コードを押さえてストロークするだけのギター初心者は今日で卒業しませんか!
ギターに特化したTAB(タブ)譜の読み方がわかれば、憧れのリードギターやソロギター演奏も弾けるようになります。[TAB(タブ)譜は、これ以降「タブ譜」と表記]
この記事では、タブ譜の種類や読み方、独特なギター演奏法のタブ譜表記について詳しく解説していきます。
タブ譜の読み方徹底解説
ギターに特化したタブ譜が正しく読めれば、ギター初心者の卒業を目指せます。
なぜならば、ギターの様々なテクニックをマスターすることができるからです。
たとえば、ギターのテクニックに「スライド」がありますが、タブ譜にはどの弦の何フレットから何フレットまで指を動かすのかが記されています。その通りにギターを弾けば、「スライド」ができてしまうのです。
タブ譜を使って様々なテクニックをマスターし、ストロークだけのギター初心者を卒業しましょう。
まずは、タブ譜の良さを知るために、タブ譜以外の楽譜について簡単に紹介します。
ギターの楽譜
ギターを弾くときに使う楽譜は、コード譜・五線譜・タブ譜の3種類あります。
- コード譜:歌詞の上にコードが書いてある楽譜
- 五線譜:5本の線の上にオタマジャクシが並んだ一般的な楽譜
- タブ譜:6本の線の上に数字が並んだギター専用の楽譜
各楽譜の具体例とメリット・デメリットを解説します。
コード譜
コード譜は、歌詞とコードだけが書かれた楽譜です。
<コード譜の例>
・コード譜のメリット
ページをめくることなく楽曲全体を見ることができるので、ギターを弾きながら歌う「弾き語り」をするときに便利です。
・コード譜のデメリット
詳しい弾き方がわからないので、自分で弾き方を工夫しなければなりません。様々なテクニックをマスターしていない初心者は、コードを押さえてストロークするだけの演奏になってしまいます。
五線譜
五線譜は、オタマジャクシが5本の線の上で踊っている最も一般的な楽譜です。
<五線譜の例>
・五線譜のメリット
音符の位置によって音の高さがわかります。五線の下の方は低い音、上の方は高い音です。また、音符の形によって音の長さもわかります。
・五線譜のデメリット
五線譜の場合、ギターではどの弦の何フレットを押さえればいいのかわかりません。
なぜならば、ギターは同じ音程(=音の高さ)であっても色々なポジション(弦とフレット)で音を出すことができるからです。
たとえば、上の<五線譜の例>の始めの音は、ギターでは5弦10フレット、4弦5フレット、3弦開放(0フレット)で出すことができます。五線譜だけでは、弦を押さえるポジションがわかりません。
また、楽譜の一番左に付いている”#”や”♭”にも注意が必要です。
上の<五線譜の例>では、楽譜の左上に”#”が1つ付いています。これは、この楽譜では「ファ」の音は「ファ#」であることを表しています。このことを理解していないと、正しい音程を弾くことができません。
曲によっては、”#”や”♭”が複数ついていることがあり、五線譜に慣れていない人にとっては、楽譜通りに演奏することはとても難しくなります。
タブ譜
タブ譜の正式名称は「Tabulature (タブラチュア):一覧表」といい、6本の線の上に数字が並んだギター専用の楽譜です。
<タブ譜の例>
6本の線は、一番上がギターの1弦(細い弦)、一番下が6弦(太い弦)を表しています。
数字は押さえるフレットを表しています。
・タブ譜のメリット
どの弦の何フレットを押さえるのかが瞬時にわかることが最大のメリットです。
難しいフレーズでも弾くことができるので、ギターのテクニックを早く身につけられます。
また、五線譜のように”#”や”♭”がつくことはありません。
・タブ譜のデメリット
タブ譜だけでは音程の上下動が直感的にわからないので、曲のイメージがつかめません。
また、タブ譜にたよっていると、曲を聴いてコピーする「耳コピ」の機会が減るので耳が鍛えられません。
楽譜なしで曲を演奏するには、耳を鍛えることはとても大切です。
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ここまで、3つの楽譜についてメリット・デメリットを簡単に解説してきましたが、タブ譜はギターに特化した楽譜だけにメリットが大きいですね。
特にギター初心者が難しいフレーズを弾くためには、なくてはならない楽譜です。
そこでここからは、タブ譜の種類や特徴について解説していきます。
タブ譜の種類
ギターに特化したタブ譜は、タブ譜だけのもの、タブ譜と五線譜を組み合わせたものなどがあります。
タブ譜のみの楽譜
ギター専用の楽譜で、どの弦の何フレットの音をどれだけの長さで弾くのかを表した楽譜です。
タブ譜の読み方は以下の通りです。
タブ譜は、弾く弦・押さえるフレット・音の長さがわかるので、この通りにギターを弾けば曲を演奏することができます。
五線譜+簡易タブ譜
五線譜とタブ譜が縦に並んだ楽譜で、タブ譜は数字だけが書かれています。同じ音程の音が出る押さえ音の長さは五線譜を参照します。
五線譜があることで、他の楽器と合わせて演奏するときに便利です。
知っている曲の場合は押さえる弦とフレットだけに集中できますが、知らない曲の場合は五線譜を見なければ音の長さはわかりません。
五線譜+タブ譜
五線譜とタブ譜が縦に並んだ楽譜で、タブ譜の方にも音の長さを表す記号がついています。
この楽譜は「音の長さ」という同じ情報が重複して表されています。
五線譜+タブ譜+コード譜
五線譜とタブ譜だけでなくコードも併記してあるので、コード譜のように伴奏する和音がわかる楽譜です。
多くの情報が記されているので、1曲全部を表示するには数ページかかることがあり、弾き語りには適していませんが、様々な楽器に対応できます。
独特なギター演奏法のタブ譜表記
ギターには、ストロークやスライドなど、他の楽器にはない様々な演奏法がありますが、このようなギター独特の演奏法もタブ譜で表されています。
タブ譜が正しく読めれば、新しいテクニックを身につけることができます。
ストローク
ストロークは、複数の弦を右手でジャカジャカ弾くギター特有の演奏法です。
ピックを持って弾いたり、指で弾いたりします。
6弦から1弦に向かって弾くことをダウン・ストロークといいます。
反対に、1弦から6弦に向かって弾くことをアップ・ストロークといいます。
ダウン・ストロークの記号は「冂」、アップ・ストロークの記号は「v」です。
<ストロークの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
このストロークの例を言葉で表すと、「ジャン ジャカ ジャカ ジャン・ジャン ジャカ ジャカ ジャン」となります。
スライド
スライドとは、弦を押さえた指を音を切らさないようにして別のフレットに動かす演奏法です。
スライドの記号は「S」です。
<スライドの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
グリッサンド(グリス)
グリッサンド(グリス)は、スライドと似ていますが、終わりの音がはっきりしていません。
ナットの方に向けてスライドすると音程が下がり、ボディの方に向けてスライドすると音程が上がります。
グリッサンドの記号は「g」です。
<グリッサンドの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
ハンマリング・オン
ハンマリング・オンとは、右手で弦を弾いた後に、同じ弦の別のフレットを左手の指で強くたたく演奏法です。単にハンマリングということもあります。
連続する2つの音を途切れさせない「レガート」というテクニックのひとつです。
ハンマリング・オンの記号は「H」で、音符の間にスラー(音をなめらかにつなげる)がつきます。
<ハンマリング・オンの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
プリング・オフ
プリング・オフとは、右手で弦を弾いた後に、押さえていた左手の指で弦をひっかくようにして離す演奏法です。
連続する2つの音を途切れさせない「レガート」というテクニックのひとつです。
プリング・オフの記号は「P」で、音符の間にスラー(音をなめらかにつなげる)がつきます。
<プリング・オフの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
トリル
トリルとは、ハンマリング・オンとプリング・オフを高速で繰り返す演奏法です。
トリルの記号は「tr」で、音符の横に波線がつきます。
<トリルの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
チョーキング
チョーキングとは、右手で弦を弾いた後に、押さえていた左手の指を押し上げて、あるいは押し下げて、無段階に音程を上げる演奏法です。
チョーキングといえば、一般的にチョーキング・アップのことで、音程を上げるテクニックです。
反対に、押し上げていた左手の指を元の位置に戻して音程を下げるテクニックをチョーキング・ダウンといいます。
チョーキングは、1音分(2フレット分)上げたり下げたりするのが通常ですが、ハーフ・チョーキングといって半音分(1フレット分)だけ上げたり下げたりするテクニックもあります。
チョーキング・アップの記号は「C」でハーフは「H.C」、チョーキング・ダウンの記号は「D」でハーフは「H.D」です。
<チョーキングの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
<ハーフ・チョーキングの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
ビブラート
ビブラートとは、チョーキングのアップとダウンを高速で繰り返す演奏法です。(下図:青の説明)
クラシックギターの場合は、同じフレットを押さえたまま指を左右に動かすテクニックを使ってビブラートをかけます。(下図:赤の説明)
ビブラートの記号は「Vib」です。
<ビブラートの例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
この演奏例は、チョーキング・アップとダウンを高速で繰り返す演奏法(青の説明)です。
ソロギター演奏のタブ譜例
メロディーと伴奏を一人で弾く「ソロギター演奏」も、タブ譜があれば弾き方がわかります。
ここでは、「五線譜+完全タブ譜+コード譜」で童謡『故郷(ふるさと)』のソロギター演奏を紹介します。
<ソロギター演奏のタブ譜例>
サンプル音源を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
まとめ:タブ譜の読み方徹底解説
この記事では、ギターの楽譜、タブ譜の種類や読み方、独特なギター演奏法のタブ譜表記について解説してきました。
ギターの楽譜
・コード譜
・五線譜
・タブ譜
タブ譜の種類
・タブ譜のみの楽譜
・五線譜+簡易タブ譜
・五線譜+タブ譜
・五線譜+タブ譜+コード譜
独特なギター演奏法のタブ譜表記
・ストローク
・スライド
・グリッサンド(グリス)
・ハンマリング・オン
・プリング・オフ
・トリル
・チョーキング
・ビブラート
最後には『故郷(ふるさと)』のソロギター演奏例も紹介しています。メロディーと伴奏を一人で弾くソロギター演奏も、タブ譜があれば弾き方がわかりますね。ぜひ挑戦してみてください。
タブ譜を正しく読んで、あなたもギター初心者から卒業しましょう!
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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