アコースティックギター[アコギ]を始めるために必要なのは、やっぱりギターです。
しかし、ひとことでギターといっても様々な形や色があり、どれを選んだらいいのか迷ってしまいます。
ギター初心者にとって、最初の難関がギター選びではないでしょうか。
そこでこの記事では、「初心者のためのギターの選び方」を解説します。
まだギターを弾いたことがない全くの初心者でも、迷わずにギターを選ぶことができるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
初心者のためのギターの選び方!おすすめのアコギはコレ
初心者におすすめのギターは何かと問われたら、ズバリ「所有していることが嬉しいギター」です。つまり、「気に入ったギター」ということです。
ギターは、音を出すことが難しい楽器です。また、始めた直後は、指先の痛さに耐えなければなりません。そのため、挫折してやめてしまうことが多い楽器なのです。
しかし、お気に入りのギターであれば、モチベーションが続きやすいので、挫折する可能性が低くなります。
このような理由から、お気に入りのギターが初心者におすすめのギターということになります。
では、どんなギターなら気に入ることができるのでしょうか。ギターについての知識が少ない初心者でも、自分が気に入るギターを選ぶことができるのでしょうか。
そこでここからは、ギターを選ぶ4つのポイントについて解説していきます。
ボディの大きさ
アコギは、ボディの大きさで2種類に分かれます。
ボディが大きいものが「ウェスタンタイプ」のギターです。「ドレッドノート」ともいわれます。
ボディが小さいものは「フォークタイプ」のギターです。マーチン社のギターの名称から「O(シングルオー)タイプ」「OO(ダブルオー)タイプ」「OOO(トリプルオー)タイプ」と呼ばれることがあります。「O(オー)」の数が多いほど、ボディが大きくなります。
ボディが大きいウェスタンタイプの方が、大きな音が出ます。フラットピックでストロークをする演奏に向いています。
また、ボディが小さいフォークタイプは、メロディーと伴奏を1台で弾くソロギター演奏など、テクニックを駆使した演奏に向いています。
しかし、どちらのギターでも、ストローク演奏もできるし、ソロギター演奏もできます。
これからテクニックを身につける初心者にとっては、ボディの大きさは自分の体の大きさに合っていて弾きやすいかどうかで選ぶべきです。
下の写真を見てください。どちらも同じウェスタンタイプのギターを抱えています。
体が小さい子がウェスタンタイプを抱えると、右手の位置がネックの付け根のところになってしまいます。(写真:左)
右手はサウンドホール(ボディの穴)のところにあるのが理想です。(写真:右)
このことから、体が小さい人は、ボディが小さいフォークタイプを選んだ方が無難です。大人であれば、どちらのタイプのギターを選んでも問題ありません。
実際に抱えてみて、弾きやすい方、フィーリングが合った方を選ぶようにしましょう。
ボディの形状
アコギは、ボディの一部分がカットされているタイプがあります。
これは、「カッタウェイ」といって、12フレットよりもボディ側のハイポジションが弾きやすいようになっているタイプです。
ボディがカットされているために、生音の響きは犠牲になっています。
しかし、見た目がカッコイイと思えば、選ぶ価値アリです。
もちろん、ハイポジションでの演奏をしたいのであれば、カッタウェイタイプはイチオシです。
マイク(ピックアップ)の内蔵
ピックアップと呼ばれるマイクが内蔵されているタイプのギターは、初心者にはおすすめしません。
なぜならば、ピックアップが内蔵されているギターは、機材がボディ内部に取り付けられている分だけ、生音の響きが犠牲になっているからです。
また、初心者のうちは、ギターをアンプにつないで大きな音を出す機会が少ないため、ピックアップの必要性は小さいといえます。
ピックアップが内蔵されているギターは、エレクトリック・アコースティック・ギター、略して「エレアコ」といわれます。
ボディの形状のところで紹介したカッタウェイタイプのギターは、たいてい「エレアコ」です。
カッタウェイタイプのエレアコに取り付けられているピックアップは、「アクティブピックアップ」といって、ボディに電池を入れるスペースやボリューム・トーンを調整するコントローラーがついています。
コントローラーが無くピックアップだけの「パッシブピックアップ」が内蔵されているタイプの「エレアコ」もあります。カッタウェイタイプではないギターに取り付けられていることが多いです。
パッシブピックアップ内蔵のギターは、コントローラーや電池スペースが無いので、生音の響きはあまり犠牲になっていません。
しかし、パッシブピックアップはハウリングが起こりやすいため、アンプにつないで大きな音を出すときのセッティングが面倒です。
このような理由から、ピックアップ内蔵のギター「エレアコ」は、初心者にはおすすめしません。
ボディの色とピックガードの形
アコギには、様々なボディカラーがあります。また、ピックガードの形も色々です。
ボディカラーもピックガードの形も、どれを選んでも問題ありません。
ギターを好きになるためにも、気に入ったものを選ぶようにしてください。
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ピックガードの形についての私の経験談です。
私にはどうしても選べないタイプのギターがあります。多くのギタリストも愛用している超有名な日本メーカーのギターなのですが、唯一ピックガードの形が気に入らないのです。
たったそれだけなのですが、毎日のように抱えるギターに気に入らない所があったら、やっぱりモチベーションが下がってしまいます。
音色も弾きやすさも抜群なことは理解しているので、私のギター教室の生徒さんには購入をすすめています。しかし、自分用となるとどうしても買うことができないのです。
やはり、ギターは気に入ったものを選ぶのが一番です。
購入前にチェックすること
ここまで読み進めて、だいたいどのようなギターにするか決まってきたのではないでしょうか。
しかし、ギターは同じメーカー同じ型番であっても、全く同じものはありません。なぜならば、ギターは手作業で製作する工程があるだけでなく、木製品のために保存状態などによって個体差が生じるからです。
そこで、購入前に必ず次のチェックをしましょう。
- ネックのチェック
- 弦高のチェック
- フレットのチェック
- チューニング・ペグのチェック
ひとつずつ解説します。
ネックのチェック
ネックはストレートが基本です。
作りが粗悪だったり保存状態が悪かったりすると、ネックが反って弾きづらくなっていることがあります。
下のイラストを見てください。
本物のギターは、ちょっと見ただけではネックの反りはわかりません。そこで、このイラストでは、ネックの反りがよくわかるように大げさに表現しています。
ネックが反ると、いろいろな問題が起こります。
- 順反り:弦高が高くなるので弦を押さえづらくなる。チューニングが合わなくなる。
- 逆反り:弦がフレットに当たるので音がつまる。音が出なくなる。
ギターを購入するときには、ネックがストレートかどうか楽器店の店員さんに聞いてください。「ほぼストレート」とか「わずかに順反り」ならば大丈夫です。
親切なお店なら、購入を決めた後に無料で調整してくれます。
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ネックの反りについて、私の経験談をお話しします。
エレアコを購入する目的で某楽器店に行ったところ、有名国産メーカーのエレアコが2台並んでいました。価格は5〜6万円ほどでした。
型番は同じでしたが、色はブラックとサンバースト。ブラックがカッコよかったので、店員さんに頼んで試奏させてもらいました。
さっそくチューニングをして弾いてみると・・ なんと、ネックが逆反りをしているために、弦がフレットに当たっていて音がつまっているのです。もちろん、キレイな音は出ません。
仕方がないので、色違いのサンバーストの方を試奏しました。すると、こちらはネックはストレートで、音のつまりはありませんでした。
結局、ネックに問題が無いサンバーストの方を購入しました。
このように、ギターには個体差があるので、ネックのチェックは重要です。
弦高のチェック
ネックの反りのところでも解説しましたが、ギターは弦高が高いと弾きにくくなります。
そのため、弦高が高いギターで練習してもなかなか上達しません。
そこで、ギターを購入する前には、必ず弦高のチェックを行いましょう。
弦高が高くなる原因は、ネックの反りだけではありません。
ナットやサドルの高さ、ブリッジ部分のボディの膨らみなども、弦高を高くする原因になります。
ナットやサドルが高い場合は、削って調整することができますが、削りすぎると交換しなければならなくなります。また、ボディの膨らみを直すのは、素人では難しいでしょう。
このような理由から、弦高が高いギターは購入をやめた方が無難です。
ちなみに、アコギの弦高の基準は、12フレット上で、フレット頂上から弦の下部までの距離が、6弦で2.5mm前後、1弦で2.0mm前後です。
フレットのチェック
アコギには、通常20本の金属製フレットが、フィンガーボード(指板)に打ち込まれています。
フレットの打ち込み精度が低いと、とても弾きにくいギターになります。
たとえば、フレットの高さがそろっていないと、弦がフレットに当たって音がつまってしまうことがあります。
また、フレットがフィンガーボードから張り出していると、弾いている最中に指が引っかかってしまいます。
ネックの状態は、次の方法でチェックします。
- 全フレットで音がキレイに出るかを、6本の弦全てで確かめる。
- ネックの両端(1弦側と6弦側)を指ではさんで、ナットからボディまで動かし、フレットの張り出しがないかを確かめる。
フレットの状態が悪いギターは素人では直せないので、選ばないようにしましょう。
チューニング・ペグのチェック
チューニング・ペグは、ギターのチューニングを調整する器具です。単に「ペグ」とか「糸巻き」と呼ばれることがあります。
このチューニング・ペグは、実際に回してみて、スムーズに動くかどうかを確認します。
回しているときに、引っかかりがあったり、空回りしたりするものは、正確なチューニングができないことがあります。
チューニングが合わないギターで練習しても上達しないので、チューニング・ペグに問題があるギターは、選ばないようにしましょう。
試奏して最終チェック
お気に入りのギターが見つかったら、必ず試奏しましょう。
なぜならば、試奏することで、そのギターの良さがわかったり、問題点を発見したりすることができるからです。
ギターを弾いたことがない全くの初心者でも、ギターを抱えてネックを握ってみてください。すると、「体にフィットして弾きやすそうだ」とか、「カッコいいけどしっくりこないな」とか、見ただけではわからなかったことが感じられます。
そして最後には、実際にギターを弾いて音を出しましょう。「きらびやかな音が心地いいなあ」とか、「意外とこもった音がするなあ」とかがわかります。自分で弾くことができない人は、店員さんに弾いてもらい、必ず音のチェックをしましょう。
初心者におすすめの価格
初心者におすすめのギターの価格は、3万円前後です。
3万円ほどのギターであれば、ネックやフレットのつくりが良く、チューニング・ペグもしっかりしたものがついています。
ギターは、価格によって弾き方が違うということはありません。しかし、粗悪なギターでは、弦が押さえにくかったり、チューニングが合わなかったりするので、上達に悪影響を与えてしまいます。
予算に余裕があれば、5万円程度のものも候補に入れてもいいですが、何十万円もするようなギターはおすすめしません。
なぜならば、最初に購入したギターをしばらく弾いていると、それよりも高価なギターが欲しくなるからです。
しかし、最初に高価なギターを購入してしまうと、資金的に2本目のギターを買うことが難しくなります。
総合的に判断して、初めて購入するギターの価格は、ある程度のクオリティは確保しつつも高価すぎない、3万円前後がベストな選択となります。
もちろん、予算に余裕があるなら5万円以上するギターを選ぶのもいいですが、何十万円もする高価なギターは、2本目以降で選ぶことをおすすめします。1本目を弾きこなせるようになる頃には、ギターについての知識が増えているので、自分でギターを選ぶことができるようになるからです。
ネットショップでの購入
ネットショップでの購入はお勧めしません。
なぜならば、ギターは同じメーカー同じ型番であっても1本1本違うからです。
ギターは木製品なので、どうしても個体差があるのは仕方がありません。そのためネットショップで購入すると、粗悪なものが届く可能性があるのです。
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私の経験をお話しします。
ギブソン系の黒色のアコギが欲しかったので、ネットショップで探してみました。
すると、気に入った1本を見つけました。ネットショップでは実物を試奏することができないので、購入しようかどうかしばらく悩んだのですが、ポチッと「購入する」をクリックしました。
数日後、ギターが届いたので、さっそくチューニングをして弾いてみました。すると・・・
2弦3フレットを押さえると、ビリビリと音がつまっているのです。このギターが来たらやろうと思っていた半音下げチューニングでは、さらに音のつまりが激しくなりました。
「現物を試奏できないネットショップは、やっぱりダメなんだな!」と反省したことを覚えています。
結局、トラスロッド(ネックの中に入っている金属の棒)を回してネックの反りを調整し、サドルを削って弦高を下げました。
私はこのような経験をしているので、初心者がネットショップでギターを購入するのはおすすめしません。
ギター初心者用セット
楽器店やネットショップでは、「ギター初心者用○点セット」などが販売されています。
とてもお得なようですが、既にチューナーやカポタストなどを持っている人にはおすすめしません。不要なものが多いからです。
たとえば、ネットショップでは、次のような13点セットがありました。
付属品は、初心者にどれだけ必要かを4段階で評価しています。
「◎:絶対に必要」「○:必要」「△:あってもいい」「×:無くてもいい」
- ◎ ギター本体:日本製有名メーカー
- ○ チューナー:チューニングするときに使う道具
- ○ カポタスト:移調するための道具
- ○ ピック:三角形のフラットピック
- ○ 替え弦:張り替えのための弦1セット
- ○ ギタースタンド:ギターを立てておくスタンド
- △ ソフトケース:ギターの持ち運びに使うケース
- △ 教則本:初心者用の教則本
- △ ストラップ:立って弾くときに肩にかける帯
- △ クロス:ギターを拭く布
- × ワインダー:チューニング・ペグを素早く回す道具
- × 音叉:チューニングするときに使う道具
- × ピックケース:ピックを入れるケース
このギター初心者用13点セットの価格は約4万2,000円でした。ギター本体のみの価格も調べましたが、約3万5,000円でした。
13点セットとギター本体のみの差額は約7,000円です。つまり、ギター本体を除く12点の付属品の価格が約7,000円ということになります。
チューナーやカポタストなど、○印をつけた付属品を既に持っているのなら、このセットは必要ありません。
○印の付属品をひとつも持っていないのなら、このセット商品を買う価値はあります。とりあえずギターを始めるために、必要なものがそろっているからです。
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私の経験では、楽器店で新品のギター本体を購入すると、ソフトケースやチューナー、ピックなどをサービスでつけてくれるところが多いです。
店員さんからサービスについての話が無いときは、購入前にひとこと「何かサービスでつけてくれますか?」と聞いてみましょう。たいてい、ソフトケースやピックなどをつけてくれます。
まとめ:初心者のためのギターの選び方!おすすめのアコギはコレ
ここまで、初心者のためのギターの選び方を解説してきました。
初心者のためのギターの選び方!おすすめのアコギはコレ
ボディの大きさ
ボディの形状
マイク(ピックアップ)の内蔵
ボディの色とピックガードの形
購入前にチェックすること
ネックのチェック
弦高のチェック
フレットのチェック
チューニング・ペグのチェック
試奏して最終チェック
初心者におすすめの価格
ネットショップでの購入
ギター初心者用セット
初心者におすすめのギターは、「所有していることが嬉しいギター」つまり「お気に入りのギター」です。
大好きなギターを毎日抱え、ギターライフを満喫してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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