クリシェというテクニックを知っていますか?
クリシェを使うと、単調なコード伴奏にオシャレな味つけができます。
やり方は簡単なので、ぜひこの記事を参考にあなたの演奏に加えてみてください。
もくじ
クリシェの意味とやり方

クリシェとは、フランス語で「決まり文句」「常套句(じょうとうく)」という意味があります。
音楽では、同じコード(和音)が続くときに、一部の音だけを変化させる演奏法のことになります。
クリシェを用いることで、それまで単調だった伴奏に、音の広がりを加えることができます。
変化させる音は、半音ずつのこともあれば、全音ずつのこともあります。
1つの音だけを変化させるクリシェはメロディック・クリシェ、2音以上を変化させるクリシェはハーモニック・クリシェといいます。
変化させる音が最も低いときは、ベース・クリシェまたはベースライン・クリシェといいます。
クリシェとペダルポイントの違い
クリシェはコード内の一部の音を変化させる演奏法なのに対して、ペダルポイントはコードが変わっても一部の音だけは変化させない演奏法です。
- クリシェ:同一コード中で一部の音を変化させる
- ペダルポイント:コード進行中に一部の音を変化させない
クリシェでは一部の音が変化するので、コードが変わっていると考えることができます。すると、音が変化しない部分はペダルポイントになっているといえます。
反対に、ペダルポイントでのコード進行が半音または1音ずつ変わるのであれば、その部分はクリシェだと考えることもできます。
このように、クリシェとペダルポイントは、相反しているようですが、同時に存在することもあるのです。
ペダルポイントについては、ギターでペダルポイント!単調なコード進行に音の広がりを[動画あり]で詳しく解説しています。
クリシェの型
クリシェには、下降型クリシェと上昇型クリシェがあります。
- 下降型クリシェ:一部の音が下がっていく
- 上昇型クリシェ:一部の音が上がっていく
下降型クリシェは、メジャーコードでもマイナーコードでも行われます。
上昇型クリシェは、メジャーコードで行われることが多いです。
ベース・クリシェは、下降型が多いです。
それぞれ解説していきます。
下降型クリシェの例(メジャーコード)
メジャーコードにおける下降型クリシェの例として、次のようなコード進行があります。
□→□M7→□7→□6
ギターで弾きやすいのは、CコードやGコードです。
・Cメジャー メロディック・クリシェ
Cコードの1度の音(ルート音)が、「ド→シ→シ♭→ラ」と半音ずつ下がっていきます。
そこで、このようなクリシェを「1度音下降型クリシェ」または「ルート音下降型クリシェ」といいます。

実際の演奏では、1度の音(ルート音)の1オクターブ上の音が下降します。
Cコードの場合、1度音は低い「ド」で、8度音は1オクターブ高い「ド」です。
このことから、「1度音下降型クリシェ」は「8度音下降型クリシェ」といえるでしょう。
・Cメジャー ベース・クリシェ
Cコードの5弦の音を「ド→シ→シ♭→ラ」と半音ずつ下げるとどうなるでしょうか。

これは、ベース音が半音ずつ下がるので、ベース・クリシェということになります。
ベース・クリシェでは、分数コード(分母がベース音を表す)にすると、理解しやすくなります。
実際の押さえ方は、下の演奏例(動画)をご覧ください。
・Gメジャー メロディック・クリシェ
Gコードの1度の音(ルート音)が、「ソ→ファ#→ファ→ミ」と半音ずつ下がっていきます。
これは「1度音下降型クリシェ」ですが、実際には「8度音下降型クリシェ」として演奏されます。

・Gメジャー ベース・クリシェ
Gコードにおいても、ベース音を変化させることでベース・クリシェになります。

やはり、分数コード(分母がベース音)で表すと、理解しやすくなります。
・演奏例(動画)
次の演奏例を動画にしています。
下降型クリシェの例(メジャーコード)
・Cメジャー メロディック・クリシェ
・Cメジャー ベース・クリシェ
・Gメジャー メロディック・クリシェ
・Gメジャー ベース・クリシェ
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
下降型クリシェの例(マイナーコード)
マイナーコードにおける下降型クリシェの例として、次のようなコード進行があります。
□m→□mM7→□m7→□m6
ギターで弾きやすいのは、DmやEm、Amです。
ベース・クリシェは、やや難しくなります。
・Dm メロディック・クリシェ
Dmの1度の音(ルート音)が、「レ→ド#→ド→シ」と半音ずつ下がっていきます。
「1度音下降型クリシェ」または「ルート音下降型クリシェ」ですが、実際には「8度音下降型クリシェ」として演奏されます。

・Dm ベース・クリシェ
Dmのベース音が半音ずつ下がると、ベース・クリシェになります。
1度の音(ルート音)が半音ずつ下がるのは、メロディック・クリシェと同様です。

Dm/C#のベース音は、小指を大きく開かなければなりません。また、Dm/Bのベース音は、親指で押さえるか、人差し指以外の指を全て変えなければなりません。
ギター初心者にとっては、とても難しい押さえ方といえるでしょう。
指使いについては、下の演奏例(動画)をご覧ください。
・Em メロディック・クリシェ
Emの1度の音(ルート音)が、「ミ→レ#→レ→ド#」と半音ずつ下がっていきます。
「1度音下降型クリシェ」または「ルート音下降型クリシェ」ですが、実際には「8度音下降型クリシェ」として演奏されます。

Em6の押さえ方が難しいのですが、アルペジオなどで4弦を弾かないのであれば、5弦4フレットだけを押さえればいいでしょう。
・Em ベース・クリシェ
Emのベース・クリシェは、メロディック・クリシェと同じ弾き方になりますが、コード名が分数コードになります。

・Am メロディック・クリシェ
Amの1度の音(ルート音)が、「ラ→ソ#→ソ→ファ#」と半音ずつ下がっていきます。
「1度音下降型クリシェ」または「ルート音下降型クリシェ」ですが、実際には「8度音下降型クリシェ」として演奏されます。

・Am ベース・クリシェ
Amのベース音が半音ずつ下がると、ベース・クリシェになります。
Amの1度の音(ルート音)が半音ずつ下がるのは、メロディック・クリシェと同様です。

ベース音が6弦になる3つのコードは、Am/G#とAm/Gは小指で、Am/F#は親指で押さえると弾きやすいでしょう。
アルペジオなどで4弦を弾かない場合は、薬指や中指で押さえる方法もあります。
指使いについては、次の演奏例(動画)で確認してください。
・演奏例(動画)
次の演奏例を動画にしています。
下降型クリシェの例(マイナーコード)
・Dm メロディック・クリシェ
・Dm ベース・クリシェ
・Em メロディック・クリシェ
・Em ベース・クリシェ
・Am メロディック・クリシェ
・Am ベース・クリシェ
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
上昇型クリシェの例(メジャーコード)
上昇型クリシェの例として、次のようなコード進行があります。
□→□aug→□6→□7
ギターで弾きやすいのは、CコードやGコードです。
・Cメジャー メロディック・クリシェ
Cコードの5度の音が「ソ→ソ#→ラ→ラ#」と半音ずつ上がっていくので、「5度音上昇型クリシェ」になります。

Caugは人差し指で2・3弦を、C6は中指で3・4弦を押さえると、自然な指使いでC7までいけます。
指使いについては、下の演奏例(動画)をご覧ください。
・Gメジャー メロディック・クリシェ
Gコードの5度の音が「レ→レ#→ミ→ファ」と半音ずつ上がっていくので、「5度音上昇型クリシェ」になります。

アルペジオなどで1弦を弾かないのであれば、G7の4弦を小指で押さえると、中指と薬指を動かさなくて済むので簡単です。しかし、1弦まで弾くのであれば、押さえ方を変える必要があります。
指使いについては、次の演奏例(動画)をご覧ください。
・演奏例(動画)
次の演奏例を動画にしています。
上昇型クリシェの例(メジャーコード)
・Cメジャー メロディック・クリシェ
・Gメジャー メロディック・クリシェ
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
曲中におけるクリシェの使用例
実際の曲の中で使われているクリシェの例(曲の一部)です。
ソロギターを演奏していますので、参考にしてください。
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
まとめ:ギターでクリシェ!意味とやり方を知って伴奏に味つけ
ここまで、クリシェについて解説してきました。
クリシェの意味とやり方
クリシェとペダルポイントの違い
クリシェの型
下降型クリシェの例(メジャーコード)
下降型クリシェの例(マイナーコード)
上昇型クリシェの例(メジャーコード)
曲中におけるクリシェの使用例
クリシェを使うと、単調なコード伴奏にオシャレな味つけができます。
ぜひあなたの演奏に加えてみてください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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