「よし、やるぞ!」とギターを始めたものの、なかなか上達しない・上手くならないという悩みをもつ人は多いと思います。
では、なぜ上達しないのでしょうか? 本当に上手くなっていないのでしょうか?
この記事では、ギターが上達しない・上手くならないという悩みについて、その原因と対策を考えます。
どうぞ最後までお付き合いください。
ギターが上達しない・上手くならない3つの原因

まず、ギターが上達しない・上手くならない原因について、環境、心情、練習方法に分けて考えましょう。
環境による原因
ギターが上達しない・上手くならないのは、ギターを手に取る前、ギターを練習する前に原因があることがあります。
・ギターを弾くまでに手間がかかる
・質の悪いギターを使っている
・大きい音を出すことができない
・誘惑が多くてギターに集中できない
ひとつずつ解説します。
・ギターを弾くまでに手間がかかる

ギターを弾くまでに手間がかかっていませんか?
たとえば、ギターをケースに入れていると、弾くまでにギターをケースから出すという手間がかかります。ハードケースに入れて立てている場合は、ケースを横にしてからフタを開け、ギターを出さなければなりません。
この作業に手間がかかると、ギターを弾くことがめんどうになってしまいます。すると、練習量が足りなくてギターの上達がおくれてしまうのです。
ユーチューブなどでギタリストが話をしている動画を見ることがありますが、ギターは壁掛けハンガーや床置きスタンドにかけてあります。
ギターは、すぐ手に取れるところに置くことで、練習量が多くなり上達が早まります。
・質の悪いギターを使っている

質の悪いギターを使っていませんか?
たとえば、弦高が高過ぎるギター、チューニングが合わないギター、古い弦が張ってあるギターなどです。
弦高が高過ぎるギターは、力を入れて弦を押さえても音が出ないことがあります。そんなギターは弾くことが苦痛になるので、結果的に上達がおくれてしまいます。
チューニングが合わないギターでは、正確な音程が出ません。不正確な音程を聞きながらギターを弾いていても、音感は鍛えられません。音感のレベルが上がらないと、ギターのレベルも上がらないのです。
弦高が高過ぎるギターやチューニングが合わないギターは、調整して直しましょう。調整しても直せないくらい状態が悪いギターもあります。そのようなギターを使っていても上達は見込めません。一度、ギターの状態がわかる人や楽器店でみてもらうことをオススメします。
古い弦は音程が安定しないので、チューニングが合いづらくなります。太い弦に巻かれている極細い針金が切れていると、音が濁ってしまうだけでなく、とても弾きにくくなっています。正しい音程を出すためにも、弾きやすさのためにも、新しい弦に張り替えるようにしましょう。
・大きい音を出すことができない

ギターを小さい音で弾いていませんか?
アコースティックギターでもエレクトリックギターでも、ある程度のボリュームで弾かないと上達しません。
大きい音を出すときと小さい音で弾くときは、弦の押さえ方もピッキングのタッチも変わります。いつも小さい音で弾いていては、豊かに表現するテクニックが身につかないのです。
エレクトリックギターは、常にアンプにつないで弾きます。生音とアンプから出る音は、全然違っています。特に、出て欲しくない音をミュートするテクニックは大切です。生音だけを聞きながら練習しても、このミュートのテクニックは身につきません。
ギターは、ある程度大きい音を出して練習することが必要です。
もし、大きい音を出すことができない場合は、防音グッズを使ったり、練習する時間を調整するなどの対策をしましょう。カラオケボックスで練習するのもオススメです。
・誘惑が多くてギターに集中できない

ギターの練習をするとき、ギターを弾くことに集中できていますか?
テレビを見ながら、スマホを触りながらなど、何かをしながら練習していても、効率的な上達は見込めません。
後ほど解説しますが、トレーニングの原則に「意識性の原則」があります。何を鍛えているのかを意識することで、トレーニング効果がアップするというものです。
ギターを練習するときは、他の誘惑を断ち切って、ギターを弾くことに集中できる環境をつくりましょう。
心情による原因
ギターが上達しない・上手くならないのは、モチベーション=やる気がなくなってしまうという心情面に原因があることがあります。
モチベーションがなくなってしまう理由は、次のようなことがあげられます。
・他人と比べてしまう
・才能がないと思ってしまう
・学習曲線を知らない
ひとつずつ解説します。
・他人と比べてしまう

ギターが少し弾けるようになると、自分のレベルを他人と比べてしまうことがあります。
他人と比べることで、モチベーションが上がることもありますが、劣等感をもつことが多いです。
もし、他人と比べて落ち込むようなことがあったら、ギターを始めたきっかけを思い出してください。他人と比べるためにギターを始めたわけではないことに気づくでしょう。
そして時々は、自分の好きな曲を思う存分弾いて、純粋にギターを楽しむことに没頭し気分転換をすることも大切です。
・才能がないと思ってしまう

ギターがなかなか上達しないときは、自分に才能がないと思い気分が沈んでしまいます。
しかし、どんな偉大な人でも「自分には才能がない」といいます。自分には才能があると思っている人は、大きな仕事を成し遂げられないものです。
自分には才能がないと思うのは、とても当たり前のことです。才能がないから上達しないのではありません。上達しないことを才能のせいにしないで、楽しくギターを練習すればいいのです。
・学習曲線を知らない
『学習曲線』を知らないと、ギターが上達しないことで悩むことになります。
学習時間と習熟度の関係性をグラフで表したものを『学習曲線』といいます。それによると、習熟度は一定の割合では増加しないことがわかります。学習の期間が長いほど習熟するスピードは早くなります。(1885年ドイツ心理学者ハーマン・エビングハウスによる)
『学習曲線』をギターにおきかえると、学習時間は練習量、習熟度は上達度になります。

ギターを始めた「停滞期」ではなかなか上達しませんが、練習を続けていると急速に上達する「加速期」がやってきます。
練習した量だけ上達すると考えていると、理想と現実のギャップに悩み、モチベーションが下がってしまいます。
しかし、『学習曲線』を知っていれば、上達しない「停滞期」のあとに「加速期」がやってくることを楽しみに待つことができます。
私の経験談をお話しします。ギターを始めて半年経過したころ、難しいフィンガー・ピッキング「スリーフィンガー」の練習を始めました。毎日練習しました。学校にいる間も、右手の動きだけを練習しました。それでもできるようになりませんでした。ところが、1週間ほどしたある日、突然できるようになったのです。当時『学習曲線』のことは知らなかったので、とても驚いたことを覚えています。
『学習曲線』を知っていれば、なかなか上達しないことでモチベーションが下がることはなくなります。練習を続けて「加速期」が来ることを楽しみに待ちましょう。
練習方法による原因
ギターが上達しない・上手くならないのは、練習方法に原因があることがあります。
・練習内容が自分のレベルに合っていない
・できることだけを続けている
・リズムに合わせて弾いていない
・ゆっくり弾いていない
・自分の演奏を録音して聞いていない
ひとつずつ解説します。
・練習内容が自分のレベルに合っていない
自分のレベルよりも高過ぎるテクニックを練習しても、簡単にはできるようになりません。
なぜそのようなことが起こるのかというと、インターネットを使えば、初心者であっても上級者用の情報に簡単にアクセスできてしまうからです。これは、ネット社会の弊害といってもいいでしょう。
ネット社会の弊害については、次の記事で詳しく解説しています。
・できることだけを続けている
できるようになったことだけを練習していても、それ以上に上達しません。
次の課題をみつけて、練習するようにしましょう。
たとえば、開放弦を使ったオープンコードが簡単に押さえられるようになったら、左手の人差し指で全弦をセーハするバレーコードに挑戦しましょう。
このように、今の自分に合った課題をみつけることが、ギターの上達には必要です。
・リズムに合わせて弾いていない
音楽で大切な要素にリズムがあります。リズムを意識して練習しないと、よい演奏にはなりません。
たとえば、ひとつひとつのコードが押さえられるようになっても、コード変更でつまってしまえばリズムが崩れます。スムーズなコード変更ができないと、リズムが安定した演奏にはなりません。
メトロノームを使って一定のテンポで弾いたり、原曲に合わせて弾いたりするなど、リズムを意識した練習をしましょう。
・ゆっくり弾いていない
難しいテクニックを習得するときには、ゆっくり弾くことが大切です。
なぜならば、ゆっくり弾くことで正しい弾き方が身につくからです。
正しい弾き方が身につく前に速いスピードで弾いてしまうと、弾き間違えることが身体にすり込まれてしまいます。そうなると、いつまでたってもできるようにはなりません。
難しいテクニックを習得するためには、ゆっくり正しく弾く練習をしましょう。
・自分の演奏を録音して聞いていない
ときどきは、自分の演奏を録音して聞くようにしましょう。
なぜならば、ギターを弾いているときは弾くことに集中しているので、自分の演奏を客観的に聞くことができないからです。
自分の演奏を録音して聞くと、リズムが崩れていたり、正確に音が出ていなかったりすることに気づきます。
自分のレベルを確認するために、定期的に自分の演奏を録音して聞くようにしましょう。
効率的にギターを上達させるための原理・原則
スポーツもギターも身体を使った運動という点で同じです。
身体の能力を効率よく伸ばすための「トレーニングの3原理・5原則」という原理・原則があります。これをギターに当てはめてみます。
トレーニングの3原理

トレーニングの原理とは、トレーニングによって能力が向上する仕組みのことです。
3つの原理があります。
1.過負荷の原理
2.特異性の原理
3.可逆性の原理
ひとつずつ解説します。
1.過負荷の原理
過負荷(かふか)の原理とは、今もっている能力より強い負荷を与えることで、能力が向上するという原理です。
つまり、簡単にできることをいくら続けても上達しないということです。少し難しいことにチャレンジして、負荷をかけることが必要です。
ただし注意することがあります。あまり強すぎる負荷を与えないということです。30Kgしか持ち上げられない人が100Kgに挑戦しても、能力が向上する前にケガをしてしまいます。
ギターも同じで、まだテンポ80ぐらいしか弾けないのに、テンポ140にしてもできるようにはなりません。悪いクセがつくだけです。テンポ80の人はテンポ90を目指すなど、今もっている能力より少し難しいことを練習するようにしましょう。
2.特異性の原理
特異性(とくいせい)の原理とは、トレーニングした内容だけにトレーニング効果が現れるという原理です。
腕立て伏せのトレーニングをしたら、腕立て伏せの能力が上がるのであって、決してマラソンが速くなるわけではありません。
ギターも同じことがいえます。スリーフィンガー・ピッキングの練習をしたら、スリーフィンガー・ピッキングができるようになります。スリーフィンガー・ピッキングの練習をして、16ビートのストロークが上手くなるわけではありません。
特異性の原理は、理解しやすい原理ですね。
3.可逆性の原理
可逆性(かぎゃくせい)の原理とは、トレーニングをしてできるようになったことでも、トレーニングを止めるとだんだんできなくなってしまうという原理です。
やめると元に戻ってしまうので、練習は続けることが大切です。
プロのギタリストが基本トレーニングを欠かさないのは、身につけた能力を維持するためなのです。
トレーニングの5原則

トレーニングの原則とは、効率よく効果を得るためのトレーニングのやり方です。
5つの原則があります。
1.全面性の原則
2.個別性の原則
3.意識性の原則
4.漸進性の原則
5.反復性の原則
ひとつずつ解説します。
1.全面性の原則
全面性の原則とは、トレーニングでは全身をバランスよく鍛えようという原則です。
鍛えることが偏ってしまうと、全体のバランスが崩れてしまい、スムーズな動きができなくなります。
ギターでは、左手も右手も同じように練習しましょう。単音弾きもストロークも練習することで、バランスよくテクニックが向上します。
初心者で多く見られるのは、コードを押さえる練習だけをしているため、いざ曲を弾こうとしても右手でリズムを刻むことができない状況です。
ギターでは、右手も左手も自由に使えるようにするために、いろいろなテクニックを練習するようにしましょう。
2.個別性の原則
個別性の原則とは、個人の特性や能力に合わせたトレーニングをすることで効果が上がるという原則です。
今もっている能力は、年齢や性別、習慣や趣味などによって違います。全ての人が同じトレーニングをしても、同じように能力が向上するわけではありません。自分に合った方法でトレーニングすることで、効率的にレベルアップできます。また、モチベーションも維持できます。
ギターでは、今もっている能力に応じて、好きな音楽ジャンルの曲から練習課題を設定すれば、効率的にレベルアップするということです。
たとえば、ロックが好きな人はロックの曲を練習することで、自分が弾きたいフレーズを身につけることができるし、モチベーションも維持できます。
ギターの練習は、個人の特性や能力に合わせて課題を設定することが大切です。
3.意識性の原則
意識性の原則とは、何をトレーニングしているのかを意識することで、トレーニングの効果が変わるという原則です。
たとえば、腹筋運動をするときは、腹筋に意識を向けることでトレーニング効果が上がります。
ギターでも同じことがいえます。フラットピックを使って速く弾く練習をするときは、右手に集中することでトレーニング効果が上がります。
ギターの練習をするときは、今何を練習しているのかを意識するようにしましょう。
4.漸進性の原則
漸進(ぜんしん)とは、順を追って少しずつ進んでいくという意味があります。漸進性の原則とは、トレーニングは焦らずコツコツと取り組み、少しずつ負荷を上げていくのがいいという原則です。
ギターでは、速過ぎたり難し過ぎたりすることを練習しても、苦労した割には上達しません。ギター初心者がプロの技を練習しても身につかないのです。
現代のネット社会では、ギター初心者でも簡単にプロの情報にアクセスできてしまうので、注意が必要です。
ギターの練習は、今の能力よりも少し難しい内容に、コツコツと取り組むようにしましょう。
5.反復性の原則
反復性の原則とは、トレーニングは何度も繰り返し行うことで効果が現れるという原則です。
1週間に1回だけ、1回の練習で5分だけなど、わずかなトレーニングでは効果は限られてしまいます。
腕立て伏せを行っても、回数が少ないと筋肉は強くなりません。それと同じように、ギターのテクニックも少しの練習では身につきません。
ギターの練習は、筋肉にかかる負荷が小さいので毎日できます。ぜひ繰り返し練習を続けるようにしましょう。
まとめ:ギターが上達しない・上手くならない!3つの原因とその対策
ここまで、ギターが上達しない・上手くならない3つの原因とその対策について解説してきました。
ギターが上達しない・上手くならない3つの原因
環境による原因
・ギターを弾くまでに手間がかかる
・質の悪いギターを使っている
・大きい音を出すことができない
・誘惑が多くてギターに集中できない
心情による原因
・他人と比べてしまう
・才能がないと思ってしまう
・学習曲線を知らない
練習方法による原因
・練習内容が自分のレベルに合っていない
・できることだけを続けている
・リズムに合わせて弾いていない
・ゆっくり弾いていない
・自分の演奏を録音して聞いていない
効率的にギターを上達させるための原理・原則
トレーニングの3原理
1.過負荷の原理
2.特異性の原理
3.可逆性の原理
トレーニングの5原則
1.全面性の原則
2.個別性の原則
3.意識性の原則
4.漸進性の原則
5.反復性の原則
ギターを始めたものの、なかなか上達しない・上手くならないという悩みをもっているあなたにとって、有益な内容だったでしょうか。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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