名曲として知られるイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」(1976年)は、始めの1音だけで歓声が上がるほど12弦ギターの音色が印象的です。
また、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」(1971年)では、12弦ギターのエキゾチックでもの悲しい音色に魅了されます。
しかし、私は、これらの曲が12弦ギターで演奏されていることを知ったのは、かなり時間が経ってからのことでした。当時は2台のギターを重ねていると思っていました。
なぜ12弦ギターはこれほどまでに感動的なサウンドを生み出すのでしょうか?
そこでこの記事では、12弦ギターの弦とチューニング、そして弾き方に焦点を当て、そのサウンドの奥深さを徹底的に解説します。
12弦ギターのサウンドは、奥深く魅力的です。
そのサウンドの秘密を解き明かし、自分の演奏に新たな可能性を見出してみてください。
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もくじ
12弦ギターの弦とチューニング
12弦ギターは、2本の弦がセットになっていて、これをコースといい、全6コースあります。
各コースの太い方の弦を主弦、細い方の弦を副弦といいます。ただし、1・2コースは同じ太さの弦が張られています。
チューニングは、6弦ギターと同じで、1コースから順に[E-B-G-D-A-E]です。
ユニゾン:同じ高さの音
12弦ギターの弾き方とサウンド
12弦ギターは、6弦ギターと同じチューニングのため、6弦ギターと同じように弾くことができます。
ところが、6弦ギターと同じように弾くだけなのに、圧倒的な「音の厚みと広がり」があります。
その理由は、2つあります。
- 出る音の数が6弦ギターの2倍である
- 6弦ギターより1オクターブ高い音が出る
12弦ギターは6弦ギターと比べると、出る音の数が2倍です。弦が12本あるからです。
そのため、6コース〜1コースをストロークすれば、12個の音が出ます。
単音弾きでも、2つの音が出ます。
6〜3コースは1オクターブ違いの2音、2・1コースはユニゾンの2音です。
つまり、12弦ギターは、6弦ギターと同じように弾いても、複数の違う音が出てくるので、サウンドに厚みや広がりが感じられるのです。
特に、ダウンピッキングをしたときは、1オクターブ高い音が先に出るので、きらびやかな音色になります。(例外あり)
サウンドに厚みのある12弦ギターを弾いた後に6弦ギターを弾くと、痩せた弱々しい音に感じられるので、つまらなくなることさえあります。
サウンドの厚みと広がりが圧倒的なギター、それが12弦ギターなのです。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
それでは次に、12弦ギターのサウンドを聞いてください。
開放弦のサウンド
まずは、12弦ギターの6コースから1コースまで順に弾いた音です。
音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。(以下同様)
1オクターブ高い音の方が先に聞こえてくるのがわかると思います。
2コースと1コースはユニゾン(同じ音の高さ)なので、1オクターブ上の音はありません。
ドレミのサウンド(5コース〜2コース)
12弦ギターで下の指板図のように「ドレミファソラシド」を弾くと、最後の2音「シド」のところで、1オクターブ高い音がなくなります。
ドレミのサウンド(5コース〜3コース)
下の指板図のように弾くと、「ドレミファソラシド」の最後の2音「シド」でも、1オクターブ高い音が重なります。
コードのサウンド
最後に、コードの響きを聞いてください。
Em9のコードですが、下の指板図のように押さえています。
12弦ギターのデメリット
12弦ギターのサウンドは素晴らしいのですが、良いことばかりではありません。
次のようなデメリットもあります。
- 12本の弦をチューニングするのに苦労する
- 12本の弦を交換するのがとても面倒
- チョーキングなどの奏法がやりづらい
- 指弾きはやりづらいのでピックを使った演奏テクニックが必要
- 頑丈にできているので重く、運搬するのが大変
- ヘッドが大きいので6弦ギター用のケースに入らないことがある
- 価格が6弦ギターよりも高額
このようなデメリットがあっても、12弦ギターのサウンドには特別な価値があります。
ここぞというときに使えば、6弦ギターでは表現できない世界観を演出できます。
例外的な12弦ギター
主弦と副弦の位置ですが、通常タイプの12弦ギターでは、1オクターブ高い副弦が上側(6コース側)についています。
ところが、この主弦と副弦の位置が逆になっているギターがあります。
リッケンバッカーというメーカーが作っている12弦ギターです。
リッケンバッカーの12弦ギターは、ヘッドの部分が他のメーカーと大きく違っています。
クラシックギターのようにスロットヘッド(ヘッドに空けた穴に弦を通す構造)があります。
6コースから4コースでは、副弦をこのスロットヘッドに通します。
3コースから1コースでは、主弦をこのスロットヘッドに通します。
そのため、一般的な12弦ギターと違って、主弦の下(1コース側)に副弦が張られています。
<リッケンバッカーModel330 のボディ形状>
<リッケンバッカーの12弦ギター>
<リッケンバッカー 12弦ギター(左利き用)のヘッド>
主弦と副弦の位置が反対になっているリッケンバッカーでは、通常の12弦ギターとは違うサウンドになります。
まとめ:12弦ギターのサウンド!弦とチューニングと弾き方でチェック
ここまで、12弦ギターに使われている弦やチューニングの方法、弾き方について解説してきました。
- 12弦ギターの弦とチューニング
- 12弦ギターの弾き方とサウンド
- 12弦ギターのデメリット
- 例外的な12弦ギター
圧倒的な存在感がある12弦ギターを、ぜひあなたの演奏に取り入れてみてはどうでしょうか。
きっと魅力的なサウンドを創り上げることができますよ。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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