「ギターの弦は、弾き終わったら緩(ゆる)めておく」とよく聞きます。
では、あなたは緩めていますか? それとも、緩めていませんか?
どちらが正解なのか意外と判断できません。
そこでこの記事では、弾き終わった後のギターの弦は、緩めるべきなのか、緩めなくてもいいのかについて、両論の根拠をもとに解説していきます。
また、ギター歴45年以上の私の考えもお伝えします。
どうぞ最後までお付き合いください。
もくじ
ギターの弦は毎回緩める派の根拠
『ギターの弦は毎回緩めるべきだ』という人の根拠は、弦を張りっぱなしにしていると「ギターの状態が悪くなるから」ということです。
どのようにギターの状態が悪くなるのかというと、次の3つです。
- ネックが反る
- ブリッジが浮く
- ボディが膨らむ
正常なギターを横から見ると、下のイラストのようにネックはストレートです。
弦の太さによっても違いがありますが、アコギは60〜70kg、エレキは30〜40kgの力がネックにかかっているといわれています。
つまり、ギターに張られている弦が、大きな力でネックを上に引っ張っているのです。
このことが、ネックを反らせる原因になっています。
また、弦が大きな力でネックを上に引っ張っているために、ブリッジが浮いてしまうこともあります。
さらに、同様の理由で、ブリッジがついているボディが膨らんでしまうこともあります。
「長時間これだけの力がかかっていれば、ギターの状態が悪くなるのは当たり前。だから、ギターを弾き終えたら弦を緩めるべきだ」というのが、『緩めるべき派』の根拠です。
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ここまで読むと、ギターの弦は毎回緩めた方が良さそうですね。
では、緩めなくてもいいという人の根拠は何でしょうか。
ギターの弦は緩めない派の根拠
『ギターの弦は緩めなくてもいい』という人の根拠は、ギターは弦を張った状態を想定して作られているので、「弦を緩めなくても問題は起こらない」ということです。
大手ギターメーカー「テイラー社」のホームページには、次のような記載があります。
ギターの保管管理方法について
Taylor Guitars Japanより引用
テイラーギターのネックは弦をチューニングした状態でベストとなるように設計されています。
日本国内ではギターを弾かない際に都度弦を緩める習慣が多く見られますが、Taylor Guitarsでは、弾き終わるたびに弦を緩めてしまうとそのたびにネックに掛かる負荷が変化し、不安定なネックの状態が続くことになってしまい、場合によってはネックの捻じれ等を誘発する原因の一つともなると考えています。
そのため、Taylor Guitarsでは、弦を交換する時以外はチューニングを緩めずに保管・使用頂く事を前提としております。チューニングを緩めない場合、それによりブリッジ付近のボディトップが持ちあがってしまうと考えるユーザー様もいらっしゃいますが、このトラブルの多くの場合は、ブリッジ部分に掛かるテンションが直接的な原因ではなく、保管・使用環境の湿度・温度管理の不備が原因と考えます。
テイラー社では、ギターの状態悪化は保管・使用環境が悪いから起こると考えているようです。
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ギターの弦は緩めた方がいいのか、緩めなくてもいいのか、どちらの考え方も納得できるものがありますね。
では次に、45年以上ギターを弾いてきた私の考えをお話しさせていただきます。
ギターキャリア45年以上の私の考え
私のギターキャリアは45年以上ですが、ギターを弾き終わった後に弦を緩めるかどうかについて、自分なりの考えがあります。
それは、『ギターの弦は毎回緩める必要はない』ということです。
その理由は3つあります。
- 所有しているギターに問題が起きていない
- 弾きたいときにすぐに弾ける
- 弦の寿命が延びる
それぞれ解説します。
所有しているギターに問題が起きていない
私は、色々なタイプのギターを長期間所有していますが、全てのギターの弦はチューニングした状態、つまり張りっぱなしです。
次のリストは、現在持っているギターのタイプとおおよその所有期間です。
- フォークギター:8年以上
- フォークギター:35年以上
- エレキギター:25年以上
- エレキギター:25年以上
- エレアコ:20年以上
- セミアコ:25年以上
私が住んでいる所は本州の西側ですが、特に保管方法を気にしていません。ギターケースに立てて部屋に置いていたり、納戸に裸のまま立てていたりしています。それでも、ネックやボディの状態に問題は起きていません。
ギターの弦を緩めない理由の1つ目は、私が所有しているギターの状態に問題が起きていないことです。
弾きたいときにすぐに弾ける
ギターの弦を張りっぱなしにしていると、弾きたいときにすぐに弾けます。
しかし、ギターの弦が緩めてあると、弾き始める度にチューニングに時間がかかります。これが結構めんどうなのです。
私は、ちょっとの空き時間にギターを弾くことがよくあります。10分弾いたら、その1時間後にまた10分弾くということが日常なのです。
弦を緩める派の人は、その日の最後に弦を緩めればいいと言うかも知れませんが、いつがその日の最後なのかは自分でもわかりません。
そういうわけで、私は弦を緩めることよりも、いつでもギターを弾けるようにしておくことを優先させているのです。
これが、ギターの弦を緩めない理由の2つ目です。
弦の寿命が延びる
弦を張りっぱなしにした方が、弦の寿命が延びると考えられます。
金属でできている弦は、緩めたり張ったりすることを繰り返すと、サドルやナット、ペグの部分で金属疲労が起きます。その結果、弦の寿命が短くなるのではないでしょうか。
厳密に比べていないので科学的な根拠にはなりませんが、金属疲労が起きるというのは説得力があります。
弦の寿命が延びると良いことがあります。経済的な負担が軽くなるということです。
弦1本の価格は、安くてもコンビニコーヒー1杯分ほどです。もし、1年間に12回替えれば、72杯分のコーヒー代と同額の出費をしなければならないことになります。
つまり、弦の寿命が延びることは、家計を圧迫させないためにとても重要なことなのです。
このことが、ギターの弦を緩めない3つ目の理由になります。
まとめ:ギターの弦は毎回緩める?両論の根拠と45年以上の経験談
ここまで、弾き終わった後のギターの弦は、緩めるべきなのか、緩めなくてもいいのかについて、両論の根拠をもとに解説してきました。
また、ギターキャリア45年以上の私の考えもお伝えしました。
最後に、私の経験談を付け加えておきます。
私はこれまでに、ネックが反っているギター、ブリッジが浮いているギター、ボディが膨らんでいるギターを手にしたことがあります。
ネックが反っているギターは、トラスロッドを限界まで回しても、修復できませんでした。
ブリッジが浮いているギターは、ブリッジの下に木工用ボンドを入れて修復しましたが、弾きやすくはなりませんでした。
クラシックギターにエレキの弦が張られていてボディが膨らんだギターは、全く手がつけられませんでした。
これらのギターには、共通点があります。
- 価格が非常に安い
- 長期間弾かれていない
- 保管状態が悪い
どのギターも、ギターのつくりや型番を見て判断する限り、かなり安価なものでした。
また、それらは「おじいちゃんやお父さんが、何十年か前に弾いていたギター」で、それ以降誰にも弾かれることなく、押し入れや倉庫の奥にしまっておかれたものだったようです。
つまり、状態が悪くなるギターというのは、安くて粗悪なつくり、劣悪な環境で長期間誰にも弾かれなかったものということができます。
ということは、ある程度の品質があり、毎日弾かれているギターは、良い状態が保たれるということです。
「ギターに愛情があり、毎日弾いていれば、弦は緩めなくても大丈夫」これが私の結論です。
※あくまでも個人の意見であり、結果を保証するものではありません。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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