オルタネイト・ピッキングは、ギターソロやアルペジオをピックで弾くときに必要となる大切なテクニックです。
様々な演奏法の基礎となるので、身につけておかなければなりません。
そこでこの記事では、オルタネイト・ピッキングのやり方とコツ、効率よく習得するための練習方法を解説します。
どうぞ最後までお読みください。
オルタネイト・ピッキングのやり方
オルタネイト・ピッキングとは、ダウン・ピッキングの次にアップ・ピッキング、アップ・ピッキングの次にダウン・ピッキングというように、ダウンとアップを交互に繰り返すピッキングのことです。
このダウンとアップの上下動は、弦をはじかないときでも繰り返します。そのことで、安定したリズムを刻むことができます。
また、ダウン・ピッキングだけ、またはアップ・ピッキングだけよりも、速く弾くことができるので、速弾きにも対応できます。
このようなことから、オルタネイト・ピッキングは、ギターを弾く者であれば、必ず身につけておかなければならないテクニックなのです。
オルタネイト・ピッキングのコツ
オルタネイト・ピッキングでは、ピックを一定の速さで上下動させることで、リズムを安定させます。
しかし、ダウン・ピッキングとアップ・ピッキングでは、弦をはじくときの感覚が違います。そのため、リズムがなかなか安定しません。また、音量もバラついてしまいます。
リズムや音量を一定に保つためには、次のような4つのコツがあります。
- ピックを弦に当てる角度
- ピックを弦に当てる深さ
- ピックを握る強さ
- ピックを振る大きさ
それぞれ、順番に解説します。
1. ピックを弦に当てる角度
ピックを弦に当てる角度は、ピックと弦が平行になる「平行アングル」が基本です。
速いフレーズを弾くときは、ピックをやや時計回りに回転させた「順アングル」の方がやりやすいでしょう。
なぜならば、ピックと弦のひっかかりが「平行アングル」よりも小さいからです。
しかし、この「順アングル」は、角度がきつくなると音質が悪くなります。ガサガサとしたノイズが出てしまうのです。
アコースティックギターの生音やエレキで音を歪ませないクリーントーンでは、このノイズが致命的になります。
キレイな音を出すために、まずは基本となる「平行アングル」を身につけましょう。
ピックを反時計回りに回転させる「逆アングル」というピッキングの方法もあります。
ジャズ型などの小さいピックを持ったときに、このような弾き方をすることがあります。
少し特殊な持ち方なので、初心者にはオススメしません。
「平行アングル」を習得した後、必要になったらチャレンジしてみてください。
2. ピックを弦に当てる深さ
オルタネイト・ピッキングでは、ピックを弦に浅く当てるようにします。
なぜならば、ダウンとアップのピッキングを、素早く繰り返さなければならないからです。
ピックを深く当てると次の弦までの距離が長くなるので、素早く動かすことができなくなります。
また、弦とピックの摩擦が大きくなるため、ピックが弦にひっかかってしまいます。
オルタネイト・ピッキングのリズムが安定しない原因は、この「ピックを弦に当てる深さ」に関係していることがあります。
リズムが安定しないときは、ピックを弦に当てる深さを見直してみましょう。
3. ピックを握る強さ
オルタネイト・ピッキングを上手に行うためには、弦をはじきやすい適度な強さでピックを握る必要があります。
なぜならば、ダウン・ピッキングとアップ・ピッキングを交互に素早く行わなければならないからです。
適度な強さとは、手首が自由に動き、ピッキングしたときにピックが弦からスムーズに離れる強さです。
ピックを強く握りすぎると、ピックが弦にひっかかるので、次のピッキングが遅れてしまいます。
反対に、ピックを握る力が弱すぎると、ピッキングの途中でピックが落ちてしまうことがあります。
ピックを握る力は、ピックの素材や固さなどによって違いがあるので、一概にこれがいいとは言えません。
いろいろ試して、適切な力加減をみつけてください。
4. ピックを振る大きさ
オルタネイト・ピッキングを習得する段階では、ピックを振る大きさはできるだけ小さくすることを目指します。
なぜならば、何度も言うようですが、ダウンとアップのピッキングを交互に素早く行わなければならないからです。
ピックを大きく振ってしまうと、それだけ移動距離が長くなるので、素早いピッキングができません。
また、違う弦を弾いてしまう弾き間違いも起きやすくなります。
このような理由から、オルタネイト・ピッキングを習得する段階では、ピックを小さく振ることを目指すのです。
しかし、ピックの振れ幅をあまりに小さくすると、音量が小さくなってしまいます。
実際には、弾いているフレーズに合わせ、ピックを振る大きさを調整し、音量やスピードを変えているのです。
オルタネイト・ピッキングの練習方法
オルタネイト・ピッキングを効率よく習得するための練習方法を紹介します。
次の練習課題は難易度が低い順になっているので、順番に練習していくだけで自然とオルタネイト・ピッキングが身についていきます。
- リズムと音量を一定にする練習
- アクセントをつける練習
- アウトサイド・ピッキングの練習
- インサイド・ピッキングの練習
- 2本の弦を移動する練習
- 2本の弦を移動する3連符の練習
- 3本の弦を移動する3連符の練習
- 複数の弦を移動する練習
- テンポの変化に対応する練習
初めのうちはできないのが当たり前です。今日できなくても、明日はできるようになっていることもあります。
焦らず楽しく続けていきましょう。
1. リズムと音量を一定にする練習
オルタネイト・ピッキングで大切なことは、リズムと音量を一定に保つことです。
ダウン・ピッキングとアップ・ピッキングでは、弦をはじく感覚が違うので、リズムが狂ったり音量が変わったりしがちです。
弦をはじきやすいダウン・ピッキングは、リズムキープはできるものの、音量が大きくなってしまいます。
それに対してアップ・ピッキングは、ピックが弦にひっかかりやすいので、リズムが遅れたり音量が小さくなったりします。
そこで、リズムと音量を一定に保つために、アップ・ピッキングの方に意識を向けて弾くようにします。
まずは単音のフレーズで、リズムと音量を一定に保つ練習をしましょう。
2. アクセントをつける練習
音量を一定に保つことができるようになったら、次は、音量を変える、つまりアクセントをつける練習をしましょう。
アクセントは、ダウン・ピッキングでもアップ・ピッキングでもつけることができます。
まずは、ダウン・ピッキングでアクセントをつける練習です。
次は、ダウンとアップのピッキングでアクセントをつける練習です。
アクセントをつけることができれば、フレーズに表情をつけることができます。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ここまでの練習フレーズを動画で確認できます。
1. リズムと音量を一定にする練習
2. アクセントをつける練習
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
3. アウトサイド・ピッキングの練習
オルタネイト・ピッキングは、2本の弦にまたがって弾くことがあります。
太い弦はダウン、細い弦はアップではじくピッキングを「アウトサイド・ピッキング」といいます。2本の弦をアウトサイド(外側)から弾くからです。
下のフレーズで、アウトサイド・ピッキングの練習をしましょう。
ピックの振り幅を小さくして、コンパクトに弦をはじくようにします。
4. インサイド・ピッキングの練習
太い弦はアップ、細い弦はダウンではじくピッキングを「インサイド・ピッキング」といいます。2本の弦をインサイド(内側)から弾くからです。
下のフレーズで、インサイド・ピッキングの練習をしましょう。
アウトサイド・ピッキングと似たフレーズですが、音の並びが反対になっています。
このフレーズは、アップ・ピッキングから始めるアウトサイド・ピッキングでも弾けます。しかし、そうするとダウン・ピッキングで裏拍を弾くことになるので、リズムが重くなってしまいます。
軽快なリズムを刻むためには、ダウン・ピッキングは1拍目や2拍目などの表拍を弾いた方がいいのです。
インサイド・ピッキングでは、一度弦をはじいたピックが、今はじいた弦の上を通過して、次の弦をはじきます。一見無駄な動きのようですが、リズムキープのためには重要なテクニックです。
インサイド・ピッキングは、初めのうちは難しいと思いますが、できるようになってくるとこのピッキングの有効性がわかります。
後ほど紹介する3本の弦にまたがるオルタネイト・ピッキングをスムーズに弾くためにも、このインサイド・ピッキングは大切になってきます。
ここでインサイド・ピッキングをしっかり習得しておきましょう。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ここまでの練習フレーズを動画で確認できます。
3. アウトサイド・ピッキングの練習
4. インサイド・ピッキングの練習
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
5. 2本の弦を移動する練習
オルタネイト・ピッキングを行いながら、2本の弦を移動する練習です。
3弦から4弦に移動するときはアウトサイド・ピッキング、4弦から3弦に移動するときはインサイド・ピッキングになります。
まずは、音程が下がっていく下降フレーズです。
次は、音程が上がっていく上昇フレーズです。
リズムと音量が一定になるように意識して練習しましょう。
6. 2本の弦を移動する3連符の練習
先ほどと同様に、2本の弦を移動する練習ですが、今回は3連符です。
音数が奇数のフレーズなので、ピッキングが変わります。初めの3音はダウン・アップ・ダウン、次の3音はアップ・ダウン・アップです。
アウトサイド・ピッキングとインサイド・ピッキングを繰り返しながら、2本の弦を移動します。
まずは、音程が下がっていく下降フレーズです。
次は、音程が上がっていく上昇フレーズです。
インサイド・ピッキングのところでリズムが崩れないように、注意深く練習しましょう。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
ここまでの練習フレーズを動画で確認できます。
5. 2本の弦を移動する練習
6. 2本の弦を移動する3連符の練習
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
7. 3本の弦を移動する3連符の練習
今回は、3本の弦を移動する3連符のフレーズです。
1音ずつ弦を移動するので、アウトサイド・ピッキングとインサイド・ピッキングが次々登場します。
左手は動かさないので、右手に集中して練習してください。
まずは、音程が下がっていく下降フレーズです。
次は、音程が上がっていく上昇フレーズです。
正しいピッキングができないうちにスピードを速くすると、悪いクセがついてしまうので、初めは遅いスピードで練習します。
慣れてきたら少しずつスピードを速くし、オルタネイト・ピッキングの指の動きを定着させましょう。
8. 複数の弦を移動する練習
今回は、複数の弦を移動する練習です。6本全ての弦を移動するフレーズを用意しました。
1本の弦を2回または3回弾いた後、次の弦に移動します。
まずは、メジャー・スケールのフレーズです。
次は、マイナー・スケールのフレーズです。
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ここまでの練習フレーズを動画で確認できます。
7. 3本の弦を移動する3連符の練習
8. 複数の弦を移動する練習
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
9. テンポの変化に対応する練習
最後に、テンポの変化に対応する練習です。
フレーズはこれまで練習してきたものと同じですが、弾いている途中でテンポが変わるので、右手と左手がバラバラにならないように気をつけてください。
まずは、音程が下がっていく2弦を使った下降フレーズです。
次は、音程が上がっていく2弦を使った上昇フレーズです。
今度は、3本の弦を使ったフレーズでテンポの変化に対応する練習です。
まずは、音程が下がっていく下降フレーズです。
次は、音程が上がっていく上昇フレーズです。
3本の弦を使ったフレーズでは左手は動かさないので、右手に集中して練習してください。
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この練習フレーズを動画で確認できます。
9. テンポの変化に対応する練習
動画を再生するとスピーカーから音が出るので、ボリュームに注意してください。
まとめ:ギターのオルタネイトピッキング!やり方とコツ、練習方法
ここまで、オルタネイト・ピッキングのやり方とコツ、効率よく習得するための練習方法を解説してきました。
オルタネイト・ピッキングのやり方
オルタネイト・ピッキングのコツ
1. ピックを弦に当てる角度
2. ピックを弦に当てる深さ
3. ピックを握る強さ
4. ピックを振る大きさ
オルタネイト・ピッキングの練習方法
1. リズムと音量を一定にする練習
2. アクセントをつける練習
3. アウトサイド・ピッキングの練習
4. インサイド・ピッキングの練習
5. 2本の弦を移動する練習
6. 2本の弦を移動する3連符の練習
7. 3本の弦を移動する3連符の練習
8. 複数の弦を移動する練習
9. テンポの変化に対応する練習
オルタネイト・ピッキングは、様々な演奏法の基礎となるテクニックなので、ぜひ身につけておきましょう。
ここで紹介した9つの練習課題は、オルタネイト・ピッキングを習得した後でも、日々の基礎トレーニングとして活用してください。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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