弦が下です。縦のラインはフレットを表しています。
●は指で弦を押さえるところ、左側の○は音を出してよい開放弦、×は音を出してはいけない開放弦です。
5弦は「ド」、4弦は「ミ」、3弦は「ソ」、2弦は「ド」、1弦は「ミ」なので、5本の弦を弾くと「ドミソ」の和音になります。
このように、押さえる指の頭文字が書かれている親切なコード・ダイアグラムもあります。
人:人差し指 中:中指
薬:薬指 小:小指
このCコードは、先ほどのCコードとは薬指と小指の押さえ方が違っています。
このように、同じコードでも違う押さえ方をすることがあります。
押さえ方が違うのでコードの響きは違いますが、鳴っている和音は同じ「ドミソ」です。
どちらの押さえ方をしたらよいかわからないときは、簡単な方を選べばいいでしょう。
・楽譜の読み方:コード譜・タブ譜
おたまじゃくし♩が並んでいる楽譜(五線譜)が読めなくても、「コード譜」があれば、ギターは弾けます。
「コード譜」とは、コードと歌詞が書いてある楽譜です。
【コード譜の例】
C G C
うさぎ追いし かの山
F C G C
こぶな釣りし かの川
歌詞の上にコードが書いてあるので、コードを弾きながら歌を歌うことができます。
つまり、ギターを弾きながら歌を歌う「弾き語り」は、コード譜があればできるということです。
しかし、コード譜だけでは詳しい弾き方がわかりません。
そこで、ギターを弾くために作られた「タブ譜(TAB譜)」という楽譜が使われています。
【タブ譜の例】
6本の横線はギターの1〜6弦を表しています。一番上が1弦で、一番下が6弦です。
「タブ譜」中の数字は押さえるフレットを表しています。0は弦を押さえない開放音です。
数字だけが並んでいるタブ譜もあります。その場合は、上に長さを表す五線譜がついています。
五線譜とタブ譜の両方が書いてある楽譜もあります。
タブ譜の通りに弦を押さえて弾けば、曲を弾くことができます。
独学だからこそできる練習法
独学の場合、ギター教室と違ってどんな練習をしたらいいのか誰も教えてくれません。
だから、自分の好きなように練習ができます。しかし、間違った練習を続けていてもなかなか上達しません。
そこでここからは、独学でも着実に上達する練習法を紹介します。
・弾き語りの伴奏を弾く
ギターの独学で初めにやることは、弾き語りの伴奏を弾くことです。
なぜならば、ギターを弾くうえで最も基本的で大切な3つのスキルを、楽しく習得できるからです。
<最も基本的で大切な3つのスキル>
○左手でコードを正しく押さえる
○スムーズにコード変更を行う
○右手でリズム良くストロークをする
弾き語りの伴奏とは、歌を歌うためのギター伴奏のことです。
まずは、左手でコードを押さえ、右手でジャンジャンと複数の弦を弾きます。これをストロークといいます。
スムーズにコード変更をしながら、リズム良くストロークができるようになることが目的です。
初めのうちは、ギターを弾くことに集中しましょう。だんだん慣れてきたら、歌を口ずさみながらリズム良く弾きます。
歌いながら弾けるようになると、ギターを弾くことが楽しくなります。その結果、ギターを弾く時間が長くなり確実に上達していきます。
このような理由から、ギターの独学で初めにやることは、弾き語りの伴奏を弾くのが最適なのです。
・簡単に弾ける曲を選ぶ
弾き語りの伴奏をする曲は、簡単に弾ける曲を選びます。
なぜならば、難しい曲は思うように弾けないので、ギターが嫌いになってしまうからです。最悪の場合、ギターをやめてしまうことにもなりかねません。
簡単な曲をスラスラと弾けるようになる成功体験の積み重ねが、モチベーションを維持することになり、短期間でグングン上達していくことにつながります。
では、簡単に弾ける曲とはどのような曲でしょうか。解説していきます。
・C、G、Am、Emのどれかで始まる曲
初心者に適した弾き語りの曲は、C、G、Am、Emのどれかで始まる曲です。
なぜならば、C、G、Am、Emコードで始まる曲は、難しいコードがあまり出てこないからです。
難しいコードとは、左手の人差し指で1〜6弦を全て押さえるコードです。
1本の指で複数の弦を押さえることを「セーハ」といい、1〜6弦(1〜5弦)を押さえるコードを「バレーコード」といいます。
バレーコードは、多くの人がギターを挫折するキッカケとなるコードです。人差し指で1〜6弦全てを押さえるので、音を出すのが難しいからです。
バレーコードの例【Fコード】
バレーコードの例【Bmコード】
CまたはAmコードで始まる曲はFコード、GまたはEmコードで始まる曲はBmコードがよく出てきます。バレーコードが正しく押さえられるようになると、弾ける曲が飛躍的に増えるので、必ずマスターしたいコードです。
FやBmコードの克服法は後ほど解説します。
・初心者にオススメの弾き語り曲
難しいコードがあまり出てこない初心者にオススメの曲を紹介します。
◎の曲はバレーコードなし、○の曲はバレーコードが1つだけ出てきます。
◎この木なんの木:小林亜星
日立のCMソングになったこの曲は、主に3つのコード【G C D】で弾けます。
◎とんぼ:長渕剛
ドラマ「とんぼ」の主題歌に使われ大ヒットしたこの曲は、主に5つのコード【G Am C Em D】で弾けます。
○マリーゴールド:あいみょん
ストリーミング再生回数が1億回を突破したこの曲は、主に5つのコード【C G Am F Em】で弾けます。(カポ2)
○栄光の架け橋:ゆず
アテネオリンピックのNHK公式テーマソングとなったこの曲は、主に7つのコード【C Em E7 F G Am D】で弾けます。(カポ4)
この他にも、C、G、Am、Emコードで始まる曲を探せば、簡単に弾ける曲がたくさんみつかります。
・カポタストでコードを簡単にする方法
ギターにはカポタストという便利な道具があり、つけるだけでコードを簡単にすることができます。
曲の始めのコードが難しいときにカポタストを使うと、曲中で使われるコード全てが劇的に簡単になります。
たとえば、A#(Bb)コードはカポタストを3フレットにつけるとGコードに変わり、その他のコードも簡単になります。
カポタストをつけることで、何コードが何コードに変わるのかがわかる表を2つ作りました。
・【Cコード】または【Gコード】にする方法
・【Amコード】または【Emコード】にする方法
曲の始めのコードがC、G、Am、Emコードになるように、カポタストをつける場所(フレット数)をみつけてください。
表中の「カポ1」は、カポタストを1フレットにつけることを意味しています。
カポタストを3フレットにつけた状態↓
Gコードを押さえていますが、もとのコードはA#(Bb)です↓
このように、難しいコードはカポタストを使うことで簡単にすることができます。
コードの後ろについている「m(マイナー)」や「7(セブン)」などは、カポタストをつけても「m(マイナー)」や「7(セブン)」のままになります。
つまり、カポタストをつけて変わるところは、コードの始めの大文字のところだけです。
たとえば、「Bm」はカポタストを2フレットにつけると「Am」になります。
このように、難しいコードはカポタストをつけると簡単にすることができます。
挫折しないためのバレーコード克服法
ギターを挫折してしまう原因の中で最も多いのは、FコードやBmコードなどのバレーコードが押さえられないことです。
バレーコードとは、左手の人差し指で1〜6弦を全て押さえる(セーハする)コードのことです。
他のコードに比べて音を出すのが非常に難しいので、バレーコードが出てくる度につっかえてしまい、ギターを弾くのが嫌になってしまいます。
しかし、バレーコードができるとほとんどの曲が弾けるようになるので、ギターの楽しさが無限大に広がります。
つまり、バレーコードさえ克服すれば、ギターを楽しく続けることができるといえます。
ここからは、バレーコードの代表であるFコードとBmコードの克服法を紹介します。
・簡単な押さえ方に変える
FやBmなどのバレーコードは、押さえやすい簡単なコードフォームに変えてしまいます。
少し和音は変わりますが、初心者のうちはぜひやるべきです。
なぜならば、バレーコードを押さえるストレスを軽減し、楽しくギターを弾くことができるからです。
簡単なコードフォームで似たような和音のコードを代用コード、和音が2つ以上同じで別のコードを代理コードといいます。
曲によっては、本来のコードを代用コードや代理コードに変えても、全く違和感がないこともあります。逆に、代用コードや代理コードの方が原曲の雰囲気に近いことさえあります。
代用コードや代理コードばかりを使っていては、いつまでたってもバレーコードができないのではないかと不安になるかもしれませんが、その心配はありません。
代用コード・代理コードを押さえていると、押さえ方のコツをつかんだり握力がついてきたりするので、いつの間にかバレーコードが押さえられるようになるからです。
以下に数種類の代用コードを紹介します。レベル1から始めて徐々にレベルを上げていってください。必ずバレーコードが押さえられるようになります。
初めのうちは、代用コードや代理コードを積極的に使って、楽しくギターを弾きながら、バレーコード克服を目指しましょう。
<Fの代用コード>
・Fの代用コード[レベル1]
人差し指・中指・薬指を使って押さえます。1弦の音が出ると違うコード(Fmaij7)になるので、人差し指で触れて音を出さないようにします。
・Fの代用コード[レベル2]
代用コード[レベル1]に小指をプラスします。1弦の音を出さないことは同じです。よりFコードの響きに近くなります。
・Fの代用コード[レベル3]
代用コード[レベル1]の人差し指を寝かせて1・2弦を押さえます。1本の指で複数の弦を押さえるセーハです。1弦の音が出るように練習してください。
・Fの代用コード[レベル4]
代用コード[レベル3]に小指をプラスします。6弦は弾かないようにします。写真では、親指で6弦に軽く触れて音を消しています。これをミュートといいます。
この代用コード[レベル4]が押さえられるようになれば、Fコードの習得は間近です。
<Bmの代理コード・代用コード>
・Bmの代理コードD
BmはDコードにかえることができます。Bmの和音はシ・レ・ファ#ですが、Dはレ・ラ・ファ#なので2つの音が同じです。Bmが出てきたらDコードに変えてしまいましょう。
・Bmの代用コード[レベル1]
人差し指・中指・薬指を使って押さえます。5・6弦は音を出さないようにします。
・Bmの代用コード[レベル2]
代用コード[レベル1]に小指をプラスします。5・6弦の音は出さないようにします。
この代用コード[レベル2]が押さえられるようになれば、Bmコードの習得は間近です。
・Bmの代用コード[番外]
Bmの和音はシ・レ・ファ#ですが、この代用コードはシ・レ・ソです。2つの音が同じなので代用コードになりますが、ストロークで弾くとBmの響きとはかなり違います。この代用コードは、ソロギター演奏(メロディーと伴奏を一人で弾く)のときに真価を発揮すると覚えておいてください。
・押さえやすいコードフォームを選ぶ
FコードやBmコードは人差し指で1〜6(5)弦を押さえるバレーコードですが、その押さえ方(コードフォーム)は複数あります。
その中から一番押さえやすいコードフォームを選んで弾いてみましょう。
代用コード・代理コードでしばらく練習したら、挑戦してみてください。
もし、それでも上手く音が出なかったら、代用コード・代理コードに戻ればいいのですから。
<Fのコードフォーム(2種)>
・Fコード(1・2弦セーハ、6弦親指)
1・2弦は人差し指でセーハ、6弦は親指で1フレットを押さえると、完全なFコードになります。Cコードからコード変更するときに便利です。
・Fコード(1〜6弦セーハ)
このコードフォームが最も一般的なFコードです。このコードフォームができると、FmやF7も簡単に押さえられます。
<Bmのコードフォーム(3種)>
・Bmコード(1〜5弦セーハ、6弦ミュート)
1〜5弦を人差し指でセーハし、人差し指の先を6弦に軽く触れてミュートします。人差し指が押さえている弦は、1弦と5弦だけです。2〜4弦は力を入れなくても問題ありません。
・Bmコード(1〜6弦セーハ)
Fのバレーコードと同じように、1〜6弦を人差し指でセーハします。6弦2フレットのファ#の音はBmの和音の一部なので、音が出ても問題ありません。
・Bmコード(5・6弦親指)
手が小さい人には難しいコードフォームです。親指で押さえた弦の音がでなくてもBm代用コード[レベル2]と同じ音になるので、雑にストロークをする時などに使えます。
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ここまで「挫折しないためのバレーコード克服法」を解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
バレーコードに挑戦して音が出ないストレスを抱えるよりも、代理コードや代用コードを使って、楽しくたくさん練習をした方が上達します。
楽しく練習しているうちに、押さえ方のコツがつかめたり、握力がついたりするので、いつのまにかバレーコードができるようになりますよ。
次は、初心者が挫折する理由で多い「指の痛み」に勝つ方法を紹介します。
指先の痛みに勝つ方法
ギターを挫折してしまう原因のひとつに挙げられるのが指先の痛みです。
特にスチール弦をピンと張っているフォークギターは、長時間弾くと指先の激しい痛みに悩まされます。
ここでは、ギターが嫌になってしまう指先の痛みに勝つ方法を紹介します。
・長時間練習しない
指先の痛みに勝つ第一の方法は、長時間練習しないということです。
長時間練習なければ、激しい痛みに耐える時間も短くなるからです。
ギターを初めて1週間ぐらいが最も痛い時期なので、その期間は練習時間を10分程度にしておきます。
10分程度の練習では上達しないと思うかも知れませんが、初心者のうちは1日10分も練習すればかなり上達します。
・毎日少しずつ練習する
指先の痛みに勝つ第二の方法は、毎日少しずつ練習するということです。
毎日少しずつ練習していると、だんだん指先が硬くなってきます。指先が硬くなってくると指先の痛みが小さくなり、しだいに痛みを感じなくなります。
指先の痛みを感じなくなったら、長時間練習しても大丈夫です。思う存分ギターを弾くことができます。
ここでポイントは「毎日」弾くということです。
指が痛いからと2〜3日ギターを弾くのを休むと、指先はもとの状態に戻ってしまいます。そうなると、次に弾いたときに初めと同じように指が痛くなってしまいます。
この悪循環を続けると、ギターが嫌いになってやめてしまうのです。
そうならないためにも、指先の痛みを感じなくなるまでは、1日10分くらいの練習を続けるようにしましょう。
・仮想ネックでコードフォームの練習をする
どうしても左手の指先が痛くて弦を押さえることができないときは、自分の右手の手の甲やメガネケースなどをネックと仮想して、コードフォームの練習をしましょう。
メガネケースなどは弦が張っていないので、指先が痛くなりません。
本物のギターを使った練習ではないのですが、コードをスムーズに押さえるためには効果抜群です。
なぜならば、コードが上手く押さえられないのは、体がコードフォームを覚えていないからです。
本物のギターではなくても、何度も何度も左手でコードフォームを練習しているうちに、だんだんと体が覚えていきます。
私は、小指で1弦の3フレットを押さえるGコードは、この練習で押さえられるようになりました。小学5年生のとき、学校にいるあいだ何度も自分の右手の甲を仮想ネックとして練習したことで、1弦に届かなかった小指が楽に1弦に届くようになったのです。
指先が痛くて弦を押さえることができないときは、ぜひこの仮想ネックでのコードフォーム練習を実践してみてください。ただし、ギターを弾かない日は1日だけです。
飛躍的に上達する方法
ギターは3つのポイントをおさえて練習すれば、「練習方法が思いつかない」「悪いクセがつく」「練習をサボってしまう」という独学のデメリットを最小限に抑え、短期間で飛躍的に上達することができます。
そのポイントとは以下の3つです。
・ゆっくりのテンポで弾く
・自分の演奏動画を見る
・他人にテコ入れをしてもらう
それぞれについて詳しく説明します。
・ゆっくりのテンポで弾く
ギターを上達させるためには、ゆっくりのテンポで練習することが大切です。
なぜならば、ゆっくりのテンポで弾くことで、正しい弾き方を体に覚えさせることができるからです。
どんなスポーツでもそうですが、悪いフォームのまま練習を続けても上達しません。そのため、必ず正しいフォームを身につける練習をします。
ギターもスポーツと同じで身体運動です。正しい弾き方を身につけなければ、その後の上達度合いに差がついてしまいます。
ゆっくりのテンポで何度も練習すると、勝手に指が動くようになります。そのような状態になってから、徐々にスピードを上げていくようにすれば、正しい弾き方が体に染みこんでいきます。すると、無意識でも弾けるようになります。
この状態を「習得した」といいます。
悪いクセがつかないように、ゆっくりのテンポで練習することが、結果的にギター習得の早道なのです。
・自分の演奏動画を見る
ギターを上達させるために、自分の演奏を動画で撮り、自分で見るようにしましょう。
なぜならば、自分の演奏動画を見ることで、うまく弾けないところや間違っているところに気づくことができるからです。
ギターを弾いているときも自分の演奏を見たり聞いたりしているのですが、客観的に見ることはできていません。ギターを弾くことに神経をつかっているからです。
自分の演奏動画を見ると、ほんとうに多くのことに気づかされます。コードチェンジでつまっているとか、ストロークのテンポが一定ではないとか・・・。
この気づきが次の練習課題になります。練習課題がみつかることで、ギターへのモチベーションも高まります。
「練習方法が思いつかない」「練習をサボってしまう」という独学のデメリットも、自分の演奏動画を見ることで解消できるので、確実に上達することができます。
・他人にテコ入れをしてもらう
自分のギター演奏を、ときどき他の人に聞いてもらいましょう。
なぜならば、たとえ演奏動画を自分で見ても、善し悪しを判断するのは結局自分だからです。自分のレベル以上の評価はできません。
そこで、他の人からテコ入れをしてもらうのです。
テコ入れといってもやることは簡単です。誰かに自分の演奏を聞いてもらい、コメントをもらうだけです。
聞いてもらう人は、自分よりギターがうまい人が理想的ですが、音楽が好きな人ならギターが弾けない人でも大丈夫です。ただし、あなたに遠慮せず、思ったことをストレートに言ってくれる人を選んでください。お世辞などを言われても、自分のプラスにならないからです。
コメントは、「いい感じなんだけど、ココが気になる」「この曲はもうちょっとこんな感じじゃないかな」などという感想程度でもハッとさせられます。
自分では気づかなかったことを教えてもらえるので、その後の練習しだいでは飛躍的に上達します。
「他人からとやかく言われない」のが独学のメリットですが、ときどきは他の人からコメントをもらい、上達のキッカケをつくりましょう。
まとめ:ギターは初心者でも独学で習得できる!
この記事では、独学のメリット・デメリットや独学に適した練習法などを紹介してきました。
独学する5つのメリット
・お金がかからない
・時間が拘束されない
・無料の教材がたくさんある
・他人からとやかく言われない
・人間関係の悩みが起こらない
独学する5つのデメリット
・練習方法が思いつかない
・悪いクセがつきやすい
・練習をサボってしまう
・できない時にあきらめてしまう
・挫折してギターをやめてしまう
独学に適した練習法
・基本的なギターの知識
・独学だからこそできる練習法
・挫折しないためのバレーコード克服法
・指先の痛みに勝つ方法
・飛躍的に上達する方法
独学でもギターが弾けるようになれば、バンドを組んでライブハウスで演奏したり、弾き語りライブをしたりするなど、楽しい音楽ライフが待っています。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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